へその緒が赤ちゃんの首に!早産の原因は「母体感染」による前期破水/妊娠34週壮絶な出産体験談
[公開日]2016/10/24[更新日]2017/04/07
筆者には4歳と2歳の息子がいます。
この2回の出産、どちらも「早産」で子供達は「低出生体重児」として産まれました。
産科医からは「早産体質」「ハイリスク妊婦」と宣告されており、これから先、また妊娠することがあれば、早産になる可能性が極めて高いと言われています。
「早産体質」の原因、これは現代の医学でもハッキリしないところが多いようです。もちろん、治療法などもありません。
今回は母体感染による前期破水から始まり、その後お腹の赤ちゃんの首にへその緒が3周してしまい、赤ちゃんが極めて危険な状態で出産に至った筆者の体験談をもとに、早産についてお話ししていきます。
流産経験があった私は、すぐに「あ、流産だ」と思い、顔から一瞬にして血の気が引いたのを覚えています。仕事中だったため、上司に状況を報告した後、すぐに会社近くの産婦人科を受診しました。
結果的には、流産ではありませんでした。
「子宮頚管ポリープ」、その名の通り子宮頚管にポリープが出来てしまい、そこからの出血だったのです。お腹の赤ちゃんには何も異常はありませんでした。
ポリープはそれほど大きいわけでもなく、妊娠継続に特に影響もない上に、妊娠中に出来たポリープの場合は出産と同時に自然と取れることが多いということで、そのまま放置。
ポリープの影響で、毎日出血を繰り返していたのですが、ある日の妊婦検診で内診をしていた医師が「うーーん」と低い声で唸りました。
「まだ毎日出血していますか?」
「しています。真っ赤ではないですが、茶色の出血がありますね」
私の答えを聞いた後も「うーーん」と唸る医師。医師の唸り声に、何事かと胸がドキドキしてしまいます。
「ポリープはもうなくなっているんですよ。自然になくなって、それは喜ばしいことなんですが、出血の原因が分からないんですよね…。」
ポリープが無くなっていることに一瞬だけ喜んだものの、「原因不明の出血」に不安が広がります。
今までポリープから出血しているからと安心していましたが、妊娠中の出血は流産・早産の傾向ですから、慎重になる必要があるのです。
筆者はここで「切迫流産」の診断を受けることになります。
そしてその後も、出産まで原因不明の出血が少量ながらも続くこととなり、妊娠21週までは「切迫流産」、妊娠22週を過ぎてからは「切迫早産」を宣告され続け、基本的に家で横になっておくように、との医師の指示が出ていました。
「止血」の薬と「子宮収縮抑制剤」の薬を毎日服用する妊娠生活だったのです。
妊娠22週で産まれた場合は早産となりますが、産まれた赤ちゃんの体重は500g前後のため、新生児集中治療室(NICU)での治療が必要となります。
また、早く小さく生まれた赤ちゃんほど、のちに重篤な障害が出現する可能性があります。妊娠34週以降の正常な分娩時期に近い早産でも、呼吸障害などの障害が残る可能性も昨今報告されています。
流産が起こる頻度としては、妊娠の約15%との統計があり、多くの女性が経験する可能性があります。妊娠初期に起こる流産の原因で最も多いのが、赤ちゃん自体の染色体等の異常です。受精した瞬間に流産してしまうことが決定されてしまうのです。
切迫早産と診断された場合、外来通院もしくは入院して治療を行うこととなります。外来通院の場合は子宮収縮抑制剤の服薬、入院の場合は24時間の子宮収縮抑制剤の点滴治療を行うことになります。
早産の原因には様々な要因があります。もし下記のような病状が見つかったときは早期に対処することが大切です。
また、良性の腫瘍である子宮筋腫や子宮の形が通常とは異なる奇形が原因で早産につながることがあります。
それらの影響で血液の流れが悪くなり、胎児が十分に育たず、早産を引き起こすことがあります。
そのため出血があった場合は帝王切開手術を行うため、結果早産となる場合があります。
妊娠32週より前に破水した場合は、赤ちゃんが自分で呼吸できる状態になるまで抗菌剤を投与し感染を抑えます。
下腹部痛、背部痛
安静にしていても痛みが治まらず、なおかつ痛みが強くなったり、痛みの間隔が一定時間の場合は注意が必要です。子宮収縮が起こっている可能性があります。
お腹の張り
妊娠中は誰でもお腹の張りを感じるので、切迫早産の症状だと気がつかない場合も多いです。安静にすると治まるお腹の張りは心配ありませんが、張ってる時間が長かったり、規則的にお腹が張り続けると注意が必要です。これも子宮収縮が起こっている可能性が高いです。
不正出血
出産前になると「おしるし」と呼ばれる、おりものの中に出血が混じったものが性器から出てきますが、出産時期でもないのに出血が混じったおりものが出た時には要注意です。切迫早産と診断される可能性が高いです。
もちろん異常がない場合もありますが、必ずすぐに病院に相談するようにしましょう。
破水
破水してしまうと羊水に雑菌が侵入しやすいため、1週間以内に出産に至るケースが一般的です。少量の破水の場合、尿もれだと勘違いしやすいので注意が必要です。
尿もれの場合は力を入れれば止まりますが、破水の場合は自分の力で止まらず流れてきます。破水の可能性がある場合もすぐに病院を受診する必要があります。
なぜか朝から体がとても重く、立ち上がったり、歩くことさえツライと感じていました。
体がだるくとも、特にお腹が張っていたとか、お腹が痛いとかそういうことは一切なく「寝不足かな」「風邪の引き始めかな」その程度のものです。
その頃の筆者はお腹が張ることが多くおりものも増えており、医師から「絶対安静」を指示されていたものですから、その日も朝に夫を見送った後はすぐに横になりました。
横になっていても、やはり体が重くて「うーん、うーん」と思わず唸り声が出る程。体調がおかしいことは明らかでした。そのまま知らぬ間に寝てしまっていました。
「バシャッ」
突然大きな音が鳴り響き、ハッ!と目を覚ましました。下半身がベチャベチャに濡れていることにすぐに気が付きます。
「破水だ!」
ちょうど3日前、姉の友人の妊婦さんが妊娠35週で突然破水をして、出産に至った話を母から聞いていました。
「妊娠中は何が起きるか分からないから気をつけなさいよ!」そう言われていましたが、自分には縁がない話、と思っていたのです。
そのこともあり、すぐに破水したのだと気がつきました。バッと毛布をめくると、私が履いていたハーフパンツはベチャベチャ、布団も広い範囲で濡れてしまっていました。
ゾッとした筆者はとりあえず夫に連絡しなければ、と携帯を探します。携帯は筆者が横になっていた寝室ではなく、リビングに置いていたことを思い出し、ベッドから立ち上がりました。
すると、ジャッとさらに羊水が流れ出てきたのです。リビングまで歩く間にも、羊水がどんどん流れてきます。
「このままじゃ、全部羊水が出てきてしまう!」と思い、筆者は携帯を手にとるとリビングの床に横になりました。横になることで、せめてこれ以上羊水が流れ出ないように、と本能的にとった策でした。横になったまま、夫に電話をかけます。
「破水したっぽい!!どうしよう!!」
「え?!いや、俺じゃなくてとりあえず病院に電話しなよ!」
そうだ。病院に電話だ。夫の言葉に冷静になり、すぐにかかりつけの病院に電話をしました。
「あの!!すみません!!破水したっぽいんです!!」
「分かりました〜。お腹の痛みや出血はありますか??」
「え、いやぁ…羊水にピンクっぽいのは混じっていますけど出血はありません!!お腹は少し痛いです!!」
「そうなんですね〜それでは今すぐ病院にいらっしゃってください〜」
筆者の焦りとは裏腹に、電話の受付の方はとても冷静で、一瞬「なんだ。焦ることでもないのかな」と思いました。病院との電話を切った後は夫に再度電話をし、仕事を早退してもらって一緒に車で病院に向かいました。
ストレスの解消や血行促進、体重増加の抑制などに繋がり、健康的な妊娠生活を送ることが出来ます。
しかし、妊娠中の過度の塩分摂取は妊娠高血圧症候群の原因にもなりえます。妊娠期間中は塩分に注意して、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
妊娠中上の子がいる場合なども、座ったまま抱っこするなどの配慮が必要です。
正常なおりものは透明〜薄いクリーム色です。感染が起きた場合、おりものは濃い黄色〜黄緑のような色になります。このようなおりものが出た時にはすぐに病院に相談しましょう。
病院に着くと、病院スタッフが慌てて車いすを用意し、私はそのままバタバタと内診室に運ばれました。
これからどうなるのだろう、赤ちゃんは生きているのだろうか…内診台に上がると、突然体がガクガク震え出します。
助産師さんが「大丈夫ですからね」と私の足を優しくさすってくれました。
「こんにちは〜。ちょっと見させてもらいますね」顔なじみの主治医が、カーテンの向こうから私に声をかけました。手の震えを止めるためなのか、祈る気持ちだったのか…筆者は手の平を組み合わせました。
内診が終わり、助産師さんに支えられながら診察室に入りました。いつもは椅子に座って医師と話すのですが、その日はベッドに横になるよう指示をされます。
「お母さん、お腹の中にはもう羊水がほとんど入っていないみたいです。とにかくこのままもう入院しちゃいましょうね。」
元々主治医は穏やかな人でしたが、その時はいつもより話し方が優しくて、柔らかくて、筆者はそこでプツンと緊張の糸が切れてしまいました。人前で泣く事なんてあり得ない筆者でしたが、その場で泣き出してしまいました。
「お母さん、大丈夫ですよ。心配しなくてもいいですからね。全力を尽くしますから元気な赤ちゃん産みましょう。それにうちの新生児科の腕は確かですから。安心してください。」
主治医は筆者の震えていた手を握り、お腹を優しくさすってくれました。
そこではまず血液検査が行われたのですが、筆者には「炎症反応」が確認されました。この炎症反応はつまり「感染症が確認された」ということ。
これこそが破水の原因だったのです。
お腹の赤ちゃんへの感染を防ぐために、すぐに抗生剤の点滴が始まりました。
「お母さん、感染もしてしまっているし、このままお腹に赤ちゃんを留めておくと、赤ちゃんにまで感染が及んでしまい重大な後遺症が残る可能性もあります。もう産んでしまいましょう」
産んでしまう…?羊水がないのに、これからどうやって妊娠継続していくのかな、とばかり考えていたため、主治医の「産んでしまいましょう」の言葉に驚きを隠せませんでした。
「あの、まだ34週なんですが…」
赤ちゃんがいつ産まれても大丈夫だと言われているのは37週です。それまでまだ3週間もあるのに、今産まれたら一体どうなるのだろうかと思いました。
「34週は肺形成も完了している頃ですし、大丈夫ですよ。後遺症の心配もほとんどないと考えられますし、それよりもこのまま妊娠継続してしまう方がよっぽど危険なんです」
医師のその言葉でやっと、自分の中で「早産」のけじめがついたように思います。
「産んでしまいましょう」主治医はそう言ったものの、なかなか陣痛が起こる気配はありませんでした。なんとなくお腹が重いような気がする…。あくまでその程度なのです。
お腹の痛みもないですし、いわゆる「おしるし」のような陣痛の予兆のようなものも一切なし。何度も何度も医師による内診が行われましたが、子宮口は開いてはくれませんでした。
そして「明日の朝になっても陣痛が起こらなければ陣痛促進剤を使って陣痛を起こしましょうね」と言われました。
また、出産予定日まで日があるのに、破水してしまったり、妊娠高血圧症候群などで母体の状態が悪くなると、一刻も早い出産が必要となるため、陣痛促進剤を使って人工的に陣痛を起こし、出産へと至ります。
陣痛促進剤はお腹の赤ちゃんの負担になる場合もあるので、赤ちゃんの状態を確認しながら検討しながら慎重に使用されます。
一体私が何をしたのだろう、日常生活で何か悪いところがあった?風邪ひいていたから?咳をしていたから?絶対安静を言われていたのに、時々家事をしちゃってたから?夜更かしが多かったから?食生活が適当だったから??頭の中をグルグル回るのは、妊娠生活で何が悪かったかばかり。そしてお腹の赤ちゃんが今どれだけ苦しんでいるかばかり。
赤ちゃんはたくさんの羊水の中、ふわふわと気持ちよく心地よく過ごすものなのに、羊水がほぼ空っぽの子宮の中で苦しくないのかな、きつくないかな、居心地悪いよな…そんなことばかり考えてしまい、あっという間に夜が明けました。
朝になっても、やっぱり陣痛は起こりませんでしたが、子宮口の状況確認のため、医師の内診を受けました。すると、カーテン越しではありますが、医師が「うーん」と唸る声が聞こえました。助手についていた助産師さんと何やらコソコソ話をしています。
どう考えても医師と助産師さんの会話の雰囲気は、いいことがあったような感じではありません。そして医師から知らされたのは「赤ちゃんの首にへその緒が3周している」という事実。
「あの、それって苦しくないんでしょうか??」
「うーん…少し苦しいかもしれませんね」
羊水がない子宮の中、苦しくて動き回ってへその緒が首に絡まってしまったのではないかと感じました。その後、医師は筆者の夫と母を呼び、今後の話をしたいということでした。
「お母さんも同席してもいいけれど、ツライ話もあるかもしれないので、大きなショックを受けるようなら聞かない方がいいかもしれません」主治医からそう言われ、とても迷いました。私の性格をよく知っている夫と母から「絶対に聞かない方がいい」と言われ、筆者だけ退席することになりました。
そして午前10時に陣痛促進剤の投与が開始。「陣痛促進剤を使った陣痛は、自然の陣痛よりも遥かに痛いー。」
友人から聞いたことがあった筆者は点滴中、今から訪れる初めての「痛み」にただただ緊張していました。
陣痛促進剤を投与してから陣痛が始まるまでの時間、出産を終えるまでの時間は人によって大きく異なります。
投与後すぐに陣痛が始まる人もいますが、投与してから数時間後に陣痛が始まり、その後も子宮が開くまでに10時間以上かかり、出産に24時間、48時間かかった人もいます。
陣痛促進剤を使用すれば、何時間後に陣痛が起こる、何時間で出産が終わるといった定義はありません。効果はあくまで人それぞれです。
筆者に陣痛らしきものが始まったのは、点滴開始から1時間と少し経った頃でした。
腰が重くなり、下腹に鈍い痛み。最初は重い生理痛程度でしたが、どんどん我慢出来ないほどの痛みに変わっていきました。その間隔は最初は15分、10分、5分、3分とどんどん短くなっていき、そして痛みもピークに。
初めての痛み、初めてのいきみ逃し。助産師さんが腰をさすると痛みが楽になるのに、夫がさすると余計に痛みが増します。痛みの辛さとイライラがピークになったのも恐らくこの頃でしょう。
助産師さんによる内診で、子宮口が7cm開いたところで分娩室に移動となりました。痛みの間隔がどんどん狭くなっているのに、早く、一刻も早くいきみたいのに、なかなか子宮口全開に辿り着きません。
筆者の担当助産師さんは元々1人だったはずなのに、気がつくと4人の助産師さんが筆者を囲んで何やらバタバタしていました。意識が遠のきそうなほどの痛みと戦っていた時に、内診をしていた助産師さんが大きな声で叫びます。
「よし!!子宮口全開!!いきんで!!」
筆者はやっと我慢していたものを全て吐き出すかのように、思いっきりいきみました。初めての出産ですから、いきみ方も呼吸の仕方も分かりませんでしたが、とにかく必死でした。
しかし、何度も何度もいきみますが、なかなか赤ちゃんは出てきません。ふと周りに目を向けると、10人ほどの助産師さん達が分娩台の筆者を囲んで「頑張って!!頑張れ!!」と叫ぶように応援してくれていました。産科医は2人、その後ろには恐らく小児科医が3人と小児科の看護師さんが立っていました。みんなが私と産まれてくる赤ちゃんのために、万全の態勢を整えてくれているんだ…突然、心強くなりました。
「お母さーん、下、切りますね!」
産科医に言われ、返事をする暇もなく、ザクッと会陰切開をされる感覚。ちなみに痛みは一切ありませんでした。それでもなかなか赤ちゃんは産まれません。
「お母さん、赤ちゃんが降りて来ないので吸引しますね」
産科医のその言葉とほぼ同時に、年配の助産師さんが恐らく脚立か何かに立ち、筆者のお腹を必死で押さえ始めました。
「だめだ!変わろう!!」
若い産科医が助産師さんと代わり、筆者に馬乗りになりました。筆者の頭の中はすでに軽くパニックでしたが、馬乗りされた瞬間「なに?!何事?!」と一瞬だけ変に冷静になりました。
そしてものすごい力でお腹を押されます。一瞬、呼吸ができないほどでした。しかし助産師さんから「いきんで!」と叫ばれ、どうにか必死にいきみます。
「頑張って!!頑張れ!!」
いきむ度に、大声で応援してくれる助産師さん達。そして筆者の右手を両手で握って、祈るかのように目をギュッと瞑っていたのは、その日筆者を朝から担当してくれていた助産師さんでした。
そして一瞬、陣痛が止まります。その場がシーンと静寂を迎えました。産科医が「次、痛みが来たら言ってください。次で産んでしまいますよ。」と言いました。
その表情から「次で絶対に決めなければやばいんだ。恐らく帝王切開になる」と本能的に感じました。
「あ!きたかも!!」
筆者のその言葉が合図となって、助産師さんが「いきんで!」と叫び、馬乗りになっていた産科医は今まで以上の強い力で筆者のお腹を押しました。
すると下半身からツルン、と何かが出て来た感覚を感じたのです。
「あ。産まれた。」と思いました。上半身を少し起こして覗き込むと、赤ちゃんは小児科医達に囲まれ、なにやら処置をされているようでした。棒のように細い手足がチラリと見え、そのあまりの細さに一瞬ゾッとしてしまいます。
そして、か細い声で「んぎゃぁあ」と小さく泣いた声が分娩室に響き渡りました。
「あ!!泣いた!!」助産師さんがとても驚いたように言いました。赤ちゃんって産まれたら泣くものでしょ??と、その時は不思議に思ったものです。ここで筆者の壮絶な出産はなんとか無事に終了しました。
それは筆者が思っていたよりもお腹にいた赤ちゃんの状況が思わしくなかったこと。まず、筆者が同席しなかった夫と母と産科医の話ですが、産科医は「赤ちゃんは極めて危険な状態で、何かあった時には病院としては母体を優先させてもらうことを、理解して欲しい」と夫と母に伝えたそうです。
また、陣痛促進剤を使っていたわけですが、赤ちゃんが思っていたよりも弱っていたため、ほとんど使えなかったこと。そのため微弱陣痛でなかなか子宮口も開かず、赤ちゃんも苦しい状態になっていたこと。
赤ちゃんが産まれた瞬間に、小さく泣いたことに助産師さんが驚いたのは、それほど赤ちゃんは弱っており、軽い新生児仮死状態だったとのこと。もちろんこれらは、当時妊婦である筆者には何一つ伝えられなかったことです。これを聞いていたら、果たして筆者は正常な気持ちでお産に臨めたのでしょうか…。
そんな我が子も今は4歳。とっても元気で、運動神経抜群、足の速さはクラスで1番、風邪なんて滅多にひきません。あの時、無事に産まれてくるか分からなかった子とはとても思えないほど、すくすくと元気に成長してくれています。
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この2回の出産、どちらも「早産」で子供達は「低出生体重児」として産まれました。
産科医からは「早産体質」「ハイリスク妊婦」と宣告されており、これから先、また妊娠することがあれば、早産になる可能性が極めて高いと言われています。
「早産体質」の原因、これは現代の医学でもハッキリしないところが多いようです。もちろん、治療法などもありません。
今回は母体感染による前期破水から始まり、その後お腹の赤ちゃんの首にへその緒が3周してしまい、赤ちゃんが極めて危険な状態で出産に至った筆者の体験談をもとに、早産についてお話ししていきます。
【筆者の体験談①】妊娠初期から続いた出血
妊娠を確認し、心拍の確認が出来たばかりの妊娠10週頃、下着が真っ赤になるほどの出血がありました。流産経験があった私は、すぐに「あ、流産だ」と思い、顔から一瞬にして血の気が引いたのを覚えています。仕事中だったため、上司に状況を報告した後、すぐに会社近くの産婦人科を受診しました。
結果的には、流産ではありませんでした。
「子宮頚管ポリープ」、その名の通り子宮頚管にポリープが出来てしまい、そこからの出血だったのです。お腹の赤ちゃんには何も異常はありませんでした。
ポリープはそれほど大きいわけでもなく、妊娠継続に特に影響もない上に、妊娠中に出来たポリープの場合は出産と同時に自然と取れることが多いということで、そのまま放置。
ポリープの影響で、毎日出血を繰り返していたのですが、ある日の妊婦検診で内診をしていた医師が「うーーん」と低い声で唸りました。
「まだ毎日出血していますか?」
「しています。真っ赤ではないですが、茶色の出血がありますね」
私の答えを聞いた後も「うーーん」と唸る医師。医師の唸り声に、何事かと胸がドキドキしてしまいます。
「ポリープはもうなくなっているんですよ。自然になくなって、それは喜ばしいことなんですが、出血の原因が分からないんですよね…。」
ポリープが無くなっていることに一瞬だけ喜んだものの、「原因不明の出血」に不安が広がります。
今までポリープから出血しているからと安心していましたが、妊娠中の出血は流産・早産の傾向ですから、慎重になる必要があるのです。
筆者はここで「切迫流産」の診断を受けることになります。
そしてその後も、出産まで原因不明の出血が少量ながらも続くこととなり、妊娠21週までは「切迫流産」、妊娠22週を過ぎてからは「切迫早産」を宣告され続け、基本的に家で横になっておくように、との医師の指示が出ていました。
「止血」の薬と「子宮収縮抑制剤」の薬を毎日服用する妊娠生活だったのです。
早産とは?流産や切迫早産との違いは?
マミです。出産って想像以上に大変なのね。。
こんにちは!「アンチエイジングの神様」管理人の安藤美和子です。そうですね。この筆者の方は実は2回早産を経験されているから、今回は貴重なお話が聞けそうですね。ではまず本格的に話を聞いていく前に、まずは早産について少し話しておきましょう。
早産とは正期産(妊娠37週0日~妊娠41週6日まで)以前の出生をいいます。日本では妊娠22週0日~妊娠36週6日までの出産を早産と呼びます。
出典:日本産科婦人科学会
妊娠22週で産まれた場合は早産となりますが、産まれた赤ちゃんの体重は500g前後のため、新生児集中治療室(NICU)での治療が必要となります。
また、早く小さく生まれた赤ちゃんほど、のちに重篤な障害が出現する可能性があります。妊娠34週以降の正常な分娩時期に近い早産でも、呼吸障害などの障害が残る可能性も昨今報告されています。
流産とは
妊娠したにもかかわらず、妊娠の早い時期に赤ちゃんが死んでしまうことを流産と言います。定義としては、22週(赤ちゃんがお母さんのお腹の外では生きていけない週数)より前に妊娠が終わることをすべて「流産」といいます。妊娠12週未満の早い時期での流産が多く、流産全体の約80%を占めます。
出典:日本産科婦人科学会
お母さんが「仕事で動き過ぎた」とか、「激しい運動をした」などが原因で流産することはほとんどありません。
切迫早産とは
早産になりかかっている状態、つまり早産の一歩手前の状態を切迫早産といいます。子宮収縮が頻回におこり、子宮の出口(子宮口)が開き、赤ちゃんが出てきそうな状態や破水(子宮内で胎児を包み、羊水が漏れないようにしている膜が破れて、羊水が流出している状態)をしてしまった状態のことです。
出典:日本産科婦人科学会
切迫早産と診断された場合、外来通院もしくは入院して治療を行うこととなります。外来通院の場合は子宮収縮抑制剤の服薬、入院の場合は24時間の子宮収縮抑制剤の点滴治療を行うことになります。
早期の対処が大事!早産の原因とは
早産の原因には様々な要因があります。もし下記のような病状が見つかったときは早期に対処することが大切です。
子宮頸管無力症、子宮筋腫、子宮奇形など子宮に異常がある場合
子宮頸管無力症とは子宮口が開きやすい体質のことをいいます。陣痛がないのに子宮口が開き始めてしまい、自分では異変に気がつかないことが多いようです。また、良性の腫瘍である子宮筋腫や子宮の形が通常とは異なる奇形が原因で早産につながることがあります。
妊娠高血圧症候群
以前は「妊娠中毒症」と呼ばれていました。妊娠中に何らかの原因で高血圧となり、尿タンパクや血管障害、臓器障害などを引き起こします。それらの影響で血液の流れが悪くなり、胎児が十分に育たず、早産を引き起こすことがあります。
前置胎盤
胎盤が正常よりも低い位置(子宮口付近)にある状態のことを前置胎盤と言います。子宮口は産道の入り口ですから、胎盤がはがれてしまうと大量出血となり、母体も胎児も非常に危険な状態となります。そのため出血があった場合は帝王切開手術を行うため、結果早産となる場合があります。
細菌性膣症、子宮頸管炎、絨毛羊膜炎などの感染症
子宮は膣を通して外界と接しているため、細菌が膣に感染すると細菌性膣症を発症します。その炎症が広がると子宮頸管炎や絨毛膜羊膜炎などに発展し、感染が進むと体は菌から赤ちゃんを守るために、破水を起こして出産を促します。妊娠32週より前に破水した場合は、赤ちゃんが自分で呼吸できる状態になるまで抗菌剤を投与し感染を抑えます。
妊娠34週以降であれば、赤ちゃんは自分で呼吸ができる可能性が高いため、細菌が赤ちゃんに感染する前に出産することもあります。
長時間のお腹の張りには要注意!早産の兆候・症状とは
安藤さん。自分が早産だ、っていうのはどうやってわかるの?
いい質問ねまみちゃん。ここでは早産の兆候や症状にどんなものがあるのか見ていきましょう。
下腹部痛、背部痛
安静にしていても痛みが治まらず、なおかつ痛みが強くなったり、痛みの間隔が一定時間の場合は注意が必要です。子宮収縮が起こっている可能性があります。
お腹の張り
妊娠中は誰でもお腹の張りを感じるので、切迫早産の症状だと気がつかない場合も多いです。安静にすると治まるお腹の張りは心配ありませんが、張ってる時間が長かったり、規則的にお腹が張り続けると注意が必要です。これも子宮収縮が起こっている可能性が高いです。
不正出血
出産前になると「おしるし」と呼ばれる、おりものの中に出血が混じったものが性器から出てきますが、出産時期でもないのに出血が混じったおりものが出た時には要注意です。切迫早産と診断される可能性が高いです。
もちろん異常がない場合もありますが、必ずすぐに病院に相談するようにしましょう。
破水
破水してしまうと羊水に雑菌が侵入しやすいため、1週間以内に出産に至るケースが一般的です。少量の破水の場合、尿もれだと勘違いしやすいので注意が必要です。
尿もれの場合は力を入れれば止まりますが、破水の場合は自分の力で止まらず流れてきます。破水の可能性がある場合もすぐに病院を受診する必要があります。
とにかく「いつもと違う」と異変を感じたら遠慮せずすぐに病院を受診するようにしましょう。
【筆者の体験談②】突然の破水
その日は妊娠34週を迎えたばかりでした。なぜか朝から体がとても重く、立ち上がったり、歩くことさえツライと感じていました。
体がだるくとも、特にお腹が張っていたとか、お腹が痛いとかそういうことは一切なく「寝不足かな」「風邪の引き始めかな」その程度のものです。
その頃の筆者はお腹が張ることが多くおりものも増えており、医師から「絶対安静」を指示されていたものですから、その日も朝に夫を見送った後はすぐに横になりました。
横になっていても、やはり体が重くて「うーん、うーん」と思わず唸り声が出る程。体調がおかしいことは明らかでした。そのまま知らぬ間に寝てしまっていました。
「バシャッ」
突然大きな音が鳴り響き、ハッ!と目を覚ましました。下半身がベチャベチャに濡れていることにすぐに気が付きます。
「破水だ!」
ちょうど3日前、姉の友人の妊婦さんが妊娠35週で突然破水をして、出産に至った話を母から聞いていました。
「妊娠中は何が起きるか分からないから気をつけなさいよ!」そう言われていましたが、自分には縁がない話、と思っていたのです。
そのこともあり、すぐに破水したのだと気がつきました。バッと毛布をめくると、私が履いていたハーフパンツはベチャベチャ、布団も広い範囲で濡れてしまっていました。
ゾッとした筆者はとりあえず夫に連絡しなければ、と携帯を探します。携帯は筆者が横になっていた寝室ではなく、リビングに置いていたことを思い出し、ベッドから立ち上がりました。
すると、ジャッとさらに羊水が流れ出てきたのです。リビングまで歩く間にも、羊水がどんどん流れてきます。
「このままじゃ、全部羊水が出てきてしまう!」と思い、筆者は携帯を手にとるとリビングの床に横になりました。横になることで、せめてこれ以上羊水が流れ出ないように、と本能的にとった策でした。横になったまま、夫に電話をかけます。
「破水したっぽい!!どうしよう!!」
「え?!いや、俺じゃなくてとりあえず病院に電話しなよ!」
そうだ。病院に電話だ。夫の言葉に冷静になり、すぐにかかりつけの病院に電話をしました。
「あの!!すみません!!破水したっぽいんです!!」
「分かりました〜。お腹の痛みや出血はありますか??」
「え、いやぁ…羊水にピンクっぽいのは混じっていますけど出血はありません!!お腹は少し痛いです!!」
「そうなんですね〜それでは今すぐ病院にいらっしゃってください〜」
筆者の焦りとは裏腹に、電話の受付の方はとても冷静で、一瞬「なんだ。焦ることでもないのかな」と思いました。病院との電話を切った後は夫に再度電話をし、仕事を早退してもらって一緒に車で病院に向かいました。
早産の予防法 / 重い荷物や抱っこは控えて!
いきなり羊水が出てくるなんて頭真っ白になっちゃいそうね。。早産を予防できることはあるのかしら?
早産を完璧に予防することは難しいとされているんです。体質的な問題もありますし、赤ちゃんの発育の問題の場合も多くあるからです。それでもリスクを抑えるためにも、出来る限りのことはやっていきましょう。ここでは5つポイントをご紹介しますね。
適度な運動
妊娠中の激しい運動は母体に影響が出る場合もありますが、適度な運動は大切です。ストレスの解消や血行促進、体重増加の抑制などに繋がり、健康的な妊娠生活を送ることが出来ます。
塩分の摂りすぎ
妊娠中は塩からいものを無性に食べたくなる人が多いです。特にポテトチップスやフライドポテトを食べたくなる人はよくいます。しかし、妊娠中の過度の塩分摂取は妊娠高血圧症候群の原因にもなりえます。妊娠期間中は塩分に注意して、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
冷え対策
妊娠中、血液の流れが悪くなるとお腹の赤ちゃんに栄養が十分まわりません。血液の循環を促すためには冷えは大敵。足元が冷える場合には靴下を重ね履き、寒い時期には腹巻きなどもオススメです。重いものはできるだけ持ち上げない
重い荷物を無理して持つのはNG。下半身に力が入り、その影響でお腹が張りだしてしまい、切迫早産となってしまう人もいます。妊娠中上の子がいる場合なども、座ったまま抱っこするなどの配慮が必要です。
おりものの変化をチェック
早産の原因に多い「感染症」ですが、事前に防ぐことはとても難しいです。しかし、感染した場合おりものに変化が出ますので、チェックするようにしましょう。正常なおりものは透明〜薄いクリーム色です。感染が起きた場合、おりものは濃い黄色〜黄緑のような色になります。このようなおりものが出た時にはすぐに病院に相談しましょう。
【筆者の体験談③】主治医の優しさに救われて
病院に着くと、病院スタッフが慌てて車いすを用意し、私はそのままバタバタと内診室に運ばれました。
これからどうなるのだろう、赤ちゃんは生きているのだろうか…内診台に上がると、突然体がガクガク震え出します。
助産師さんが「大丈夫ですからね」と私の足を優しくさすってくれました。
「こんにちは〜。ちょっと見させてもらいますね」顔なじみの主治医が、カーテンの向こうから私に声をかけました。手の震えを止めるためなのか、祈る気持ちだったのか…筆者は手の平を組み合わせました。
内診が終わり、助産師さんに支えられながら診察室に入りました。いつもは椅子に座って医師と話すのですが、その日はベッドに横になるよう指示をされます。
「お母さん、お腹の中にはもう羊水がほとんど入っていないみたいです。とにかくこのままもう入院しちゃいましょうね。」
元々主治医は穏やかな人でしたが、その時はいつもより話し方が優しくて、柔らかくて、筆者はそこでプツンと緊張の糸が切れてしまいました。人前で泣く事なんてあり得ない筆者でしたが、その場で泣き出してしまいました。
「お母さん、大丈夫ですよ。心配しなくてもいいですからね。全力を尽くしますから元気な赤ちゃん産みましょう。それにうちの新生児科の腕は確かですから。安心してください。」
主治医は筆者の震えていた手を握り、お腹を優しくさすってくれました。
【筆者の体験談④】「早産」の覚悟
そのまま私はストレッチャーに乗せられ、病棟に運ばれました。運ばれた先は母体胎児集中治療室「MFICU」です。そこではまず血液検査が行われたのですが、筆者には「炎症反応」が確認されました。この炎症反応はつまり「感染症が確認された」ということ。
これこそが破水の原因だったのです。
お腹の赤ちゃんへの感染を防ぐために、すぐに抗生剤の点滴が始まりました。
「お母さん、感染もしてしまっているし、このままお腹に赤ちゃんを留めておくと、赤ちゃんにまで感染が及んでしまい重大な後遺症が残る可能性もあります。もう産んでしまいましょう」
産んでしまう…?羊水がないのに、これからどうやって妊娠継続していくのかな、とばかり考えていたため、主治医の「産んでしまいましょう」の言葉に驚きを隠せませんでした。
「あの、まだ34週なんですが…」
赤ちゃんがいつ産まれても大丈夫だと言われているのは37週です。それまでまだ3週間もあるのに、今産まれたら一体どうなるのだろうかと思いました。
「34週は肺形成も完了している頃ですし、大丈夫ですよ。後遺症の心配もほとんどないと考えられますし、それよりもこのまま妊娠継続してしまう方がよっぽど危険なんです」
医師のその言葉でやっと、自分の中で「早産」のけじめがついたように思います。
「産んでしまいましょう」主治医はそう言ったものの、なかなか陣痛が起こる気配はありませんでした。なんとなくお腹が重いような気がする…。あくまでその程度なのです。
お腹の痛みもないですし、いわゆる「おしるし」のような陣痛の予兆のようなものも一切なし。何度も何度も医師による内診が行われましたが、子宮口は開いてはくれませんでした。
そして「明日の朝になっても陣痛が起こらなければ陣痛促進剤を使って陣痛を起こしましょうね」と言われました。
陣痛促進剤とは?
子宮の収縮を促して、陣痛を起こす薬のことです。破水したのに陣痛が始まらない場合や、出産予定日を超過しても陣痛が始まらない、微弱陣痛が続き出産が進まない場合などに、薬の力で陣痛を起こします。陣痛促進剤を使うタイミングは?
陣痛を誘発する
出産予定日を2週間以上過ぎても陣痛が起こらず、胎盤の機能が低下してしまったり、赤ちゃんの状態が悪くなってしまった場合にはいそいで出産に至らなければならない可能性が出てくるため、陣痛促進剤の使用が検討されます。また、出産予定日まで日があるのに、破水してしまったり、妊娠高血圧症候群などで母体の状態が悪くなると、一刻も早い出産が必要となるため、陣痛促進剤を使って人工的に陣痛を起こし、出産へと至ります。
陣痛を後押しする
陣痛は自然にきたものの、子宮口の開きが遅い微弱陣痛と診断された場合、または陣痛が長引き母子ともに疲れた場合などにも陣痛促進剤を使います。陣痛促進剤はお腹の赤ちゃんの負担になる場合もあるので、赤ちゃんの状態を確認しながら検討しながら慎重に使用されます。
【筆者の体験談⑤】へその緒が赤ちゃんの首に…?
その日の夜、筆者は一睡も出来ませんでした。一体私が何をしたのだろう、日常生活で何か悪いところがあった?風邪ひいていたから?咳をしていたから?絶対安静を言われていたのに、時々家事をしちゃってたから?夜更かしが多かったから?食生活が適当だったから??頭の中をグルグル回るのは、妊娠生活で何が悪かったかばかり。そしてお腹の赤ちゃんが今どれだけ苦しんでいるかばかり。
赤ちゃんはたくさんの羊水の中、ふわふわと気持ちよく心地よく過ごすものなのに、羊水がほぼ空っぽの子宮の中で苦しくないのかな、きつくないかな、居心地悪いよな…そんなことばかり考えてしまい、あっという間に夜が明けました。
朝になっても、やっぱり陣痛は起こりませんでしたが、子宮口の状況確認のため、医師の内診を受けました。すると、カーテン越しではありますが、医師が「うーん」と唸る声が聞こえました。助手についていた助産師さんと何やらコソコソ話をしています。
どう考えても医師と助産師さんの会話の雰囲気は、いいことがあったような感じではありません。そして医師から知らされたのは「赤ちゃんの首にへその緒が3周している」という事実。
「あの、それって苦しくないんでしょうか??」
「うーん…少し苦しいかもしれませんね」
羊水がない子宮の中、苦しくて動き回ってへその緒が首に絡まってしまったのではないかと感じました。その後、医師は筆者の夫と母を呼び、今後の話をしたいということでした。
「お母さんも同席してもいいけれど、ツライ話もあるかもしれないので、大きなショックを受けるようなら聞かない方がいいかもしれません」主治医からそう言われ、とても迷いました。私の性格をよく知っている夫と母から「絶対に聞かない方がいい」と言われ、筆者だけ退席することになりました。
【筆者の体験談⑥】陣痛促進剤投与!なかなか産まれてくれない赤ちゃん
普通分娩で出産の予定でしたが、へその緒が赤ちゃんの首に3周していることから緊急帝王切開に至る可能性があることを主治医から聞かされました。そして午前10時に陣痛促進剤の投与が開始。「陣痛促進剤を使った陣痛は、自然の陣痛よりも遥かに痛いー。」
友人から聞いたことがあった筆者は点滴中、今から訪れる初めての「痛み」にただただ緊張していました。
陣痛促進剤を使ってから出産までにかかる時間は?
陣痛促進剤を投与してから陣痛が始まるまでの時間、出産を終えるまでの時間は人によって大きく異なります。
投与後すぐに陣痛が始まる人もいますが、投与してから数時間後に陣痛が始まり、その後も子宮が開くまでに10時間以上かかり、出産に24時間、48時間かかった人もいます。
陣痛促進剤を使用すれば、何時間後に陣痛が起こる、何時間で出産が終わるといった定義はありません。効果はあくまで人それぞれです。
筆者に陣痛らしきものが始まったのは、点滴開始から1時間と少し経った頃でした。
腰が重くなり、下腹に鈍い痛み。最初は重い生理痛程度でしたが、どんどん我慢出来ないほどの痛みに変わっていきました。その間隔は最初は15分、10分、5分、3分とどんどん短くなっていき、そして痛みもピークに。
初めての痛み、初めてのいきみ逃し。助産師さんが腰をさすると痛みが楽になるのに、夫がさすると余計に痛みが増します。痛みの辛さとイライラがピークになったのも恐らくこの頃でしょう。
助産師さんによる内診で、子宮口が7cm開いたところで分娩室に移動となりました。痛みの間隔がどんどん狭くなっているのに、早く、一刻も早くいきみたいのに、なかなか子宮口全開に辿り着きません。
筆者の担当助産師さんは元々1人だったはずなのに、気がつくと4人の助産師さんが筆者を囲んで何やらバタバタしていました。意識が遠のきそうなほどの痛みと戦っていた時に、内診をしていた助産師さんが大きな声で叫びます。
「よし!!子宮口全開!!いきんで!!」
筆者はやっと我慢していたものを全て吐き出すかのように、思いっきりいきみました。初めての出産ですから、いきみ方も呼吸の仕方も分かりませんでしたが、とにかく必死でした。
しかし、何度も何度もいきみますが、なかなか赤ちゃんは出てきません。ふと周りに目を向けると、10人ほどの助産師さん達が分娩台の筆者を囲んで「頑張って!!頑張れ!!」と叫ぶように応援してくれていました。産科医は2人、その後ろには恐らく小児科医が3人と小児科の看護師さんが立っていました。みんなが私と産まれてくる赤ちゃんのために、万全の態勢を整えてくれているんだ…突然、心強くなりました。
「お母さーん、下、切りますね!」
産科医に言われ、返事をする暇もなく、ザクッと会陰切開をされる感覚。ちなみに痛みは一切ありませんでした。それでもなかなか赤ちゃんは産まれません。
「お母さん、赤ちゃんが降りて来ないので吸引しますね」
産科医のその言葉とほぼ同時に、年配の助産師さんが恐らく脚立か何かに立ち、筆者のお腹を必死で押さえ始めました。
「だめだ!変わろう!!」
若い産科医が助産師さんと代わり、筆者に馬乗りになりました。筆者の頭の中はすでに軽くパニックでしたが、馬乗りされた瞬間「なに?!何事?!」と一瞬だけ変に冷静になりました。
そしてものすごい力でお腹を押されます。一瞬、呼吸ができないほどでした。しかし助産師さんから「いきんで!」と叫ばれ、どうにか必死にいきみます。
「頑張って!!頑張れ!!」
いきむ度に、大声で応援してくれる助産師さん達。そして筆者の右手を両手で握って、祈るかのように目をギュッと瞑っていたのは、その日筆者を朝から担当してくれていた助産師さんでした。
そして一瞬、陣痛が止まります。その場がシーンと静寂を迎えました。産科医が「次、痛みが来たら言ってください。次で産んでしまいますよ。」と言いました。
その表情から「次で絶対に決めなければやばいんだ。恐らく帝王切開になる」と本能的に感じました。
「あ!きたかも!!」
筆者のその言葉が合図となって、助産師さんが「いきんで!」と叫び、馬乗りになっていた産科医は今まで以上の強い力で筆者のお腹を押しました。
すると下半身からツルン、と何かが出て来た感覚を感じたのです。
「あ。産まれた。」と思いました。上半身を少し起こして覗き込むと、赤ちゃんは小児科医達に囲まれ、なにやら処置をされているようでした。棒のように細い手足がチラリと見え、そのあまりの細さに一瞬ゾッとしてしまいます。
そして、か細い声で「んぎゃぁあ」と小さく泣いた声が分娩室に響き渡りました。
「あ!!泣いた!!」助産師さんがとても驚いたように言いました。赤ちゃんって産まれたら泣くものでしょ??と、その時は不思議に思ったものです。ここで筆者の壮絶な出産はなんとか無事に終了しました。
【筆者の体験談⑦】後になって分かったこと
なんとか無事に出産を終えたわけですが、後になってからゾッとしたことがいくつかありました。それは筆者が思っていたよりもお腹にいた赤ちゃんの状況が思わしくなかったこと。まず、筆者が同席しなかった夫と母と産科医の話ですが、産科医は「赤ちゃんは極めて危険な状態で、何かあった時には病院としては母体を優先させてもらうことを、理解して欲しい」と夫と母に伝えたそうです。
また、陣痛促進剤を使っていたわけですが、赤ちゃんが思っていたよりも弱っていたため、ほとんど使えなかったこと。そのため微弱陣痛でなかなか子宮口も開かず、赤ちゃんも苦しい状態になっていたこと。
赤ちゃんが産まれた瞬間に、小さく泣いたことに助産師さんが驚いたのは、それほど赤ちゃんは弱っており、軽い新生児仮死状態だったとのこと。もちろんこれらは、当時妊婦である筆者には何一つ伝えられなかったことです。これを聞いていたら、果たして筆者は正常な気持ちでお産に臨めたのでしょうか…。
その後
色々と不安要素がありましたが、奇跡が重なって無事に産まれてくれた赤ちゃん。その後は新生児集中治療室「NICU」に入院し、めきめき元気になってくれました。2ヶ月の入院予定が1ヶ月で退院することが出来、スタッフみんなが驚くほどの元気の良さと食欲旺盛さだったようです。そんな我が子も今は4歳。とっても元気で、運動神経抜群、足の速さはクラスで1番、風邪なんて滅多にひきません。あの時、無事に産まれてくるか分からなかった子とはとても思えないほど、すくすくと元気に成長してくれています。
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