双子とわかったらどうする?実体験で紹介する出産までの流れとやっておくと安心な準備
[公開日]2016/10/13[更新日]2016/10/14
「妊娠したかも?」と思ったら、評判のいい産婦人科や親戚・友人がかかった産婦人科を受診する人も多いでしょう。「この病院で産みたい」と思って受診しても、双子とわかれば、その希望が叶わないこともあります。
理由は、双子の場合母体、胎児ともにトラブルがおきやすく、母体にも新生児にも対応できる設備の整った病院である必要があるからです。最初に憧れの産婦人科を受診したとしても、大学病院や総合病院を紹介されることが多いでしょう。
筆者は一卵性双生児を出産した経験があります。筆者の場合も、最初に妊娠がわかった時点で双子と判明し、膜性検査を待たずにその場で紹介状を書かれました。
双子の妊娠〜出産は「ハイリスク」「双子に安定期はない」と言われていますが、そこにはどんな危険があり、どんな準備が必要なのでしょうか?筆者の経験を交えながら、ご紹介します。
頭殿長約1.5㎝、体重約1g
赤ちゃんの様子
超音波で胎嚢が見える。脳、心臓などほとんどの臓器が急速につくられる。
母体の変化
月経が来ず、妊娠に気付く頃。早い人はつわりが始まることも。
気をつけたいトラブル
流産が心配な時期。器官が形成される大切な時期なので薬の服用には気をつける。
頭殿長約5㎝、体重約20g
赤ちゃんの様子
双子の診断がつく。エコーで見てもわかるようになる。
母体の変化
つわりがピーク。子宮が大きくなるので筋肉がひきつれる痛みがあることも。
気をつけたいトラブル
12週までに膜性診断を。結果次第では転院になる可能性がある。
身長約16㎝、体重約120g
赤ちゃんの様子
身体の器官がほぼ完成。羊水の量も増え、動くようになる。
母体の変化
胎盤が完成し、お腹が少し膨らんでくる。つわりは楽になる頃。
気をつけたいトラブル
単胎より早目にお腹が大きくなる。腰や背中への負担が大きいので姿勢に気をつける。
身長約25㎝、体重約300g
赤ちゃんの様子
筋肉や骨格が発達、動きも激しくなる。
母体の変化
胎動を感じ始める。安全祈願をする時期でもあるが、マタニティウエアは早目に準備を。
気をつけたいトラブル
子宮が大きくなって内臓が圧迫され、胃もたれを感じることも。貧血にも注意。
身長約30㎝、体重約660g
赤ちゃんの様子
顔立ちがはっきりわかるようになる。
母体の変化
胎児は急に成長しはじめるので、おなかがかなり目立ってくる。
気をつけたいトラブル
単胎ならよしとされる運動も、医師から控えるように言われることも。
身長約34㎝、体重約1000g
赤ちゃんの様子
聴覚、視覚が発達。皮下脂肪が増え、ふっくらしてくる。
母体の変化
胎動が活発になる。赤ちゃんたちに体重差や揚水量、血流バランスなど症状が出る場合も。
気をつけたいトラブル
妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などのトラブルに注意。
身長約38㎝、体重約1600g
赤ちゃんの様子
大きくなって、お腹の中は窮屈な状態に。厳重な管理が必要になってくる。
母体の変化
マイナートラブルやむくみ、貧血などの症状が増す。管理入院が必要になってくる。
気をつけたいトラブル
お腹は単胎なら臨月くらいの大きさに。一絨毛膜性なら管理入院になることが多い。
身長約42㎝、体重約2300g
赤ちゃんの様子
肺が成熟し、万が一母胎の外に出ても成長できる。
母体の変化
おなかが張りやすく、出産につまがるものでないか常に観察が必要。
気をつけたいトラブル
お腹の張り、子宮口が開き気味となり、破水しやすい。
身長約45〜48㎝、体重約2700g
赤ちゃんの様子
単胎に比べて小さめだが、機能は成熟。
母体の変化
足の付け根や恥骨に痛みを感じる。前駆陣痛を感じにくいかも。
気をつけたいトラブル
37〜38週で産まれることが多いため管理入院になることも。いつもと違う痛みや出血はすぐ病院へ。
赤ちゃんが2人入っているため、お腹は5ヶ月目あたりで「もうすぐ産まれるの?」と聞かれるほどに大きくなります。
お腹が大きくなるのが普通より早いため、マタニティウエアは早目に準備しましょう。
また、切迫早産にもなりやすく、5ヶ月以上の長い入院となる可能性もあります。
とにかく安静にして、自分の状態をいつも気に掛けておいてください。特に、初めての妊娠では、お腹が張っている状態がどういうことなのか、お腹や腰の痛みが病院に行くレベルなのかわからないことがあります。
妊娠は病気ではありませんが、本人は元気でも、お腹の中ではいろんなことが起こっている可能性もあります。
自覚症状がないだけに、よくよく注意して観察しましょう。
18週目で出血したので念のため受診したら、そのまま1週間の入院を言い渡されました。
ところが6日目の検査で状態が悪いことが判明し、すぐに救急車でNICU(新生児特定集中医療室)のある大きな病院へ移されました。
本人はまったく無自覚で元気なのに、救急車に乗せられて、どこをどう走っているかもわからないまま、次の病院へ運び込まれたのです。
ちなみに、最初に入院していたのも大きな総合病院でしたが、34週より前に産まれた赤ちゃんのケアができないための転院でした。
後からドクターに聞いたところによると、この時、すでに「あと2〜3日で産まれるかも」という状態だったそうです。
結局は、入院中ベッドの上からトイレにしか行けない絶対安静で、1ヶ月半を過ごし、28週(8ヶ月)で出産することになります。
双子の妊娠は、憧れられることも多いけれど、危険もいっぱいです。1度に2人産まれて、妊娠も出産も1回で済む、ラッキー!というほど甘くはありません。
どんなトラブルが起こりやすいのか、早期発見や早期治療につなげるために、知っておいた方が良いことをご紹介します。
「切迫」とつくものに、切迫流産がありますが、こちらも双子の場合はなりやすいというデータがあり、原因や理由ははっきりわかっていません。いずれにしても、単胎より危険性が高いということは言えます。
切迫早産は、子宮収縮が頻繁に起き、子宮口が開いたり、破水したりして、赤ちゃんが出てきそうな状態です。まだ赤ちゃんはお腹の中にいて欲しいので、入院して治療や処置を受け、絶対安静になることも。
切迫早産の原因は、
処置・治療としては、入院当時からウテメリン(子宮の収縮を予防する)の24時間持続点滴、毎日の鉄剤点滴をしていました。感染症防止のため、お風呂はもちろんシャワー浴も禁止で、入院中はずっと清拭のみ。
28週に入り、胎児の体重が両方とも1000gを越えたと喜んでいたら、トイレで大量に破水。すぐに看護師に伝え、ベッドで安静に。ずっとお腹の張りは続き、だんだん強くなっていきました。もうこれは陣痛だな…という痛みが来だして4時間後、10分間隔になったので、分娩台へ。
子宮口もすでに全開のため、緊急帝王切開となり、手術室へ運ばれました。緊急ということで全身麻酔をかけたので、赤ちゃんが出てきたのはまったくわからず、産声を聞くことはできませんでした。
目が覚めてから尋ねたら、赤ちゃんは両方とも出産直後心臓が止まったそうです。
2人とも無事に蘇生して、今はNICUの保育器の中にいるとのこと。妊娠、双子とわかってからずっと心配し続けたのですが、ここからがまた新たなスタートとなりました。
多くは、産婦人科で鉄剤を処方されることになるでしょう。
実は原因がはっきりしない病気ですが、母胎の負担が大きくなるために起こると言われており、より負担の大きい双子の妊娠だと、なりやすいのです。
普段から塩分控えめの食事にして、疲れやストレスを溜めないようにしましょう。
細菌性膣症、頸管炎、絨毛膜羊膜炎のいずれも自覚症状がないまま進行することが多く、できる限り早期発見、治療が必要です。
妊娠をきっかけにこの糖尿病が起こることがあり、それを妊娠糖尿病と呼びます。怖いのは、病気そのものというよりも妊娠高血圧症候群との合併症や、流産、早産のリスクが高くなること、赤ちゃんが巨大児になったりすることです。
特に自覚症状がないので、尿検査で見つかることがほとんど。食事療法で改善されない場合は、インスリン注射をするなどの治療が行われます。
母体にも何かとトラブルの多い双子妊娠ですが、赤ちゃんの方にもリスクが大きいのが心配ですね。
どんなトラブルやリスクがあるのか、詳しく見ていきましょう。
片方の赤ちゃんから、もう片方の赤ちゃんへ輸血する、という状態です。そうなると、2人の成長がアンバランスになり、大きさに違いが出るだけでなく、2人とも心不全を起こす危険に晒されます。
原因は胎盤にあり、予防や治療が不可能。赤ちゃんがある程度の大きさに成長していれば、出産させてNICUで対応ということもあります。しかし、それ以前に発症した場合は高度な治療が必要になるため、施設にも限りがあります。
赤ちゃんには、機能障害や染色体異常などのトラブルが起こっている可能性が。片方でも発育遅延が起こったら、入院して経過を見ます。
2週間以上成長が止まったら、最悪の場合赤ちゃんが死亡することも考えられるので、慎重に出産のタイミングを探していきます。
さて、ここまでは双子の妊娠経過と、そのトラブルやリスクについて述べてきましたが、出産の準備に入りましょう。
トラブルが多く、いつ、どんなタイミングで、急な入院にならないとも限りません。できる限り早目に準備をしておくことはとても大切です。
ただし、お腹が大きくなり始めてから出産するまでには季節が変わることも考えて、数は最小限に。服だけでなく、妊婦用の下着も早目に必要になります。これは是非、準備することをおすすめします。
自分の意思や自覚症状に関わらず、トラブルに見舞われ、即入院ともなりかねません。いつそうなってもいいよう、家族がわかるように入院時に必要なものを揃えて、バッグに入れておくと安心です。
あると便利だなと思ったものは、本や編み物、スマホ、ポータブルゲーム機などのヒマ潰し系。特に出産のための入院でない場合、長期の入院生活になる上に、安静が必要な可能性があるため、ベッドの上でできるものを探して準備しておくと便利です。
NGなのは、香りのするボディオイルや妊娠線予防クリーム。基礎化粧品も、無香料のものを選びましょう。
個室でない限り、同室になるのは妊婦さんばかり。中にはつわり中の方もいるので、香りのするものは避けましょう。
思いがけず、早く入院することになり、そのまま出産ということもあり得るので、まだまだ出産は先と思っても、早目に用意しておくといいでしょう。
筆者は緊急帝王切開での出産となり、双子は1099g、1227gという極低出生体重児で産まれました。
よって、母親は普通の帝王切開での退院となりますが、子どもたちはNICUでの入院が続きます。
筆者だけが先に退院して、家で母乳を絞って冷凍、毎日病院に届けて見舞うという生活が2ヶ月続きました。出産予定日より2ヶ月早かったので、通常赤ちゃんが生まれてくるサイズに育つのと機能の発達にもやはり2ヶ月かかるのですね。
筆者は「出血したので念のため診てもらおう」と受診したらそのまま入院という経緯でした。当時はまだ妊娠5ヶ月です。
赤ちゃんのための準備を何一つしていませんでした。もちろん、自分の入院準備など考えてもおらず、しかも安静のため、家に1度帰ることも許してもらえませんでした。
着の身着のまま、約2ヶ月の入院をすることになり、本当に色々困ったことを今でも思い出します。
筆者だけ退院した後、赤ちゃんのものを買い出しに出かけましたが、2ヶ月の間ベッドの上にいたため、筋力が低下して歩けず、車椅子でショッピングモール内を回る羽目にもなりました。
「まさか」と思っても、いずれにしろ必要なものですから、早目に準備するに越したことはありません。双子妊娠は、大袈裟なほど早目に病院に行き、早目に準備をする、そして決して無理をしないことを強くおすすめします。
双子の出産は、危険と隣り合わせ、怖くなってしまうこともあると思いますが、誰でもは経験できない特別なことと思い、ドン!と構えておきましょう。
順調にいっても、8ヶ月に入ると管理入院になる病院もあるようです。
「まだ大丈夫」と思わずに、動けるうちに準備をしておきましょう。
産まれた後も、自分が充分に動けない場合が考えられますので、借りられる手は、できる限り借りましょう。
理由は、双子の場合母体、胎児ともにトラブルがおきやすく、母体にも新生児にも対応できる設備の整った病院である必要があるからです。最初に憧れの産婦人科を受診したとしても、大学病院や総合病院を紹介されることが多いでしょう。
筆者は一卵性双生児を出産した経験があります。筆者の場合も、最初に妊娠がわかった時点で双子と判明し、膜性検査を待たずにその場で紹介状を書かれました。
双子の妊娠〜出産は「ハイリスク」「双子に安定期はない」と言われていますが、そこにはどんな危険があり、どんな準備が必要なのでしょうか?筆者の経験を交えながら、ご紹介します。
双子妊娠の経過
双子を妊娠した時って、一体どんな経過をたどっていくのかなぁ?
こんにちは!「アンチエイジングの神様」管理人の安藤美和子です。まずは、双子を妊娠した場合、どのようにお腹の赤ちゃんたちと母体が変化していくのかを見ていきましょう。
2か月(4~7週)
胎児の大きさ頭殿長約1.5㎝、体重約1g
赤ちゃんの様子
超音波で胎嚢が見える。脳、心臓などほとんどの臓器が急速につくられる。
母体の変化
月経が来ず、妊娠に気付く頃。早い人はつわりが始まることも。
気をつけたいトラブル
流産が心配な時期。器官が形成される大切な時期なので薬の服用には気をつける。
3か月(8~11週)
胎児の大きさ頭殿長約5㎝、体重約20g
赤ちゃんの様子
双子の診断がつく。エコーで見てもわかるようになる。
母体の変化
つわりがピーク。子宮が大きくなるので筋肉がひきつれる痛みがあることも。
気をつけたいトラブル
12週までに膜性診断を。結果次第では転院になる可能性がある。
4か月(12~15週)
胎児の大きさ身長約16㎝、体重約120g
赤ちゃんの様子
身体の器官がほぼ完成。羊水の量も増え、動くようになる。
母体の変化
胎盤が完成し、お腹が少し膨らんでくる。つわりは楽になる頃。
気をつけたいトラブル
単胎より早目にお腹が大きくなる。腰や背中への負担が大きいので姿勢に気をつける。
5か月(16~19週)
胎児の大きさ身長約25㎝、体重約300g
赤ちゃんの様子
筋肉や骨格が発達、動きも激しくなる。
母体の変化
胎動を感じ始める。安全祈願をする時期でもあるが、マタニティウエアは早目に準備を。
気をつけたいトラブル
子宮が大きくなって内臓が圧迫され、胃もたれを感じることも。貧血にも注意。
6か月(20~23週)
胎児の大きさ身長約30㎝、体重約660g
赤ちゃんの様子
顔立ちがはっきりわかるようになる。
母体の変化
胎児は急に成長しはじめるので、おなかがかなり目立ってくる。
気をつけたいトラブル
単胎ならよしとされる運動も、医師から控えるように言われることも。
7か月(24~27週)
胎児の大きさ身長約34㎝、体重約1000g
赤ちゃんの様子
聴覚、視覚が発達。皮下脂肪が増え、ふっくらしてくる。
母体の変化
胎動が活発になる。赤ちゃんたちに体重差や揚水量、血流バランスなど症状が出る場合も。
気をつけたいトラブル
妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などのトラブルに注意。
8か月(28~31週)
胎児の大きさ身長約38㎝、体重約1600g
赤ちゃんの様子
大きくなって、お腹の中は窮屈な状態に。厳重な管理が必要になってくる。
母体の変化
マイナートラブルやむくみ、貧血などの症状が増す。管理入院が必要になってくる。
気をつけたいトラブル
お腹は単胎なら臨月くらいの大きさに。一絨毛膜性なら管理入院になることが多い。
9か月(32~35週)
胎児の大きさ身長約42㎝、体重約2300g
赤ちゃんの様子
肺が成熟し、万が一母胎の外に出ても成長できる。
母体の変化
おなかが張りやすく、出産につまがるものでないか常に観察が必要。
気をつけたいトラブル
お腹の張り、子宮口が開き気味となり、破水しやすい。
10か月(36~39週)
胎児の大きさ身長約45〜48㎝、体重約2700g
赤ちゃんの様子
単胎に比べて小さめだが、機能は成熟。
母体の変化
足の付け根や恥骨に痛みを感じる。前駆陣痛を感じにくいかも。
気をつけたいトラブル
37〜38週で産まれることが多いため管理入院になることも。いつもと違う痛みや出血はすぐ病院へ。
赤ちゃんが2人入っているため、お腹は5ヶ月目あたりで「もうすぐ産まれるの?」と聞かれるほどに大きくなります。
お腹が大きくなるのが普通より早いため、マタニティウエアは早目に準備しましょう。
また、切迫早産にもなりやすく、5ヶ月以上の長い入院となる可能性もあります。
とにかく安静にして、自分の状態をいつも気に掛けておいてください。特に、初めての妊娠では、お腹が張っている状態がどういうことなのか、お腹や腰の痛みが病院に行くレベルなのかわからないことがあります。
妊娠は病気ではありませんが、本人は元気でも、お腹の中ではいろんなことが起こっている可能性もあります。
自覚症状がないだけに、よくよく注意して観察しましょう。
そんなに早くお腹が大きくなるんだね。早めに色々準備しなきゃ!
筆者の体験談・・・双子妊娠発覚後の流れ
筆者は双子妊娠がわかったら即仕事をやめるよう言われました。もちろん運動も禁止。18週目で出血したので念のため受診したら、そのまま1週間の入院を言い渡されました。
ところが6日目の検査で状態が悪いことが判明し、すぐに救急車でNICU(新生児特定集中医療室)のある大きな病院へ移されました。
本人はまったく無自覚で元気なのに、救急車に乗せられて、どこをどう走っているかもわからないまま、次の病院へ運び込まれたのです。
ちなみに、最初に入院していたのも大きな総合病院でしたが、34週より前に産まれた赤ちゃんのケアができないための転院でした。
後からドクターに聞いたところによると、この時、すでに「あと2〜3日で産まれるかも」という状態だったそうです。
結局は、入院中ベッドの上からトイレにしか行けない絶対安静で、1ヶ月半を過ごし、28週(8ヶ月)で出産することになります。
双子に起きやすい母体のトラブル
双子の妊娠は、憧れられることも多いけれど、危険もいっぱいです。1度に2人産まれて、妊娠も出産も1回で済む、ラッキー!というほど甘くはありません。
どんなトラブルが起こりやすいのか、早期発見や早期治療につなげるために、知っておいた方が良いことをご紹介します。
切迫早産とは
切迫早産とは、簡単に言うと「早産になりそう」な状態のことです。早産とは妊娠22〜26週の間に産まれることを言うので、まったくの別物ということになります。「切迫」とつくものに、切迫流産がありますが、こちらも双子の場合はなりやすいというデータがあり、原因や理由ははっきりわかっていません。いずれにしても、単胎より危険性が高いということは言えます。
切迫早産は、子宮収縮が頻繁に起き、子宮口が開いたり、破水したりして、赤ちゃんが出てきそうな状態です。まだ赤ちゃんはお腹の中にいて欲しいので、入院して治療や処置を受け、絶対安静になることも。
切迫早産の原因は、
・絨毛膜羊膜炎などの感染症
・子宮頸管無力症、子宮筋腫など
・多胎妊娠
となっており、双子の場合はなりやすいことがわかります。兆候や症状を見逃さないようにしましょう。・子宮頸管無力症、子宮筋腫など
・多胎妊娠
切迫早産の症状や兆候
下腹部、背中痛
安静にしても痛みが治まらない、逆に痛みが強くなる時は、子宮収縮が起こっている可能性があります。すぐにかかりつけの産婦人科に連絡しましょう。お腹の張り
お腹がキュッとひきつれるような、収縮するような感覚がお腹の張りです。5ヶ月目をすぎるとよくあることで、気付かないことがあるため注意しましょう。お腹が張り続けたり、間隔が10分以内になると早産になってしまうので、早目に安静にし、受診してください。出血
出産前の「おしるし」が、出産時期ではないのに出ることがあります。不正出血をしたら、よく様子を見て、いつもと違うと感じた場合は受診しましょう。破水
臨月の破水と違って、少量ずつ羊水が出てくることがあります。尿漏れと間違わないように、よく観察してください。羊水が出ているということは、破水しているので1週間以内に出産になるケースが多いです。こうした兆候を見逃さないことがとても大切なのね・・・。気をつけなきゃ。
筆者の体験談・・・全身麻酔で壮絶出産
筆者は、切迫早産のため妊娠18週から入院していましたが、27週目に入ったあたりから徐々に羊水が出ていました。ドクターにも話しましたが、羊水が漏れるのは止められないとのこと。処置・治療としては、入院当時からウテメリン(子宮の収縮を予防する)の24時間持続点滴、毎日の鉄剤点滴をしていました。感染症防止のため、お風呂はもちろんシャワー浴も禁止で、入院中はずっと清拭のみ。
28週に入り、胎児の体重が両方とも1000gを越えたと喜んでいたら、トイレで大量に破水。すぐに看護師に伝え、ベッドで安静に。ずっとお腹の張りは続き、だんだん強くなっていきました。もうこれは陣痛だな…という痛みが来だして4時間後、10分間隔になったので、分娩台へ。
子宮口もすでに全開のため、緊急帝王切開となり、手術室へ運ばれました。緊急ということで全身麻酔をかけたので、赤ちゃんが出てきたのはまったくわからず、産声を聞くことはできませんでした。
目が覚めてから尋ねたら、赤ちゃんは両方とも出産直後心臓が止まったそうです。
2人とも無事に蘇生して、今はNICUの保育器の中にいるとのこと。妊娠、双子とわかってからずっと心配し続けたのですが、ここからがまた新たなスタートとなりました。
貧血
それでなくても女性は貧血になりやすいもの。妊娠すると赤ちゃんに血液を届けるため、血液循環量が増え、血が薄くなってしまうので、妊婦は貧血になりやすくなります。双子だと、2人分の血液が必要になるので、より貧血になりがち。多くは、産婦人科で鉄剤を処方されることになるでしょう。
妊娠高血圧症候群
単胎の妊娠でも起きる病気で、以前は妊娠中毒症と呼ばれていました。実は原因がはっきりしない病気ですが、母胎の負担が大きくなるために起こると言われており、より負担の大きい双子の妊娠だと、なりやすいのです。
普段から塩分控えめの食事にして、疲れやストレスを溜めないようにしましょう。
感染症
切迫早産や早産の原因となるので、気をつけたい病気です。細菌性膣症、頸管炎、絨毛膜羊膜炎のいずれも自覚症状がないまま進行することが多く、できる限り早期発見、治療が必要です。
妊娠糖尿病
糖尿病とは生活習慣病のひとつですが、膵臓から分泌されるインスリンが不足して血液中のブドウ糖をエネルギーに換えることができず、糖がそのまま尿に排出されてしまう病気です。妊娠をきっかけにこの糖尿病が起こることがあり、それを妊娠糖尿病と呼びます。怖いのは、病気そのものというよりも妊娠高血圧症候群との合併症や、流産、早産のリスクが高くなること、赤ちゃんが巨大児になったりすることです。
特に自覚症状がないので、尿検査で見つかることがほとんど。食事療法で改善されない場合は、インスリン注射をするなどの治療が行われます。
双子に起きやすい胎児のトラブル
母体にも何かとトラブルの多い双子妊娠ですが、赤ちゃんの方にもリスクが大きいのが心配ですね。
どんなトラブルやリスクがあるのか、詳しく見ていきましょう。
双胎間輸血症候群
一絨毛膜性の双子、一卵性双生児の場合、胎児同士で血液の行き来があることがあります。片方の赤ちゃんから、もう片方の赤ちゃんへ輸血する、という状態です。そうなると、2人の成長がアンバランスになり、大きさに違いが出るだけでなく、2人とも心不全を起こす危険に晒されます。
原因は胎盤にあり、予防や治療が不可能。赤ちゃんがある程度の大きさに成長していれば、出産させてNICUで対応ということもあります。しかし、それ以前に発症した場合は高度な治療が必要になるため、施設にも限りがあります。
子宮内胎児発育遅延
双子は本来一人用である子宮に、二人が入っているため窮屈で、発育のスピードも緩やかになります。しかし、そのことを踏まえた上でも著しく発育に遅れが認められる場合、このように呼びます。赤ちゃんには、機能障害や染色体異常などのトラブルが起こっている可能性が。片方でも発育遅延が起こったら、入院して経過を見ます。
2週間以上成長が止まったら、最悪の場合赤ちゃんが死亡することも考えられるので、慎重に出産のタイミングを探していきます。
赤ちゃんの命のリスクまであるのね。赤ちゃんを守るためにも、お医者さんの言うことをしっかり守らなきゃいけないね。
絶対に無理をせず、自分の身体を大切にしましょう!
双子の出産準備
さて、ここまでは双子の妊娠経過と、そのトラブルやリスクについて述べてきましたが、出産の準備に入りましょう。
トラブルが多く、いつ、どんなタイミングで、急な入院にならないとも限りません。できる限り早目に準備をしておくことはとても大切です。
母親の準備
先にも述べたように、双子は早目にお腹が大きくなるので、双子とわかった時点でマタニティウエアの準備に入りましょう。妊娠5ヶ月の時には普通の服は着られないと思った方がいいです。ただし、お腹が大きくなり始めてから出産するまでには季節が変わることも考えて、数は最小限に。服だけでなく、妊婦用の下着も早目に必要になります。これは是非、準備することをおすすめします。
自分の意思や自覚症状に関わらず、トラブルに見舞われ、即入院ともなりかねません。いつそうなってもいいよう、家族がわかるように入院時に必要なものを揃えて、バッグに入れておくと安心です。
早目の入院時に必要なもの
健康保険証・母子手帳・診察券・印鑑
前開きのパジャマ(3組程度)・ガウン・スリッパ・授乳用ブラ、産褥ショーツ(各3枚程度)・産褥ナプキン・母乳パッド・清浄綿・タオル(数枚)・歯磨きセット・洗面用具・ティッシュ・爪切り・耳かき・小銭・メガネ(必要な場合)
前開きのパジャマ(3組程度)・ガウン・スリッパ・授乳用ブラ、産褥ショーツ(各3枚程度)・産褥ナプキン・母乳パッド・清浄綿・タオル(数枚)・歯磨きセット・洗面用具・ティッシュ・爪切り・耳かき・小銭・メガネ(必要な場合)
あると便利だなと思ったものは、本や編み物、スマホ、ポータブルゲーム機などのヒマ潰し系。特に出産のための入院でない場合、長期の入院生活になる上に、安静が必要な可能性があるため、ベッドの上でできるものを探して準備しておくと便利です。
NGなのは、香りのするボディオイルや妊娠線予防クリーム。基礎化粧品も、無香料のものを選びましょう。
個室でない限り、同室になるのは妊婦さんばかり。中にはつわり中の方もいるので、香りのするものは避けましょう。
同室のお母さんは、言ってみれば一緒に頑張る仲間だもんね。思いやりが大切だね!
赤ちゃんの準備
双子だから、一人の倍必要!ということはありません。双子は1.5人分準備しておけば大抵間に合います。思いがけず、早く入院することになり、そのまま出産ということもあり得るので、まだまだ出産は先と思っても、早目に用意しておくといいでしょう。
最低限でも揃えたい双子の育児用品
・短肌着 7〜8枚
・長肌着 5〜6枚
・ツーウェイオール 4〜6枚
・紙おむつ 1〜2パック
・おしりふき 1パック
・粉ミルク 大2缶
・哺乳瓶 2〜3本
・乳首 2〜4個
・ベビーバス 1つ
・ベビー布団 2組(大人用で代用も可)
・2人用ベビーカー(縦型か三輪のものが便利)
・長肌着 5〜6枚
・ツーウェイオール 4〜6枚
・紙おむつ 1〜2パック
・おしりふき 1パック
・粉ミルク 大2缶
・哺乳瓶 2〜3本
・乳首 2〜4個
・ベビーバス 1つ
・ベビー布団 2組(大人用で代用も可)
・2人用ベビーカー(縦型か三輪のものが便利)
筆者の体験談・・・出産した後も大変!
筆者は緊急帝王切開での出産となり、双子は1099g、1227gという極低出生体重児で産まれました。
よって、母親は普通の帝王切開での退院となりますが、子どもたちはNICUでの入院が続きます。
筆者だけが先に退院して、家で母乳を絞って冷凍、毎日病院に届けて見舞うという生活が2ヶ月続きました。出産予定日より2ヶ月早かったので、通常赤ちゃんが生まれてくるサイズに育つのと機能の発達にもやはり2ヶ月かかるのですね。
筆者は「出血したので念のため診てもらおう」と受診したらそのまま入院という経緯でした。当時はまだ妊娠5ヶ月です。
赤ちゃんのための準備を何一つしていませんでした。もちろん、自分の入院準備など考えてもおらず、しかも安静のため、家に1度帰ることも許してもらえませんでした。
着の身着のまま、約2ヶ月の入院をすることになり、本当に色々困ったことを今でも思い出します。
筆者だけ退院した後、赤ちゃんのものを買い出しに出かけましたが、2ヶ月の間ベッドの上にいたため、筋力が低下して歩けず、車椅子でショッピングモール内を回る羽目にもなりました。
「まさか」と思っても、いずれにしろ必要なものですから、早目に準備するに越したことはありません。双子妊娠は、大袈裟なほど早目に病院に行き、早目に準備をする、そして決して無理をしないことを強くおすすめします。
双子出産の流れと準備まとめ
双子の出産は、危険と隣り合わせ、怖くなってしまうこともあると思いますが、誰でもは経験できない特別なことと思い、ドン!と構えておきましょう。
順調にいっても、8ヶ月に入ると管理入院になる病院もあるようです。
「まだ大丈夫」と思わずに、動けるうちに準備をしておきましょう。
産まれた後も、自分が充分に動けない場合が考えられますので、借りられる手は、できる限り借りましょう。