出産後の抜け毛の原因は女性ホルモン!ヘアケアや見た目の対策を解説
[公開日]2017/12/11
出産後に抜け毛が増えるのは、どうしてなのか不安に感じていませんか?
産後の抜け毛の原因は、女性ホルモンの分泌量が変化することです。
妊娠すると増加するエストロゲンには、髪の毛を抜けさせない性質があります。出産してエストロゲンが元の量に戻ると、これまで抜けなかった分が一気に抜けてしまうというわけです。
つまり、産後のホルモンバランスが元に戻ればいずれおさまるものなのですが、早くおさまる方法はあるのか、産後の抜け毛の原因と対策について詳しく解説します。
目次
産後の抜け毛の原因はホルモンバランスと生活習慣
多くの人が気になる産後の抜け毛ですが、一体何が原因で起きているのでしょうか?
髪の毛は皮膚の一部であり、排泄器官としての機能も持っているので、いろんな面からの原因が考えられます。
産後の抜け毛を知るには毛周期(ヘアサイクル)の理解が必要
産後の抜け毛を知るためには、まずは「毛周期(ヘアサイクル)」のしくみについての理解が必要です。対策や髪の毛の美しさを保つためにも必要な知識なので、まずは毛周期について解説していきます。
毛周期とは、毛が生えるサイクルのことです。基本的な毛周期は、成長期、退行期、休止期に分けられ、わたしたちの髪の毛は、図のように生まれる前からこれをくり返しています。それぞれの期間は、
・成長期 約3〜6年
・退行期 2〜3週間
・休止期 2〜3ヶ月
であり、このどこで抜け毛が起こっているかでも、対策が変わってくるのです。・退行期 2〜3週間
・休止期 2〜3ヶ月
産後抜け毛は「急性休止期脱毛」といって、休止期に原因がある脱毛ということになります。
産後に起きる抜け毛の原因
女性ホルモンの分泌量の変化が毛周期に影響する
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があり、エストロゲンには髪の毛を育てて抜け毛を防ぐ作用があります。普段は2種類が交互に分泌量を増減して妊娠に備えていますが、妊娠すると2種類とも分泌量が増加するのです。
毛周期で言うと、本来成長期から休止期へ移行するべき髪の毛が、エストロゲンの分泌量が増加した影響でそのまま成長期を延長してしまいます。これが原因で妊娠中は髪の毛が抜けにくくなってしまうのです。(妊娠中に体毛が濃くなる現象もこれが原因です。)
ところが、出産すると身体は元に戻ろうとするので、女性ホルモンも妊娠前の状態に戻ります。すると、妊娠中に毛周期が成長期のまま延長されていた髪の毛が一気に休止期へ移行し、抜け毛が増えるのです。
また、出産すると分泌される乳汁刺激ホルモンには、毛成長抑制作用があり、これも髪の毛を休止期へ導いている可能性があります。
出産後の慣れない育児のストレス
産後すぐにやってくる育児が原因で、ママは今までに感じなかったストレスを抱えることになります。昼夜を問わない授乳や赤ちゃんの夜泣きのなど、慣れない育児でストレスを感じてしまうのですね。
ストレスを感じると自律神経が乱れ、血液の循環が悪くなります。
髪の毛の大元となる毛母細胞は毛細血管から栄養をもらっていますが、血液の循環が悪くなり、血液から栄養がもらえないと抜け毛の原因となるのです。
出産後の授乳などが原因の栄養不足
ダイエットでも起こる抜け毛ですが、産後は授乳によって母体が栄養不足に陥りやすくなります。産後はダイエットしたい人も多いでしょうが、栄養が不足すると当然ながら髪の毛に栄養がいかなくなるので、髪は十分に育たず毛周期を乱してしまいます。
過度な産後ダイエットは避け、授乳中ということを考慮して食事のバランスに注意し、栄養をしっかり摂りましょう。
睡眠不足による自律神経の乱れ
夜泣きや真夜中の授乳など、出産後は赤ちゃん中心の生活になるため、きちんと睡眠がとれていないママも多いことでしょう。しかし睡眠不足は自律神経が乱れる原因となり、髪の毛に十分な栄養がいかなくなってしまいます。
加齢による髪への負担
約7割の人が産後の脱毛に悩んでいますが、経産婦や高齢出産の割合はより多く見られます。これは、髪を育てるホルモンであるエストロゲンが加齢によって減ってくることが原因のひとつです。
出産しなくても、女性は30代後半から更年期にかけて、脱毛が起きやすくなります。ここに出産が重なることが、抜け毛が悪化する原因です。
出産後の抜け毛の時期はいつからいつまで?
いつから髪の毛が抜け始めるのか?
産後の脱毛が始まるのが一番多いのは、出産後1か月頃からですが、出産後3日目から脱毛が始まるケースもあります。1日に50〜100本以内の脱毛は出産後でなくても起こる正常範囲ですが、1日に100本以上の脱毛がある場合には、出産が原因で起きた脱毛だと考えていいでしょう。
産後の抜け毛、ピークはいつ?
産後脱毛は、通常は全体の5〜10%である休止期の髪の毛の量が妊娠出産によって急激に変化し、休止期の髪の毛が増加することで脱毛します。つまり妊娠中に女性ホルモンの影響で抜けなかった髪の毛が、出産して女性ホルモンが元の状態に戻る際に起こるので、脱毛のピークは産後4〜6ヶ月あたりです。
抜け毛のピークを過ぎると徐々に抜け毛は回復して、通常の1日50〜100本程度になってきます。出産後半年を過ぎると、70%以上の女性が特に治療をしなくても脱毛数が正常に戻り、1年から1年半後にはほとんどの人の抜け毛がおさまります。
ただし、父親が男性型脱毛症である場合、出産後脱毛をきっかけにして薄毛が進行することもあります。1年半を過ぎても抜け毛がおさまらない場合は、皮膚科の専門医を受診してみましょう。
【筆者の体験談】出産後の脱毛が起こらない人もいる
出産後の抜け毛は多くの人が経験していますが、必ずしも起こるものではありません。筆者は妊娠28週(8ヶ月)での早産になったため、妊娠中のホルモンに影響される期間が短かったせいもあるとは思いますが、出産後の抜け毛は起こりませんでした。
ママ友から「出産後は髪の毛が抜ける」と聞いていて、心配な方も多いかと思います。
ただ、心配するあまりかえってストレスになったり、過剰に脱毛に反応することもあるので、1日の抜け毛が100本までなら通常範囲であることを知っておきましょう。
出産後の抜け毛を長引かせない対策とは?
一刻も早く出産後の抜け毛を終わらせたい…。何かいい対策があれば知りたいですよね。
そのためには、基本的な生活を整える対策が重要になってきます。健康的な生活習慣は赤ちゃんの生活リズムを整える上でも重要なので、ぜひ参考にしてください。
ストレスをため込まない
赤ちゃんに振り回される生活に「ストレスを感じないようにする」というのは難しいですが、ストレスを上手に発散する対策はとれるはずです。ストレスはおっぱいの出にも影響しますし、イライラや自律神経の乱れを誘発して悪循環に陥りかねません。
夫や実家に協力してもらって、ほんの1時間でも1人でお出かけしたり、睡眠をとったり、好きなことをする時間を作ることでリフレッシュしましょう。一旦赤ちゃんと離れることで、ストレスから解放されることもあります。
質の良い睡眠をとる
赤ちゃんの生活リズムが整うまでは、ママもまとまった睡眠時間を取ることは難しいですね。赤ちゃんが眠っている間に用事や家事を済ませたいという気持ちもわかりますが、夜は寝る時間を決め、その時間にはベッドに入るようにしましょう。
質の良い睡眠をとるためには、眠る2時間前にお風呂に入ったり、スマホを触ったり、PCで作業するなどの活動は避けることが大切です。また、朝起きた時に朝日を浴びると、夜にメラトニンが分泌されて質のよい睡眠がとれるようになります。
生活リズムを整える
生活リズムを整えることは赤ちゃんの成長のためにとても大切な対策ですが、赤ちゃんだけでなくママも一緒に生活リズムを整えることが、出産後の抜け毛から早く脱出する近道でもあります。寝る時間と起きる時間を一定にし、朝は遅くとも7時までに起きましょう。赤ちゃんも一緒に起こして朝日を浴び、きちんと朝食を取ると、自然に夜眠くなるホルモンが分泌されます。
夕食が済んだら、部屋の照明を暗くするのもスムーズに睡眠に入る対策として有効です。また、昼間によく身体を動かしておくと、ぐっすり眠れます。
バランスのよい食事をとる
出産後は授乳の影響もあり、栄養バランスのよい食事をとる対策は重要です。脱毛の症状の対策には、とくに以下の栄養を積極的に補うようにしましょう。鉄、亜鉛
ミネラルの中でも、特に鉄と亜鉛を積極的にとりましょう。髪の毛を育てるために必要なミネラルで、貝類や鶏レバー、ほうれん草に豊富に含まれています。
カルシウム
髪の毛の元気のために必要なカルシウムですが、授乳中はどうしても不足しがちになります。小魚やチーズをおやつがわりにとり、気をつけて食事でもとるようにしてください。小魚とピーナッツのおやつは、ピーナッツの良質の脂質、ビタミンB群、タンパク質、ミネラルも一緒にとれるのでおすすめです。
タンパク質
髪の毛はタンパク質でできているので、タンパク質が不足すると髪の毛の成長が著しく低下してしまいます。肉類や卵がタンパク質の代表選手ですが、特に大豆製品はオススメです。
大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをし、髪の毛の育成をサポートしてくれるからです。納豆なら1パック、豆腐なら1丁を目安にしてください。ただし、とりすぎもよくないので注意しましょう。
ビタミンB群
髪の毛の育成には、頭皮の環境を整える対策も大切です。タンパク質はビタミンB群と一緒になることで髪の毛を作り出してくれます。逆に言うと、タンパク質だけ摂ってもビタミンB群がないと髪の毛の主成分が作られないため、非常に重要です。
豚肉、まぐろ、カツオ、鶏レバー、大豆に多く含まれていますが、水に溶けやすいので煮るより焼く調理法の方が摂取率が高くなります。
産後の抜け毛を目立たせたくない!見た目の対策
出産後の抜け毛が避けられないものならば、どうにかして薄毛を目立たなくさせたいものです。脱毛ピーク時の見た目の変化を乗り切るための対策をご紹介します。
ヘアスタイルを変える
分け目がピッチリしていたり、ロングでいつもゴムで結んでいたりすると、頭皮が透けて見えてしまって脱毛が目立ってしまいます。分け目のない髪型にしたり、思い切ってショートにしたりすると目立ちにくくなります。
抜けた髪の毛が生えてくるときも、ショートの方が短い髪の毛が目立ちません。
また、ロングだと髪の毛が同じ本数抜けても、すごくたくさん抜けたような気分になるので、ショートにするのはおすすめです。
帽子をかぶる
単に脱毛を隠すためだけでなく、紫外線から頭皮を守るという目的もあります。髪の毛は皮膚の一部なので、頭皮が紫外線によってダメージを受けると、当然髪の毛にも悪い影響があります。
しっかりとUV効果のあるものを選び、通気性がよく洗えるものにしましょう。
ウィッグを利用する
深刻な抜け毛に悩む場合は、ウィッグを利用する対策も有効です。本格的な医療用ウィッグも通販で手に入りますし、現在はファッションとしてのウィッグも販売されています。
見た目を気にしてストレスをためるよりは、ファッションとしてウィッグを楽しんでみましょう。
産後の抜け毛が多い間はどんなヘアケアをすればいいの?
女性ホルモンの影響なので、産後の抜け毛は仕方ないこととはいえ、早く元に戻るために有効なヘアケアをご紹介します。
頭皮の血行促進や保湿を意識する
出産後は骨盤がゆがんでいるために、血流が悪くなってしまいます。頭皮も血行不良となるため髪の毛に栄養が行き渡らず、その上授乳しているのでさらに栄養不足に陥りがちです。
乾燥もしやすくなるので、シャンプー時の頭皮マッサージ、シャンプー後の保湿が大切になります。
シャンプー前の乾いた髪の毛をブラッシングするのも血行促進になります。シャンプー後はオイルなどで頭皮と髪の毛を保護してからドライヤーをかけましょう。
洗浄力の優しいシャンプーにかえる
産後、乾燥しがちな頭皮に、これまでと同じシャンプーを使うとかゆみやフケが出ることがあります。洗浄力の強すぎるシャンプーを使っていると、産後の頭皮に刺激が強すぎることになるため、アミノ酸系シャンプーや植物由来成分といった、洗浄力のやさしいシャンプーに変えましょう。
成分としては、「ラウリル硫酸」「ラウレス硫酸」という表示のあるシャンプーは避けるといいでしょう。
頭皮のケアに有効なシャンプーについては「スカルプシャンプーを使用する女性150人に聞きました!おすすめシャンプーランキング」をご覧ください。
育毛剤を使用する
抜け毛のピークである出産後半年を過ぎ、出産後1年経っても脱毛の状況に改善が見られない場合は、育毛剤の使用を検討してもよいでしょう。ただし、授乳しているならば使用できない育毛剤もありますので、育毛剤の成分表や注意書きはよく読んでください。
また、男性と女性では抜け毛のメカニズムが違うので、男性用の育毛剤はおすすめしません。赤ちゃんに影響を及ぼす場合もあるので、きちんと成分を確認して使用できる女性向けの育毛剤を選びましょう。
病院での治療
出産後1年〜1年半経つのに脱毛状況が改善しない、もしくは出産後とはいえ異常に脱毛量が多い場合は皮膚科を受診してみましょう。抜け毛が出産ではなく、他の原因の可能性があるからです。
薄毛の専門医がいる皮膚科もあるので、心配であれば相談してみてください。
出産後の抜け毛は気にしすぎないことが大切
体型の変化や自由な時間がないことにストレスを感じているのに、さらに抜け毛というのは女性にとって重い悩みです。
しかしながら、約70%の女性は出産後4~6か月で、長くても1年程度で自然に回復するので、あまり気にする必要はありません。
気にしすぎてかえってストレスになってしまうより、「いずれ回復する」とドンと構えていれば大丈夫です。
毛周期やなぜ抜け毛が多くなるかを知ることで、数ヶ月で正常に戻ることがわかれば、安心して自分に合った対策が取れるでしょう。
赤ちゃんと一緒に生活リズムを整えて、抜け毛の時期を乗り越えてくださいね!