妊娠中は注意が必要!知っておきたい葉酸を含む食べ物のこと
[公開日]2017/05/25
妊娠中はたくさんの栄養を摂る必要があります。その中でも葉酸は妊娠前から授乳期まで積極的に摂りたい栄養素です。
しかし、葉酸は熱に弱いため、食事だけでは1日に必要な量を摂ることはできません。
そこで、栄養士である筆者が妊娠中の食生活に役立つ葉酸を多く含む食べ物ベスト10とおすすめの食べ方をお伝えします。
妊娠中は控えたい食べ物についてもまとめたので、ぜひ参考にしてください。
目次
葉酸を多く含む食べ物ベスト10とおすすめの食べ方
葉酸といえば、緑色の野菜類に多く含まれているイメージが強いかもしれませんが、実は意外な食材からも効率よく摂取することができます。
まずは、葉酸を多く含む食べ物トップ10をおすすめの調理法と合わせて紹介します。
葉酸を多く含む食べ物ベスト10
ただし、加工・加熱されているものを食べるようにしましょう。
EPA・パントテン酸・ビタミン・カルシウム
食べるときに注意すること
妊娠中は生の魚介類は控え、加工されたものを食べる
おすすめの食べ方
焼きうに・うにクリームパスタ
茹でると葉酸量が減少しますが、茹でて食べるのが一番簡単です。
ビタミン類・イソフラボン・カリウム
食べるときに注意すること
茹でる
おすすめの食べ方
枝豆ゼリー
加熱すると葉酸が減少するので、サラダにして食べると良いでしょう。
ビタミン・カルシウム・カロテン
食べるときに注意すること
サラダ(熱に弱いため、加熱しない調理方法が効果的)
おすすめの食べ方
モロヘイヤ入りシーザーサラダ
水に溶けやすいため、スープパスタにして食べると無駄なく補えます。
鉄分・βカロテン
食べるときに注意すること
水分中に溶け込んだ葉酸が丸ごと飲める汁物
おすすめの食べ方
アンチョビとほうれん草のスープパスタ
ビタミンCは鉄分の吸収をサポートするので、ホウレン草を含むサラダもおすすめです。
ビタミンC
食べるときに注意すること
ラップでしっかり包んで電子レンジで2〜3分加熱
おすすめの食べ方
ブロッコリーと鮭の豆乳グラタン
ビタミンCも一緒に取れるため、お腹の赤ちゃんの成長とあわせて自分の美肌効果も期待できます。
ビタミンC
食べるときに注意すること
水でよく洗ってそのまま食べる、スムージーにしてまるごと食べる
おすすめの食べ方
いちご入りスムージー
亜鉛や鉄分などミネラルは不足しやすく、ひとつの食べ物でまとめて摂ることができる食材は積極的に食べたい食材ですね。
タンパク質・亜鉛
食べるときに注意すること
食中毒の可能性があるため火入れは入念に
おすすめの食べ方
帆立入り茶碗蒸し(※蒸すことで葉酸が失われにくい)
脂溶性ビタミン(ビタミンAやビタミンE)も含んでおり、脂肪分が多いため食べ過ぎには注意が必要ですが、栄養バランスのとれた食材です。
ビタミンE、ビタミンB6、ビタミンB12、マグネシウムなど
食べるときに注意すること
極力加熱しない調理方法が効果的
おすすめの食べ方
アボカドと生ハムの冷製パスタ
妊娠中は便秘になりやすいので、カボチャのように食物繊維もあわせて摂れる食べ物も取り入れるようにしましょう。
ビタミンE、β-カロテン
食べるときに注意すること
水分中に溶け込んだ葉酸を丸ごと飲める汁物
おすすめの食べ方
かぼちゃのポタージュ
葉酸と相性の良いビタミンB群やカリウムが一緒に摂れるので、妊娠中の栄養バランスを助けてくれる食材です。
ビタミンB群・ビタミンD・カリウム
食べるときに注意すること
水分中に溶け込んだ葉酸を丸ごと飲める汁物
おすすめの食べ方
エリンギと卵入りあんかけスープ
葉酸は熱に弱いので、スープやスムージーで効果的に補う
葉酸は熱に弱く、水に溶けやすい水溶性ビタミンです。そのため、食材から葉酸をしっかり補給しようと思っても、調理方法によっては葉酸摂取量が半分以下になる可能性があります。葉酸を効率よく摂取するには、出し汁ごと食べられるスープや鍋料理がおすすめです。
また、その際葉酸の吸収率をサポートするビタミンB12を含む食材を一緒に摂るとなお良いでしょう。ビタミンB12は以下のような食材に豊富に含まれています。
・あさり→52.4μg
・あんこうのきも→39.1μg
・はまぐり→28.4μg
・かき(養殖)→28.1μg
葉酸は熱に弱いためスムージーとして生のまま摂取するのも効果的です。ミキサーで撹拌することで野菜の細胞壁が壊れ、より吸収率をより高められます。
1日に必要な葉酸量は?食べ物からどれくらい摂ればいい?
次に、葉酸は1日にどれくらい摂る必要があるのか解説していきますね。
妊娠前や妊娠初期は640μg、妊娠中期〜後期にかけて480μgの葉酸を摂る必要があります。このうち、食べ物から240μg補います。
ただし、加熱すると葉酸が溶けていくので、さらに多くの量を必要です。
1日に必要な葉酸が摂れなかったら?
妊娠初期の胎児の大きさはぶどう1粒にも満たない大きさです。妊娠初期の細胞分裂は最も活発で、きちんと細胞分裂されないと神経管閉鎖障害という先天性異常のリスクが高くなります。
また、妊娠初期以降もおなかの赤ちゃんに栄養を与えるために葉酸が必要となります。
葉酸の効果、副作用については別記事でくわしく解説しますが、赤血球を作る役割を持つ葉酸が不足してしまうと、貧血によるめまい・たちくらみなどの症状を引き起こす可能性があるので、妊娠中は積極的に葉酸を摂る必要があります。
通常、同じ栄養素でも食材に含まれているほうが吸収されやすいという特徴があります。しかし、葉酸の場合はモノグルタミン酸型葉酸を含む葉酸サプリのほうが吸収されやすいという特徴があります。
吸収率の違いがおよそ2倍違うだけでなく、胎児の先天性疾患のリスクを下げる葉酸は執筆時点で「モノグルタミン酸型葉酸」にしか認められていません。そのため、食事と合わせて葉酸サプリを摂ったほうが良いのです。
レバー要注意!葉酸が豊富でも妊娠中は避けたい食べ物
お腹の赤ちゃんの体は未発達なので、いらないものを排泄する機能が備わっていません。そのため、妊娠中にはいくつか気をつけなければならない食べ物・成分があります。
特に摂り過ぎ注意になる食べ物・飲み物と栄養素をまとめたので、毎日の食生活の参考にしてください。
妊活・妊娠中の摂り過ぎに気をつけたい栄養素
ビタミンAの含有量の多い食品を多量に食べることで 腹痛 めまい 嘔吐などの急性症状、関節痛や皮膚乾燥などの慢性症状、その他、催奇形性、骨粗しょう症も知られています。
ビタミンA(レチノール)は妊娠中は650〜700μg、後期になると730〜780μg、授乳期は1100〜1150μg程必要です。
ただし、妊娠中にビタミンAを7,800μg/日以上摂取すると胎児に悪影響を及ぼすため、妊娠中は耐用上限量である2,700μgを超えないよう注意しましょう。
※妊娠中はビタミンAの摂り過ぎばかりフォーカスされますが、不足しても胎児の成長に影響を及ぼします。また、サプリによる過剰摂取よりもレバーを食べすぎることによる過剰摂取に注意が必要です。
妊娠中、あるいは授乳中の母親によるヨウ素の過剰摂取が原因で、新生児もしくは乳児に甲状腺機能低下が生じる。
出典:ヨウ素 / 厚生労働省
妊娠中のヨウ素摂取量は240〜250μg、耐容上限量は1200〜3000μgです。
ヨウ素を多く含む食品
・ところてん100gに240μg
・白ご飯茶碗1杯に0.46μg
・まだら1切れ(80g)に280μg
・昆布の佃煮大さじ1杯(10g)に1100μg
カフェインの過剰摂取は赤ん坊の出生時体重を減らし、その結果、その後の人生における各種の健康リスクを増加させる。また、カフェインの過剰摂取は自然流産を誘発する可能性があると示唆するいくつかのエビデンスがある。
コーヒーを飲む時はカフェインレスコーヒー(デカフェ)にしたり、普段の飲み物はウーロン茶や緑茶からノンカフェインの麦茶やルイボスティー、黒豆茶に変えましょう。
葉酸が多くても注意すべき食べ物・食材
食べ物 | 葉酸量(100mgあたり) | 過剰摂取すると危険な栄養素 |
---|---|---|
鶏レバー | 1,300μg | ビタミンA 14,000μg |
豚レバー | 810μg | ビタミンA 13,000μg |
牛レバー | 1,000μg | ビタミンA 1,100μg |
うなぎの蒲焼き | 380μg | ビタミンA 1,500μg |
焼き海苔 | 1,900μg | ヨウ素 1,000μg |
妊娠中、どうしてもレバーを食べたい際は4.6~6g(焼き鳥1本分程度)を目安にしておきましょう。
うなぎには滋養強壮効果があるので、体力をつけたい妊娠中に食べても構いませんが、1日40〜50g程度を目安に量を控えながら食べるようにしましょう。
妊活・妊娠中は食べてはいけない食べ物3選
妊娠すると免疫力が弱くなるため、妊娠していないときよりも20倍も感染しやすくなります。
胎児が感染することにより早産、新生児の髄膜炎・敗血症あるいは胎児の死亡・死産などの重篤な事例を引き起こすことがあります。
お肉を食べる時はレアは避け、中までしっかり火が通るくらいに加熱をしましょう。
トキソプラズマは TORCH 症候群の一つで、胎児感染 (先天性感染) を起こすと、胎児・新生児期より水頭症、脳内石灰化、小頭症、網脈絡膜炎、小眼球症、精神神経・運動障害、肝脾腫などを起こす。
食べ物からの過剰摂取は心配なし、ただし葉酸サプリは注意
葉酸は妊活・妊娠中有効活用していきたい魅力的な栄養素ですが、1日あたりの上限を超えるとどうなってしまうのか。
具体的な症状・危険性についてまとめました。
食べ物から葉酸を摂りすぎるとどうなるのか
野菜などに含有されるポリグルタミン酸型葉酸は水に溶けやすい「水溶性ビタミン」なので、通常の食生活で過剰摂取になることはありません。万が一摂りすぎても、体内に蓄積されることなく尿や汗等で排出されます。
しかし、吸収率の高いモノグルタミン酸型の葉酸を含む葉酸サプリを大量に飲んでしまった場合、次のような副作用を引き起こす可能性もあります。
葉酸サプリを摂りすぎた場合に考えられる副作用についても知っておきましょう。
葉酸サプリを過剰摂取した場合の副作用
妊娠後期は1日に480μgで良いの、とりすぎに注意をしましょう。
そのため、葉酸サプリを選ぶ時は添加物が少ないものを選ぶようにしましょう。
妊娠中に葉酸サプリを摂る必要はあるか
ここまで葉酸を多く含む食べ物や注意点について解説してきましたが、食事から摂れるポリグルタミン酸型葉酸は体内での吸収率が低いというデメリットがあります。
そこで、最後になぜ食べ物だけでなく葉酸サプリが必要と言われているのか解説します。
食事からとる葉酸(ポリグルタミン酸型葉酸)だと吸収率が悪く(モノグルタミン酸型葉酸の約1/2)、体内に蓄積できない水溶性ビタミンなので許容量を超えると尿として排出されます。そのため、食事だけで妊娠中に必要な葉酸量を補うことが難しくなります。
現段階では、先天性異常のリスクを減らすのはサプリに配合されるモノグルタミン酸型葉酸のみです。
そのため、食事とあわせて葉酸サプリを飲んだほうがよいと考えられます。
添加物が配合されている場合も、賦形剤など必要最低限の添加物にとどめてあるサプリを選ぶようにしましょう。
サプリの配合成分は配合量が多い順番に書かれており、配合成分の最初に成分表示でカタカナが多いサプリは添加物が多いと考えられます。
また、葉酸サプリを飲む際は一度に400μg摂るよりも1日のうちに何度か分けて摂れるサプリを選びましょう。こまめに摂取し、長時間体内の中に成分を留めておくことでより吸収率を高めることができます。
安全な葉酸サプリを選ぶ3つのポイント
妊娠中に必要な鉄、ビタミンB6・B12、カルシウムなどが摂れる
添加物が少ない(着色料や香料など無添加)
アスパルテームなどの添加物は、摂りすぎると胎児の奇形や脳障害を招く可能性があります。より安全性のある製品を購入するにはGMP認定マークのついた葉酸サプリがおすすめです。
GMPは徹底した管理のもと様々な厳しい条件にクリアしたもののみ認定されるので、安全性も高く一定の質が保証されています。
妊娠中は食事だけでは不足しがち、葉酸サプリ活用も検討を
葉酸は妊娠前〜授乳期にかけて必要不可欠な栄養素です。
しかし、妊活初心者の方の場合、葉酸がどんな食べ物に多く含まれているものか知らないのではないでしょうか?
食事性葉酸(ポリグルタミン酸型葉酸)は半分以上吸収されることなく体外に排出されてしまうことがほとんどです。
葉酸が不足してしまうと神経管閉鎖障害の可能性が高くなったり、貧血の原因になることもあります。
葉酸を多く含む食べ物を参考に、毎日の栄養バランスを意識してみてください。
サプリメントアドバイザー、化粧品検定一級、薬事法管理者の有資格者チームの管理人。化粧品開発・プロモーションの実務経験を活かし、雑誌・WEBメディアの執筆/ディレクションを行う。
栄養士監修!口コミ評価の高い葉酸サプリランキング
◆参考文献、参考URL
・運動・からだ図解 栄養学の基本 / 渡辺 昌監修
・神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について / 厚生労働省
・妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項 / 厚生労働省