経験者が教える、双子が生まれるメカニズムと出産リスクを大公開!
[公開日]2016/10/09[更新日]2016/10/14
筆者は一卵性双生児の母です。
「私も双子が欲しい~」とよく言われますし、一緒にいると周囲の人の混乱がよくわかって面白い出来事も多発。
何かとインパクトのある双子ですが、どのようにして双子は生まれてくるのでしょうか?
一般的に、ヒトは1度の妊娠で一人の子どもを産みます。同じほ乳類でも犬や猫などは1度に多数の子どもを産みますが、ヒトは1人ずつ生まれてくるのが普通です。
なぜなら、ヒトの身体には、1回の月経周期で1つだけ排卵するというしくみが備わっているからなのです。
ところが、双子や三つ子、時には五つ子なども生まれてくることがあります。双子はどのようなメカニズムでできるのでしょうか?
1人を妊娠するのを「単胎」、双子は「双胎」、三つ子は「品胎」、四つ子は「要胎」と呼びます。
2人以上の妊娠をまとめて「多胎」ともいい、出産まではハイリスクとされます。そう、多胎であるというだけで「異常妊娠」に分類されるのだそうです。
人種的に日本人は多胎妊娠は少なめと言われており、その昔は動物が多胎であることから「畜生腹」として忌み嫌われたり、実際に片方を死産したことにして、養子に出すなどという風習があったようです。
しかしその反面、崇拝の対象となることもあり、昔から両極端な存在とされていました。
映画『シャイニング』でも双子の幽霊が登場したり、推理小説でもよく双子トリックは使われてきましたね。
日本での一番古い双子の記録は、なんと「日本書紀」。かの英雄ヤマトタケルは双子として誕生しました。
この時父親である天皇は「これをいぶかって叫び声をあげられた」とあることから、双子は喜ばしいものではなかったことがわかります。
江戸時代には、特に性別の違う二卵性双生児を「前世で心中した男女の生まれ変わり」として嫌い、やはり片方を養子に出すなどしていたようです。しかも、こんな風習が昭和初期の頃まであったという記録も残っています。
それほど、双子はミステリアスで、人々の畏怖を招く存在だったということでしょう。
そもそも妊娠というのは、排卵が起き、そこへ精子が受精することで成立します。
排卵が起きるのは子宮の左右にある卵巣。この左右2つの卵巣の、どちらか一方から1個の排卵が起こるのが普通ですが、何らかの原因で2つの卵子が飛び出ることがあります。それが精子とそれぞれ出会って受精して着床すると、子宮の中で2つとも育ち双子になります。
これが二卵性双生児です。
2つの卵子と2つの精子が受精しますから、二人のDNAは一緒ではありません。もちろん性別も違うことがありますし、顔も体格も同じではありません。
つまり、二卵性双生児は「誕生日が同じの通常のきょうだい」ということになります。
一方、一卵性双生児は、元々1つの卵と1つの精子が出会って受精したものです。
これがどうして双子になるかというと、受精卵となって細胞分裂をくり返す時に、まったくの偶然で2つに分かれてしまう場合と、普通は1人の胎児になるところが2人の胎児となって成長する場合があり、コピーされてできるため、DNAがまったく同じの双生児となります。
しかし、どうしてそのようなことが起こるのか、メカニズムはまったく解明されておらず、神様のきまぐれとしか言いようがないのです。
表にもあるように、一卵性と二卵性では、かなりの違いがあることがわかります。
一卵性はDNAが同じことから、性別や血液型はもちろん、顔や体格もそっくりになりますが、二卵性は年の違う、一人ずつ生まれてくるきょうだいと同じように、性別も血液型も違う可能性があります。
二卵性でもきょうだいで似ていることはありますが、それは普通のきょうだいが似ているのと同じで、一卵性のような「そっくり」とは違う種類のものです。
実は現在、多胎の分娩数は年々増えています。
日本では、1975年に排卵誘発剤を使った不妊治療が始まり、83年には体外受精も開始されたことから、多胎が増えていると考えられます。
しかし、増えている多胎は二卵性に限っており、自然妊娠での一卵性双生児の出生率は今も昔も変わっていません。
自然妊娠のうち、双子の出産率は、1000の出産のうち6組くらいです。このうち、一卵性は4組、二卵性は2組という割合で、元来は二卵性の方が少数派だったのです。
ところが、不妊治療の影響で二卵性双生児の数が87年以降に増え、1997年には、ついに一卵性双生児の数を上回りました。
しかし、戻したすべての受精卵が着床することがあり、その場合に双子や三つ子になるのです。あまりに多くの受精卵を戻すと、母体にも出産後の育児にも負担がかかってしまいます。
ただし、最近では不妊治療によるものではないかと思われる一卵性双生児の増加も見られるようです。
ところが、複数個の卵子を排出しやすい体質というのはあるとされていて、母親側の遺伝的なものによります。
また、二卵性の場合は人種によっても差があり、黒人が一番多く、続いて白人、黄色人種は一番確率が低いようです。
余談ですが、アフリカのナイジェリアでは20の出産のうち1組が多胎妊娠だそうで、その確率の高さが窺えますね。
生理の予定が遅れ、妊娠したかな~と、検査に行き、双子とすぐにわかるケースもありますが、この頃すでに妊娠5週に入っています。しかしまだ多胎妊娠の診断がつかない人も多く、一人の妊娠だと思っている人も多くいます。
ちなみに、筆者の場合は妊娠5週と言われたその場で「卵が2つ見えるね~、双子だね。うちでは診られないから、大きな病院に行ってね。紹介状書いとくよ」といきなり言われ、軽くパニックになりました。
というのも、双子の想定をまったくしておらず、双子というだけで驚きなのに、うちでは診られない?大きな病院へ行け?どういうこと?と、多胎への知識がないための不安に陥ったのでした。
しかもその時「このまま2つとも育つこともあるし、片方が消えることもあるよ。とにかく双子はハイリスクだから」と言われてしまい、初産だったこともあって心配になりました。
今なら、多胎妊娠の危険性も、なぜうちでは診られないと言われたのかも理解できますが、ドクターの言葉でここまで不安になるのですから、もう少し詳しく説明して欲しかったです。
ヒトの身体は元々一人を生むようにできており、複数の赤ちゃんを妊娠する構造になっていません。そこには母子共に危険が潜んでいます。
危険性を説明するには、まず「膜性(絨毛膜性)」を理解しなければなりません。
膜性とは、簡単に言うと赤ちゃんのいる部屋のこと。赤ちゃんは、羊膜に包まれ、その外側にさらに絨毛膜というものに包まれています。
この絨毛膜と羊膜の種類が問題になるのです。大きく分けて3種類になる膜性診断が、双子妊娠のその後の大きな指標となっていきます。
危険の少ない順から
二絨毛膜二羊膜、一絨毛膜二羊膜、一絨毛膜一羊膜となります。
赤ちゃんそれぞれに部屋がちゃんと分かれており、胎盤も一人ひとつずつあります。この膜性が一番安全なタイプです。
二卵性なら、かならず二絨毛膜二羊膜になりますが、胎盤は2つあっても妊娠が進むと胎盤が癒着し、見かけ上1つの胎盤に見えることもあります。
一卵性でこのタイプになる場合は、受精後3日以内に受精卵が分離したと考えられ、約25%がこのタイプです。
1つの大きな部屋の中が、赤ちゃんそれぞれの部屋に分かれているタイプです。つまり、外側の絨毛膜が1つで内側の羊膜は2つあるということ。二人の赤ちゃんは1つの胎盤を共有することになります。
一卵性しかなりませんが、受精後4~7日後に受精卵が分離してできると考えられています。危険度は二絨毛膜二羊膜より上がりますが、一卵性の約75%はこのタイプ。
双胎間輸血症候群(TTTS)や片方の赤ちゃんがお腹の中で亡くなってしまうバニシングツインが起こる場合もあり、単胎妊娠の10倍ものリスクがあるとされています。
二人の赤ちゃんが、1つの部屋に一緒にいる状態です。受精後13日以降に受精卵が分離してできると見られ、一卵性双生児のわずか1%しかありません。
胎盤を共有していることもさることながら、赤ちゃん同士を隔てる壁がないので、ぶつかったり、へその緒が絡まったりして、命にかかわることもあります。この膜性が一番リスクの高いタイプです。
実に単胎妊娠の100倍ものリスクがあると言われ、厳重な経過管理が必要になります。
ちなみに筆者は二番目の一絨毛膜二羊膜(MD双胎)のタイプでした。
赤ちゃんは一応2つの部屋に分かれているため、へその緒が絡まったり、ぶつかったりする心配はありませんでしたが、妊娠28週+4日での早産となりました。
最初に受診した産婦人科で「うちでは診られない」と言われた理由は、双子は36週より前の早産となる確率も非常に高く、赤ちゃんはかなり小さく産まれてくる可能性があるため、出産後の赤ちゃんを診られる設備がある病院でないといけない、ということなのです。
双子の出産=帝王切開というイメージが強いと思いますが、そうとも限りません。経膣分娩で産む人も見かけます。どちらになるかは、赤ちゃんの胎位(頭をどちらに向けているか)によります。
また、病院によって方針があるので、よく相談しましょう。
ただし、双子は早産、つまり極低体重児や低体重児が生まれる確率が高く、NICU(新生児特定集中医療室)がある大きな病院でないと診てもらえないことがあります。
普通に分娩しても、出産後に赤ちゃんだけNICUに運ばれたというケースもよく耳にします。
双子はどのように出産方法を選択するのでしょうか?
表の中で、経膣分娩ができるのは頭位×頭位と頭位×骨盤位のパターンです。
しかし、「双子はすべて帝王切開」という方針の病院も少なくはないようです。最近では、本人の希望を受け入れる病院も増えているようですが、安全性を第一に考え、自分の場合は帝王切開、経膣分娩のどちらに適しているのかよく相談しましょう。
帝王切開が悪い方法だという誤解は捨て、メリットとデメリットをよく比較することが大切です。
デメリットとしては、開腹手術なので完全に安全とは言い切れないことです。出血量が多くなりますし、お腹にキズが残ります。術後の肺血栓の心配もあります。
しかし、分娩が長引けば長引くほど、赤ちゃんにも母体にも負担がかかります。その点を踏まえて、帝王切開の方が安全とする場合が多く、ほとんどの人が出産日を事前に決めておく予定帝王切開をします。
たとえ予定帝王切開でも、術後の痛みは陣痛にも匹敵するほど凄まじいので、「帝王切開で楽に産んだ」と言われてしまうかもなんて、気に病まなくても大丈夫。
それよりも、不安とさまざまなトラブルに見舞われながらも無事に出産できた喜びを存分に味わいましょう。
知れば知るほど神秘的に見えてしまう双子ですが、そのメカニズムは自然妊娠と不妊治療でも違いますし、出産までの道のりも険しく、いろんなトラブルが付きもの。
産まれてくるまでも大変ですが、双子を同時に育てるのも一人とは違う大変さがあります。特に双子の妊娠は、「ハイリスク」と言われ続けるため、不安になることも多いと思いますが、ドーンと構えて、違いを楽しむくらいの気持ちで臨みましょう。
「私も双子が欲しい~」とよく言われますし、一緒にいると周囲の人の混乱がよくわかって面白い出来事も多発。
何かとインパクトのある双子ですが、どのようにして双子は生まれてくるのでしょうか?
双子ってかわいいし、私も憧れる〜!!私もできることなら双子を産みたいなー!
こんにちは!「アンチエイジングの神様」管理人の安藤美和子です。たまに出会う双子の赤ちゃん、かわいいわよね。でも、双子って不思議な存在で分からないことも多いわよね。この記事では双子の出産やメカニズムについて、筆者の体験談を交えながら紹介していくわね。
双子のメカニズムと歴史
一般的に、ヒトは1度の妊娠で一人の子どもを産みます。同じほ乳類でも犬や猫などは1度に多数の子どもを産みますが、ヒトは1人ずつ生まれてくるのが普通です。
なぜなら、ヒトの身体には、1回の月経周期で1つだけ排卵するというしくみが備わっているからなのです。
ところが、双子や三つ子、時には五つ子なども生まれてくることがあります。双子はどのようなメカニズムでできるのでしょうか?
1人を妊娠するのを「単胎」、双子は「双胎」、三つ子は「品胎」、四つ子は「要胎」と呼びます。
2人以上の妊娠をまとめて「多胎」ともいい、出産まではハイリスクとされます。そう、多胎であるというだけで「異常妊娠」に分類されるのだそうです。
人種的に日本人は多胎妊娠は少なめと言われており、その昔は動物が多胎であることから「畜生腹」として忌み嫌われたり、実際に片方を死産したことにして、養子に出すなどという風習があったようです。
「畜生腹」なんてひどい・・・。双子で産まれただけで養子に出されるなんてかわいそうね・・・。
双子は不吉?歴史でみる双子
双子を不吉なものとする風習は、洋の東西を問わずあったようです。しかしその反面、崇拝の対象となることもあり、昔から両極端な存在とされていました。
映画『シャイニング』でも双子の幽霊が登場したり、推理小説でもよく双子トリックは使われてきましたね。
日本での一番古い双子の記録は、なんと「日本書紀」。かの英雄ヤマトタケルは双子として誕生しました。
この時父親である天皇は「これをいぶかって叫び声をあげられた」とあることから、双子は喜ばしいものではなかったことがわかります。
江戸時代には、特に性別の違う二卵性双生児を「前世で心中した男女の生まれ変わり」として嫌い、やはり片方を養子に出すなどしていたようです。しかも、こんな風習が昭和初期の頃まであったという記録も残っています。
それほど、双子はミステリアスで、人々の畏怖を招く存在だったということでしょう。
えー!昭和初期までそんな風習が残っていたなんてびっくり!!双子って、不思議な存在で分からないことが多いから、昔の人は恐がったのかなあ。
一卵性と二卵性の違い
そもそも妊娠というのは、排卵が起き、そこへ精子が受精することで成立します。
排卵が起きるのは子宮の左右にある卵巣。この左右2つの卵巣の、どちらか一方から1個の排卵が起こるのが普通ですが、何らかの原因で2つの卵子が飛び出ることがあります。それが精子とそれぞれ出会って受精して着床すると、子宮の中で2つとも育ち双子になります。
これが二卵性双生児です。
2つの卵子と2つの精子が受精しますから、二人のDNAは一緒ではありません。もちろん性別も違うことがありますし、顔も体格も同じではありません。
つまり、二卵性双生児は「誕生日が同じの通常のきょうだい」ということになります。
一方、一卵性双生児は、元々1つの卵と1つの精子が出会って受精したものです。
これがどうして双子になるかというと、受精卵となって細胞分裂をくり返す時に、まったくの偶然で2つに分かれてしまう場合と、普通は1人の胎児になるところが2人の胎児となって成長する場合があり、コピーされてできるため、DNAがまったく同じの双生児となります。
しかし、どうしてそのようなことが起こるのか、メカニズムはまったく解明されておらず、神様のきまぐれとしか言いようがないのです。
一卵性 | 二卵性 | |
---|---|---|
性別 | DNAが同じなので、性別は同じ。ただ、稀に性別が違う場合もある | 年の違うきょうだいのように、同性、異性どちらの組合せもある |
血液型 | 同じ遺伝子情報を持っているので、当然血液型は同じになる | 両親の血液型にもよるが、違っても当然 |
大きさ | 本来は同じくらいだが、胎内環境によって差が生じる場合がある | 似てはいるが、きょうだいではあっても違いがある |
性格 | 持っている性格は似ていても、生後は環境や刺激によって差が出る | もともと別の遺伝子なので、普通のきょうだい同様違いがある |
その他 | 顔、指紋、手形、足形などまったく同じではないが似ている。利き手が逆、つむじの巻が逆など鏡のようになることも | 年の違うきょうだいと同等程度に顔や体格は似ている |
表にもあるように、一卵性と二卵性では、かなりの違いがあることがわかります。
一卵性はDNAが同じことから、性別や血液型はもちろん、顔や体格もそっくりになりますが、二卵性は年の違う、一人ずつ生まれてくるきょうだいと同じように、性別も血液型も違う可能性があります。
二卵性でもきょうだいで似ていることはありますが、それは普通のきょうだいが似ているのと同じで、一卵性のような「そっくり」とは違う種類のものです。
へぇ〜、今でもメカニズムは完全に解明されていないのね!双子って、やっぱり不思議だね。
双子になる確率
実は現在、多胎の分娩数は年々増えています。
日本では、1975年に排卵誘発剤を使った不妊治療が始まり、83年には体外受精も開始されたことから、多胎が増えていると考えられます。
しかし、増えている多胎は二卵性に限っており、自然妊娠での一卵性双生児の出生率は今も昔も変わっていません。
自然妊娠のうち、双子の出産率は、1000の出産のうち6組くらいです。このうち、一卵性は4組、二卵性は2組という割合で、元来は二卵性の方が少数派だったのです。
ところが、不妊治療の影響で二卵性双生児の数が87年以降に増え、1997年には、ついに一卵性双生児の数を上回りました。
二卵性双生児が増えているワケ
元々は一卵性より数が少なかった二卵性双生児ですが、今は一卵性より多い存在になりました。それは、不妊治療のやり方によるものです。排卵誘発剤によって排卵時に1度に複数の卵子が出る可能性が高くなった
体外受精で母体に戻す受精卵が複数である
体外受精で複数の受精卵を母体に戻すのは、いくつかの受精卵が着床しない可能性があるからです。しかし、戻したすべての受精卵が着床することがあり、その場合に双子や三つ子になるのです。あまりに多くの受精卵を戻すと、母体にも出産後の育児にも負担がかかってしまいます。
ちなみに1996年には日本産婦人科学会が体外受精で母体に戻す受精卵の数を3個以内に制限しました。その結果、三つ子や四つ子は減ったとされているわ。
人種によって違う双子の確率
一卵性の双子は、その成り立ちがまったくの偶然によるものであることから、人種や家系にかかわらず、1000の出産に対して4組程度と、ほぼ一定の出産率です。ただし、最近では不妊治療によるものではないかと思われる一卵性双生児の増加も見られるようです。
ところが、複数個の卵子を排出しやすい体質というのはあるとされていて、母親側の遺伝的なものによります。
また、二卵性の場合は人種によっても差があり、黒人が一番多く、続いて白人、黄色人種は一番確率が低いようです。
余談ですが、アフリカのナイジェリアでは20の出産のうち1組が多胎妊娠だそうで、その確率の高さが窺えますね。
双子出産のリスク
生理の予定が遅れ、妊娠したかな~と、検査に行き、双子とすぐにわかるケースもありますが、この頃すでに妊娠5週に入っています。しかしまだ多胎妊娠の診断がつかない人も多く、一人の妊娠だと思っている人も多くいます。
ちなみに、筆者の場合は妊娠5週と言われたその場で「卵が2つ見えるね~、双子だね。うちでは診られないから、大きな病院に行ってね。紹介状書いとくよ」といきなり言われ、軽くパニックになりました。
というのも、双子の想定をまったくしておらず、双子というだけで驚きなのに、うちでは診られない?大きな病院へ行け?どういうこと?と、多胎への知識がないための不安に陥ったのでした。
しかもその時「このまま2つとも育つこともあるし、片方が消えることもあるよ。とにかく双子はハイリスクだから」と言われてしまい、初産だったこともあって心配になりました。
今なら、多胎妊娠の危険性も、なぜうちでは診られないと言われたのかも理解できますが、ドクターの言葉でここまで不安になるのですから、もう少し詳しく説明して欲しかったです。
確かにお医者さんは双子に慣れっこかもしれないけど、出産をするお母さんは初めてなんだから、寄り添った言葉をかけてほしいな。それにしても、双子の場合は診てもらえない病院もあるのね・・・。
多胎妊娠がハイリスクな理由と、なぜ大きな病院へ行けと言われたのかは、次の章を見てみましょう。
双子妊娠がハイリスクな理由
ヒトの身体は元々一人を生むようにできており、複数の赤ちゃんを妊娠する構造になっていません。そこには母子共に危険が潜んでいます。
危険性を説明するには、まず「膜性(絨毛膜性)」を理解しなければなりません。
膜性とは、簡単に言うと赤ちゃんのいる部屋のこと。赤ちゃんは、羊膜に包まれ、その外側にさらに絨毛膜というものに包まれています。
この絨毛膜と羊膜の種類が問題になるのです。大きく分けて3種類になる膜性診断が、双子妊娠のその後の大きな指標となっていきます。
危険の少ない順から
二絨毛膜二羊膜、一絨毛膜二羊膜、一絨毛膜一羊膜となります。
二絨毛膜二羊膜(DD双胎)
赤ちゃんそれぞれに部屋がちゃんと分かれており、胎盤も一人ひとつずつあります。この膜性が一番安全なタイプです。
二卵性なら、かならず二絨毛膜二羊膜になりますが、胎盤は2つあっても妊娠が進むと胎盤が癒着し、見かけ上1つの胎盤に見えることもあります。
一卵性でこのタイプになる場合は、受精後3日以内に受精卵が分離したと考えられ、約25%がこのタイプです。
一絨毛膜二羊膜(MD双胎)
1つの大きな部屋の中が、赤ちゃんそれぞれの部屋に分かれているタイプです。つまり、外側の絨毛膜が1つで内側の羊膜は2つあるということ。二人の赤ちゃんは1つの胎盤を共有することになります。
一卵性しかなりませんが、受精後4~7日後に受精卵が分離してできると考えられています。危険度は二絨毛膜二羊膜より上がりますが、一卵性の約75%はこのタイプ。
双胎間輸血症候群(TTTS)や片方の赤ちゃんがお腹の中で亡くなってしまうバニシングツインが起こる場合もあり、単胎妊娠の10倍ものリスクがあるとされています。
一絨毛膜一羊膜(MM双胎)
二人の赤ちゃんが、1つの部屋に一緒にいる状態です。受精後13日以降に受精卵が分離してできると見られ、一卵性双生児のわずか1%しかありません。
胎盤を共有していることもさることながら、赤ちゃん同士を隔てる壁がないので、ぶつかったり、へその緒が絡まったりして、命にかかわることもあります。この膜性が一番リスクの高いタイプです。
実に単胎妊娠の100倍ものリスクがあると言われ、厳重な経過管理が必要になります。
ちなみに筆者は二番目の一絨毛膜二羊膜(MD双胎)のタイプでした。
赤ちゃんは一応2つの部屋に分かれているため、へその緒が絡まったり、ぶつかったりする心配はありませんでしたが、妊娠28週+4日での早産となりました。
最初に受診した産婦人科で「うちでは診られない」と言われた理由は、双子は36週より前の早産となる確率も非常に高く、赤ちゃんはかなり小さく産まれてくる可能性があるため、出産後の赤ちゃんを診られる設備がある病院でないといけない、ということなのです。
軽々しく「双子が欲しい」なんて言ったけど、出産には大きなリスクがあって大変なんだね・・・。
双子の出産方法
双子の出産=帝王切開というイメージが強いと思いますが、そうとも限りません。経膣分娩で産む人も見かけます。どちらになるかは、赤ちゃんの胎位(頭をどちらに向けているか)によります。
また、病院によって方針があるので、よく相談しましょう。
ただし、双子は早産、つまり極低体重児や低体重児が生まれる確率が高く、NICU(新生児特定集中医療室)がある大きな病院でないと診てもらえないことがあります。
普通に分娩しても、出産後に赤ちゃんだけNICUに運ばれたというケースもよく耳にします。
双子はどのように出産方法を選択するのでしょうか?
双子の胎位のパターン
双子の場合、表のように1人目と2人目の位置がどうなっているかが、分娩方法を決める重大なポイントになります。パターン | 組合せの比率 | コメント |
---|---|---|
頭位×頭位 | 45% | 2人ともが頭を下にした頭位を保っているパターン。経膣分娩が可能 |
頭位×骨盤位 | 25% | 1人目が頭位、2人目が足やおしりを下にした骨盤位(逆子)。帝王切開になるかどうかは病院の判断による |
骨盤位×頭位 | 10% | 1人目が足やおしりを下にした骨盤位、2人目が頭位のパターン |
骨盤位×骨盤位 | 10% | 2人とも足やおしりを下にした骨盤位のパターン |
頭位×横位 | 10% | 1人目は頭位でも、2人目が横向きに折り重なるようにいる、またはその他のパターン |
表の中で、経膣分娩ができるのは頭位×頭位と頭位×骨盤位のパターンです。
しかし、「双子はすべて帝王切開」という方針の病院も少なくはないようです。最近では、本人の希望を受け入れる病院も増えているようですが、安全性を第一に考え、自分の場合は帝王切開、経膣分娩のどちらに適しているのかよく相談しましょう。
帝王切開が悪い方法だという誤解は捨て、メリットとデメリットをよく比較することが大切です。
帝王切開のメリットとデメリット
双子を経膣分娩しようとすれば、二人いるのですから、もちろん時間もかかります。一人目が出てきた後、二人目の赤ちゃんの回旋異常、へその緒や胎盤のトラブルの心配がなく、短時間で二人とも出産できるのが帝王切開のメリット。デメリットとしては、開腹手術なので完全に安全とは言い切れないことです。出血量が多くなりますし、お腹にキズが残ります。術後の肺血栓の心配もあります。
しかし、分娩が長引けば長引くほど、赤ちゃんにも母体にも負担がかかります。その点を踏まえて、帝王切開の方が安全とする場合が多く、ほとんどの人が出産日を事前に決めておく予定帝王切開をします。
たとえ予定帝王切開でも、術後の痛みは陣痛にも匹敵するほど凄まじいので、「帝王切開で楽に産んだ」と言われてしまうかもなんて、気に病まなくても大丈夫。
それよりも、不安とさまざまなトラブルに見舞われながらも無事に出産できた喜びを存分に味わいましょう。
双子のメカニズムと出産まとめ
知れば知るほど神秘的に見えてしまう双子ですが、そのメカニズムは自然妊娠と不妊治療でも違いますし、出産までの道のりも険しく、いろんなトラブルが付きもの。
産まれてくるまでも大変ですが、双子を同時に育てるのも一人とは違う大変さがあります。特に双子の妊娠は、「ハイリスク」と言われ続けるため、不安になることも多いと思いますが、ドーンと構えて、違いを楽しむくらいの気持ちで臨みましょう。