赤ちゃんの虫歯は大人よりも深刻!ママ歯科医が教える治療・予防のコツ
[公開日]2017/05/22
赤ちゃんの虫歯の原因は、歯磨き不足よりもお母さんやお父さんの何気ない習慣の中に多く潜んでいます。
お菓子、泣き止ますために飲ませるジュース、さらに愛情表現のチューも虫歯の原因になるのです。
「そうは言っても乳歯だから抜けちゃうでしょ?」と甘く考えていませんか?赤ちゃんの虫歯は歯並びや発音など、今後の成長にも大きく影響します。
今回は、歯科医師であり一児の母でもある筆者が赤ちゃんの虫歯の特徴や原因、さらに歯磨きの他にもできる虫歯予防について解説します。
赤ちゃんの虫歯を大人の虫歯と同じように考えてはいけません。
赤ちゃんと大人では、虫歯が発生した後の進行度合いや虫歯になりやすい場所などが大きく異なります。
さらにそのエナメル質は生えた瞬間から硬いわけではなく、歯が生えてから2~3年の年月をかけて成熟します。つまり赤ちゃんの歯は生えてから3年以内はまだ柔らかい状態なのです。
そのため赤ちゃんが虫歯になると大人よりもずっと早く進行します。
例えば大人の場合、虫歯が神経に達するまで数年かかりますが、赤ちゃんの場合はわずか数か月で神経まで達してしまうのです。
一方、赤ちゃんの虫歯は歯の生える本数によって虫歯になりやすい場所が変わります。
しかし赤ちゃんは自分で歯磨きできないので、周囲の大人次第で虫歯になるかどうかが決まります。
つまり赤ちゃんの虫歯の多くは、育つ環境に大きく左右されるのです。
以後にも詳しく述べますが、両親または祖父母に虫歯が多かったり生活習慣が乱れていると、赤ちゃんの虫歯リスクはとても高くなります。
筆者も赤ちゃんの虫歯をたくさん診てきました。その親御さんに虫歯の原因を尋ねると「歯磨きがうまくできないから」とまずおっしゃいます。
たしかに赤ちゃんの歯磨きはお母さんの悩みの種の1つです。しかし虫歯になる原因は歯磨き不足ばかりではありません。
しかし赤ちゃんの虫歯の最大の原因は、好きなものを好きなだけ与えてしまう「ダラダラ食べ」です。
赤ちゃんが泣いたらお菓子を与えてしまう、寝る前にジュースを飲ませるなど、時間を決めずに食べさせるのは絶対にやめましょう。
これは赤ちゃんが成長してもなお虫歯ができやすい原因になってしまいます。
そのため身近な大人に虫歯が多いと赤ちゃんの虫歯のリスクが高くなります。また赤ちゃんの頃に大人の口から虫歯菌を多く感染させてしまうと、永久歯が生えた後も虫歯になりやすくなってしまいます。
「乳歯は虫歯になっても、いずれ抜けるから大丈夫」などと安易に考える方もいますが、これは大きな間違いです。
赤ちゃんはこれからどんどん成長していきます。その過程で乳歯の虫歯は赤ちゃんの成長に様々な弊害をもたらすのです。
乳歯の場合、虫歯になった歯が近くの永久歯の成長を妨げ、歯質が弱くなる原因になることもあります。
また神経が死んでしまった乳歯は、生え変わりの時期が来ても抜けにくく、永久歯が真っすぐ生えきれず、乳歯を避けて曲がって生えてくることも珍しくありません。
また歯の重要な役割の1つが発音です。言葉を覚え始めるこの時期に歯を失うと、正しい発音ができないなどの発音障害の原因になります。
「こんな小さな赤ちゃんでも歯科医院でちゃんと診てもらえるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
しかしそこは虫歯のプロなので、赤ちゃんの状態や個々の歯に応じて歯科医師は治療を行います。
それではどのタイミングで歯科医院へ行けば良いのか、歯科医院でどのように治療を行うのか、さらにスムーズに通院するためのアドバイスなどを解説します。
中には痛みを訴える間に神経まで虫歯が達し、そのうち神経が死んで痛みを訴えなくなるケースもあります。
そのため少しでも様子がおかしいと感じたら、歯科医院を受診するほうが良いでしょう。
初期虫歯は厳密には虫歯ではなく、このまま放っておくと虫歯になる、いわゆる虫歯のなり始めの状態です。
初期虫歯は歯を削るなどの治療は必要なく、適切なブラッシングとフッ化物で歯質を強くすることで、元の状態に戻すことができます。
ただ自己判断は危険ですので、白濁に気づいたら歯科医院を受診しましょう。
治療のできない赤ちゃんには虫歯の進行を止める薬を塗布することで、それ以上虫歯を大きくしない処置を行います。
ただあくまで進行止めにすぎないため、もう少し成長した段階で本格的な治療が必要になります。
そのため赤ちゃんを歯科医院へ連れていく場合、疲れて機嫌の悪くなるお昼すぎや夕方以降の時間帯よりも、体調の良い午前中のほうが治療もスムーズに行えることが多いでしょう。
歯科医院では実際に治療を行うまえに、優しく言葉がけをしたり器具に触れさせることで、まずその環境に赤ちゃんが慣れることから始めます。
お家でも「歯医者さんごっこ」などの遊びを通して、治療に慣れさせる工夫をすると良いでしょう。
上の図のように、虫歯は歯(歯質)と糖そして細菌の3つの要素がセットになることで発生する病気です。ゆえに赤ちゃんの虫歯予防は次の3点が重要なポイントになります。
2.糖の量をコントロールする
3.できるだけ虫歯菌の感染を防ぐ
赤ちゃんの歯磨きでは基本的に歯磨き粉は不要ですが、歯磨きの後にスプレータイプやジェルタイプのフッ化物を塗布するなどして歯質の強化に努めましょう。
またこの時期に正しい食生活を身に付けておくと、大きくなってからも虫歯になりにくくなります。
ただお菓子やジュースなどを全く与えてはいけないというわけではありません。大切なのはきちんと時間を決め、決められた量以上のものを与えないことです。
また虫歯菌は1歳7か月(生後19か月)から2歳7か月(31か月)の1年間に最も感染しやすく、この時期を歯科では「感染の窓」とよんでいます。
感染の窓の時期に虫歯菌の感染を防いでおくと、生涯にわたって虫歯になりにくい口腔環境を築くことができます。
そのため感染の窓の時期はスプーンやコップ、箸などを大人と別々にするなどして、できるだけ大人から虫歯菌が感染する機会を減らしましょう。
これまで述べてきたように、赤ちゃんが虫歯には家族の方の口腔環境も大きく影響します。大切な赤ちゃんの虫歯予防は、生まれる前から始めるとより効果的です。
しかし妊婦であっても、妊娠5か月から8か月(16週から27週)の妊娠中期であれば歯科治療を受けられます。
家族の口の中が汚ければ赤ちゃんの口の中も汚くなってしまうのは、これまで述べたとおりです。
したがってまずは周囲の大人から正しい口腔ケアをはじめることが重要です。
虫歯がないか確認し、もし虫歯があれば赤ちゃんが生まれる前に治療をして虫歯菌を減らすことも忘ないようにしましょう。
赤ちゃんの虫歯は育つ環境に左右されます。特に食生活はとても重要で、時間や量を決めない「ダラダラ食べ」は、歯磨き不足よりももっと深刻な虫歯の原因となります。
赤ちゃんの虫歯は、放置しておくと歯並びが悪くなる原因にもなります。毎日の歯磨きとあわせ、怪しいなと思ったら早めの治療を心がけてください。
赤ちゃんの歯を磨くコツや時期についてはについては「赤ちゃんの歯磨きはいつから始めるといいですか?」(別記事)をご覧ください。
◆参考文献
・子供の歯に強くなる本 / 木村光孝監修 クインテッセンス出版
・小児歯科マニュアル / 緒方克也・進士久明 編集 医師薬出版株式会社
お菓子、泣き止ますために飲ませるジュース、さらに愛情表現のチューも虫歯の原因になるのです。
「そうは言っても乳歯だから抜けちゃうでしょ?」と甘く考えていませんか?赤ちゃんの虫歯は歯並びや発音など、今後の成長にも大きく影響します。
今回は、歯科医師であり一児の母でもある筆者が赤ちゃんの虫歯の特徴や原因、さらに歯磨きの他にもできる虫歯予防について解説します。
目次
この記事は、歯科医師の方に執筆していただき、アンチエイジングの神様チームで編集しております。
赤ちゃんの虫歯は進行スピードが大人の倍以上
赤ちゃんの虫歯を大人の虫歯と同じように考えてはいけません。
赤ちゃんと大人では、虫歯が発生した後の進行度合いや虫歯になりやすい場所などが大きく異なります。
赤ちゃんの歯は大人の歯より虫歯になりやすい
大人の歯と赤ちゃんの歯の大きな違いは、歯質の強さです。表面を覆うエナメル質は歯の構造のうち最も硬い部分ですが、そのエナメル質も乳歯は永久歯の半分以下の厚みしかありません。さらにそのエナメル質は生えた瞬間から硬いわけではなく、歯が生えてから2~3年の年月をかけて成熟します。つまり赤ちゃんの歯は生えてから3年以内はまだ柔らかい状態なのです。
そのため赤ちゃんが虫歯になると大人よりもずっと早く進行します。
例えば大人の場合、虫歯が神経に達するまで数年かかりますが、赤ちゃんの場合はわずか数か月で神経まで達してしまうのです。
赤ちゃんの虫歯は年齢によってなりやすい場所が変化する
大人の場合、虫歯になりやすい場所は「歯と歯の間」「噛む面の溝」「歯と歯茎の境目」の3か所で、これはどの年代でもほぼ変わりません。一方、赤ちゃんの虫歯は歯の生える本数によって虫歯になりやすい場所が変わります。
赤ちゃんが虫歯になりやすい場所
1~3歳:上前歯の歯と歯の間
3歳頃:奥歯の噛む面
4~5歳:すべての歯と歯の間
3歳頃:奥歯の噛む面
4~5歳:すべての歯と歯の間
こんにちは!「アンチエイジングの神様」管理人の安藤美和子です。赤ちゃんは大きくなるにつれて虫歯になりやすい場所が変わるから注意が必要ね!
赤ちゃんの虫歯は育つ環境に影響されやすい
大人の虫歯は不規則な生活やブラッシング不足など、いわゆる自己管理の不備によって起こります。しかし赤ちゃんは自分で歯磨きできないので、周囲の大人次第で虫歯になるかどうかが決まります。
つまり赤ちゃんの虫歯の多くは、育つ環境に大きく左右されるのです。
以後にも詳しく述べますが、両親または祖父母に虫歯が多かったり生活習慣が乱れていると、赤ちゃんの虫歯リスクはとても高くなります。
赤ちゃんの虫歯原因は「ダラダラ食べ」
筆者も赤ちゃんの虫歯をたくさん診てきました。その親御さんに虫歯の原因を尋ねると「歯磨きがうまくできないから」とまずおっしゃいます。
たしかに赤ちゃんの歯磨きはお母さんの悩みの種の1つです。しかし虫歯になる原因は歯磨き不足ばかりではありません。
赤ちゃんが虫歯になる1番の原因は「食生活」
赤ちゃんが大きくなり色々な食べ物を口にできるようになると、周囲の大人もつい嬉しくなって赤ちゃんの喜ぶものを与えたくなります。しかし赤ちゃんの虫歯の最大の原因は、好きなものを好きなだけ与えてしまう「ダラダラ食べ」です。
赤ちゃんが泣いたらお菓子を与えてしまう、寝る前にジュースを飲ませるなど、時間を決めずに食べさせるのは絶対にやめましょう。
これは赤ちゃんが成長してもなお虫歯ができやすい原因になってしまいます。
赤ちゃんへのチューは虫歯の原因になる
もともとお腹の中にいる赤ちゃんには、虫歯菌は存在しません。では、なぜ赤ちゃんが虫歯になるかというと、大人の口に潜む虫歯菌がうつるからです。そのため身近な大人に虫歯が多いと赤ちゃんの虫歯のリスクが高くなります。また赤ちゃんの頃に大人の口から虫歯菌を多く感染させてしまうと、永久歯が生えた後も虫歯になりやすくなってしまいます。
歯磨き習慣は3歳までに身に着けさせればOK
虫歯予防というと歯磨きばかりに力を入れがちです。
しかし離乳食を食べている時期は汚れもつきにくいため、糖分の量にさえ気を付けていればそれほど神経質になる必要はありません。
しかし2歳後半あたりから食べ物のバラエティも豊富になってきます。そのため3歳ぐらいまでに歯磨きの習慣が身に付かないと、急激に虫歯が増えはじめるので注意しましょう。
しかし離乳食を食べている時期は汚れもつきにくいため、糖分の量にさえ気を付けていればそれほど神経質になる必要はありません。
しかし2歳後半あたりから食べ物のバラエティも豊富になってきます。そのため3歳ぐらいまでに歯磨きの習慣が身に付かないと、急激に虫歯が増えはじめるので注意しましょう。
赤ちゃんの歯磨きは習慣づけが大切。「しっかり磨くこと」より「毎日行うこと」に重点をおきましょう。
《注意》赤ちゃんの虫歯は歯並びや発音にも影響
「乳歯は虫歯になっても、いずれ抜けるから大丈夫」などと安易に考える方もいますが、これは大きな間違いです。
赤ちゃんはこれからどんどん成長していきます。その過程で乳歯の虫歯は赤ちゃんの成長に様々な弊害をもたらすのです。
乳歯の神経が死んでしまうと永久歯の発育に影響がでる
虫歯は神経に達すると、次に根の先の方まで虫歯菌が感染します。乳歯の場合、虫歯になった歯が近くの永久歯の成長を妨げ、歯質が弱くなる原因になることもあります。
また神経が死んでしまった乳歯は、生え変わりの時期が来ても抜けにくく、永久歯が真っすぐ生えきれず、乳歯を避けて曲がって生えてくることも珍しくありません。
歯並びや発音が悪くなる
赤ちゃんの虫歯を放置した結果、歯がない状態になると、空いた空間に向かって他の乳歯が動きます。すると永久歯が生えてくるスペースが狭くなり、歯並びが悪くなります。また歯の重要な役割の1つが発音です。言葉を覚え始めるこの時期に歯を失うと、正しい発音ができないなどの発音障害の原因になります。
見た目や発音の悪さが心の発育にも影響
虫歯によって口元の見た目や発音が悪くなってしまうと、小さな子供でもコンプレックスを抱きます。
そして人前で話すのを嫌がったり、友達と仲良く遊べなくなったりと、次第に引っ込み思案になってしまいます。
このような幼いころに受ける精神的負担は、今後の心の発育にも影響しかねません。
そして人前で話すのを嫌がったり、友達と仲良く遊べなくなったりと、次第に引っ込み思案になってしまいます。
このような幼いころに受ける精神的負担は、今後の心の発育にも影響しかねません。
歯が白っぽくなったら歯科医院へ行くサイン
「こんな小さな赤ちゃんでも歯科医院でちゃんと診てもらえるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
しかしそこは虫歯のプロなので、赤ちゃんの状態や個々の歯に応じて歯科医師は治療を行います。
それではどのタイミングで歯科医院へ行けば良いのか、歯科医院でどのように治療を行うのか、さらにスムーズに通院するためのアドバイスなどを解説します。
赤ちゃんの症状は曖昧 気になったらすぐ歯科医院へ
赤ちゃんは虫歯になっても、その症状をはっきり伝えることはできません。またその日は痛そうにしていても次の日はケロッとしているなど、症状も曖昧です。中には痛みを訴える間に神経まで虫歯が達し、そのうち神経が死んで痛みを訴えなくなるケースもあります。
そのため少しでも様子がおかしいと感じたら、歯科医院を受診するほうが良いでしょう。
白っぽい歯は虫歯のなりはじめ
虫歯と聞くと黒っぽくなるイメージがあると思いますが、初期虫歯は白濁(はくだく)と言って歯の表面が白くなるのが特徴です。初期虫歯は厳密には虫歯ではなく、このまま放っておくと虫歯になる、いわゆる虫歯のなり始めの状態です。
初期虫歯は歯を削るなどの治療は必要なく、適切なブラッシングとフッ化物で歯質を強くすることで、元の状態に戻すことができます。
ただ自己判断は危険ですので、白濁に気づいたら歯科医院を受診しましょう。
治療ができない場合は、進行止めの薬を塗布してもらう
虫歯は基本的に削ることでしか治すことはできません。しかし診療台でおとなしく治療を受けることができる赤ちゃんは少なく、泣いて暴れるのが当たり前です。治療のできない赤ちゃんには虫歯の進行を止める薬を塗布することで、それ以上虫歯を大きくしない処置を行います。
ただあくまで進行止めにすぎないため、もう少し成長した段階で本格的な治療が必要になります。
歯科医院は午前中に行くのがベスト
歯医者通いは大人でも尻込みしてしまうもの。まして何もわからない赤ちゃんは、見知らぬ場所で突然口の中を触られるので、とてもストレスになります。そのため赤ちゃんを歯科医院へ連れていく場合、疲れて機嫌の悪くなるお昼すぎや夕方以降の時間帯よりも、体調の良い午前中のほうが治療もスムーズに行えることが多いでしょう。
「習うより慣れろ」が大切
まだ言葉の通じにくい赤ちゃんには、虫歯の意味も治療の大切さも教えることができません。また赤ちゃんが1番不安を覚えるのは知らない環境や出来事に遭遇することです。歯科医院では実際に治療を行うまえに、優しく言葉がけをしたり器具に触れさせることで、まずその環境に赤ちゃんが慣れることから始めます。
お家でも「歯医者さんごっこ」などの遊びを通して、治療に慣れさせる工夫をすると良いでしょう。
歯磨き以外にできる赤ちゃんの虫歯予防
上の図のように、虫歯は歯(歯質)と糖そして細菌の3つの要素がセットになることで発生する病気です。ゆえに赤ちゃんの虫歯予防は次の3点が重要なポイントになります。
赤ちゃんの虫歯を予防する3つのポイント
1.赤ちゃんの歯(歯質)を強くする2.糖の量をコントロールする
3.できるだけ虫歯菌の感染を防ぐ
赤ちゃんの歯質の強化にはフッ化物(フッ素)を利用する
フッ化物(フッ素)はエナメル質に取り込まれることで、歯質を強くする効果があります。特にまだ成熟していない歯ほどフッ化物を取り込みやすく、未熟な赤ちゃんの歯には有効です。赤ちゃんの歯磨きでは基本的に歯磨き粉は不要ですが、歯磨きの後にスプレータイプやジェルタイプのフッ化物を塗布するなどして歯質の強化に努めましょう。
おやつやジュースは時間と量を決めて与える
赤ちゃんの時期は歯磨きをしっかり行うことも重要ですが、それよりも糖分のコントロールを行う方が虫歯予防の効果は高いでしょう。またこの時期に正しい食生活を身に付けておくと、大きくなってからも虫歯になりにくくなります。
ただお菓子やジュースなどを全く与えてはいけないというわけではありません。大切なのはきちんと時間を決め、決められた量以上のものを与えないことです。
「感染の窓」の時期に虫歯菌の感染を防ぐ
感染の窓とは?
口の中にある細菌の種類やその割合は3歳ごろまでに決定し、以後は成人してもその割合に大きな変動はありません。また虫歯菌は1歳7か月(生後19か月)から2歳7か月(31か月)の1年間に最も感染しやすく、この時期を歯科では「感染の窓」とよんでいます。
感染の窓の時期に虫歯菌の感染を防いでおくと、生涯にわたって虫歯になりにくい口腔環境を築くことができます。
そのため感染の窓の時期はスプーンやコップ、箸などを大人と別々にするなどして、できるだけ大人から虫歯菌が感染する機会を減らしましょう。
赤ちゃんの虫歯予防は「マイナス0歳」から
これまで述べてきたように、赤ちゃんが虫歯には家族の方の口腔環境も大きく影響します。大切な赤ちゃんの虫歯予防は、生まれる前から始めるとより効果的です。
妊婦でも妊娠中期であれば歯科治療は可能
妊娠中に歯科治療を受けることに不安を感じるお母さんもいらっしゃるでしょう。しかし妊婦であっても、妊娠5か月から8か月(16週から27週)の妊娠中期であれば歯科治療を受けられます。
麻酔やレントゲンは赤ちゃんに影響はない?
歯科治療における麻酔は口の中に限定されているため、赤ちゃんへの影響はほとんどありません。
ただ痛み止めなどを服用する際は念のため産婦人科の先生に相談しましょう。
またレントゲンも放射線は腹部に当たらないので安心してください。もしどうしても気になるようであれば防護エプロンを装着してレントゲン撮影を行うこともできます。
ただ痛み止めなどを服用する際は念のため産婦人科の先生に相談しましょう。
またレントゲンも放射線は腹部に当たらないので安心してください。もしどうしても気になるようであれば防護エプロンを装着してレントゲン撮影を行うこともできます。
赤ちゃんが生まれる前に自分の口腔環境を整えておくことも、ママになる第一歩ね。
家族の虫歯が赤ちゃんにうつることも
虫歯ができないよう赤ちゃんの歯磨きや口腔ケアをしていると思いますが、虫歯の原因は赤ちゃんではなくお母さんやお父さん、兄弟の虫歯も関係してきます。家族の口の中が汚ければ赤ちゃんの口の中も汚くなってしまうのは、これまで述べたとおりです。
したがってまずは周囲の大人から正しい口腔ケアをはじめることが重要です。
虫歯がないか確認し、もし虫歯があれば赤ちゃんが生まれる前に治療をして虫歯菌を減らすことも忘ないようにしましょう。
赤ちゃんの虫歯放置は厳禁、早めの治療を
赤ちゃんの虫歯は育つ環境に左右されます。特に食生活はとても重要で、時間や量を決めない「ダラダラ食べ」は、歯磨き不足よりももっと深刻な虫歯の原因となります。
赤ちゃんの虫歯は、放置しておくと歯並びが悪くなる原因にもなります。毎日の歯磨きとあわせ、怪しいなと思ったら早めの治療を心がけてください。
赤ちゃんの歯を磨くコツや時期についてはについては「赤ちゃんの歯磨きはいつから始めるといいですか?」(別記事)をご覧ください。
《編集:安藤美和子》
サプリメントアドバイザー、化粧品検定一級、薬事法管理者の有資格者チームの管理人。化粧品開発・プロモーションの実務経験を活かし、雑誌・WEBメディアの執筆/ディレクションを行う。
サプリメントアドバイザー、化粧品検定一級、薬事法管理者の有資格者チームの管理人。化粧品開発・プロモーションの実務経験を活かし、雑誌・WEBメディアの執筆/ディレクションを行う。
◆参考文献
・子供の歯に強くなる本 / 木村光孝監修 クインテッセンス出版
・小児歯科マニュアル / 緒方克也・進士久明 編集 医師薬出版株式会社