歯ぎしりはストレス・睡眠不足が原因!?歯科医が教える自分でできる3つの対策
[公開日]2017/09/28
歯ぎしりはストレスが原因だと言われていますが、歯ぎしりの原因やメカニズムは完全に解明されておらず、歯ぎしりを効果的に治す方法も見つかっていません。
ただ、歯ぎしりは歯や口の周りの筋肉、顎の関節に様々な悪影響を及ぼすことは判明しています。
歯ぎしりを放置しておくと、頭痛や顔のたるみを引き起こす可能性もあるため、歯科医である筆者が歯ぎしりの原因と自分でできる歯ぎしり対策方法をお伝えしていきます。
歯ぎしりのメカニズムは未だ不明な点が多く、現在に至っても様々な研究が行なわれている途中です。
そのため以前は正しいとされていた歯ぎしりに関する情報も、現在は否定されているものがあります。
そこではじめに、現在解明されている歯ぎしりの原因についてお伝えしていきます。
歯ぎしりは睡眠中に脳が何らかの原因で興奮し、その興奮が歯や顎に伝えられて起こることがわかっています。
脳に興奮を起こす要因にはいくつかありますが、その1つが心理的な要因、つまりストレスとされている説が有力です。
ストレスと一口にいっても一時的に歯ぎしりが出てしまう人の場合、原因となるストレス解消ができれば歯ぎしりも治まります。
一方で、歯ぎしりを毎日行う人の場合は、性格的要因が大きいと考えられます。物事に細かいタイプや、神経質なタイプは小さな事柄でもストレスに感じやすく、歯ぎしりが慢性化しやすくなります。
以前は「咬み合わせが悪いと歯ぎしりを引き起こす」という考えが主流であった時代もありましたが、咬み合わせと歯ぎしりとの関連性は科学的根拠がないうえ、
などの点から、現在では完全に否定されています。
ストレスの他にも、飲酒や喫煙なども歯ぎしりを引き起こす可能性があるという研究報告もあります。
喫煙と飲酒は睡眠の質を低下させ眠りを浅くすることから、歯ぎしりを引き起こす要因の1つと考えられているのです。
睡眠はレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を繰り返しますが、歯ぎしりは深い眠りのはずのノンレム睡眠が浅く、熟睡できていない場合に起こることわかってきました。
つまり、「ノンレム睡眠が浅い=睡眠の質が悪い」と歯ぎしりが起こりやすく、睡眠の質を高めることも歯ぎしりを改善する方法とされています。
その要因の1つに、逆流性食道炎も含まれることがありますが、その理由はまだはっきりとわかっていません。
現在は胃酸の逆流による刺激が睡眠の質を落としてしまう、または胃酸が口の中に入ることで唾液の分泌が活発になることが歯ぎしりを誘発する、と考えられています。
歯ぎしりは、自分自身で歯ぎしり改善を図る方法があります。
趣味やスポーツ、友人や家族との団らんなど、どんなもことでもかまいません。特に毎日歯ぎしりをする人は、日々の生活の中でリラックスする時間を意識的に設けるように心がけてください。
睡眠の質を高めるには、交感神経(活動モード)から副交感神経(リラックスモード)を優位にする必要があります。
具体的には、就寝前に「歯を咬み合わせない」「歯ぎしりをしない」「歯ぎしりを絶対に治す」などの暗示を自分にかけます。この時、声に出すとさらに効果的です。
自己暗示の時は、できるだけポジティブな言葉を自分に投げかけることで、気分を高揚させたり、リラックスする効果が期待できます。
毎日寝る前に「歯ぎしりをしない」と自己暗示をかける習慣をつけるとよいでしょう。
歯ぎしりはそのまま放置しておくと、口の中に限らず、顎や肩、顔の形にも様々な影響を及ぼします。
また歯ぎしりで顎を横にギリギリと動かす際、歯には横向きの力が大きく働きひずみが生じます。
プラスチックの定規を無理矢理曲げようとすれば定規がひずみ、やがて割れてしまうのと同じです。
さすがに歯が折れるまでの力が働くわけではありませんが、歯と歯ぐきのあたりに生じたひずみによって、歯が欠けてしまう恐れがあります。
また首周囲の筋肉が緊張することで血流を妨げられ、頭痛を引き起こす場合があります。
これといった原因は見当たらないに頭痛が起こりやすい人は、寝ている時の歯ぎしりをしているせいかもしれません。
歯ぎしりをすると咬筋(こうきん)と呼ばれる頬の筋肉に力が入り、咬筋が発達して太くなります。咬筋が発達した顔に形で良く知られるのが「エラ張り」型の顔です。
また歯ぎしりによって歯が削られていくと、下あごの位置が上がり、顔全体の長さがわずかに短くなります。わかりやすくイメージするなら、顔を下から押しつぶしたような感じです。
すると口角(唇の外はし)が下がり、頬がたるみます。それに伴ってほうれい線も濃くなり、いわゆる「老け顔」になります。
どちらのケースも著しく顔の形を変えてしまうほどではありませんが、歯ぎしりの期間が長くなることで顔の形に何らかの影響がでてくることは否定できません。
自分だけでできる対策もありますが、歯医者さんで歯ぎしりの対策をすることもできます。
歯科医院でおこなう歯ぎしり対策は、歯ぎしりから周囲の組織を守るためにマウスピース治療です。
残念ながら、現在に至るまで歯ぎしりを効果的に治す治療方法は見つかっていません。
そのため歯ぎしりは治していくことよりも、歯ぎしりが体に及ぼす様々な悪影響を予防することが優先されます。
マウスピースは寝ている間に装着することで、歯ぎしりで受ける強い咬合力(咬む力)を分散して、歯や歯ぐき、顎の関節や周囲の筋肉にかかる負担を減らします。
歯ぎしり用マウスピースにはソフトタイプのハードタイプの2種類あります。
ソフトタイプは専用ケースにそのまま入れてかまいません。ハードタイプは乾燥を防ぐため、日中は水の中に付けておきます。
またどちらも熱に弱いため、熱湯などで洗い流すのは避けましょう。また歯磨き粉を使って磨くとマウスピースを削ってしまうので、使用は控えます。
マウスピースを清潔に保つためには、週に1回程度「入れ歯洗浄剤」を使用すると良いでしょう。
ただし保険適応の場合、作製した後6か月間は新しいマウスピースが作製できません。もし6か月以内に破損または紛失すると、新しいマウスピースは自費になる可能性があるため注意しましょう。
ただ既製商品は必ずしも自分の歯の形態に合うとは限りません。もし合わないマウスピースを使用すれば、歯並びが悪くなったり、顎の関節に異常をきたす恐れがあります。
歯科でのマウスピースは、歯型をとって作製するオーダーメイドです。また歯ぎしりの状況に合わせて細かい調整なども行うため、長く安心して使用できます。
ここまで、主に就寝時の歯ぎしりについてお話ししてきました。
ただ歯ぎしりと一口に言っても、横にギリギリと顎を動かす歯ぎしりもあれば、歯をぐっと咬みしめる音の出ない歯ぎしりもあります。
また歯ぎしりをするのは寝てている時だけとはかぎりません。
ここでは歯ぎしりとはそもそもどういうものなか、基本的なことについて解説します。
歯は本来、会話や食事をするとき以外で上下の歯が咬み合うことはなく、1日のうちに上下の歯が咬み合う時間を合計すると、20分程度と言われています。
ブラキシズムとは寝ている時、起きている時に限らず、特に何もしていないのに上下の歯を咬み合わせてしまったり、歯をこすり合わせてしまう癖の総称です。
ブラキシズムには以下の3種類あります。
就寝時の歯ぎしりは上記の中の「グライディング」がほとんどですが、中には「クレンチング」を行っている場合があります。
クレンチングはグライディングのような音はないため、他人から指摘されることは少ないでしょう。そのため自身の歯ぎしりを全く自覚できないことがあります。
また咬みしめるほどまでの力はかかっていなくても、何もしていない時に上下の歯が接触してしまうのも悪い癖の1つです。
歯科では「歯列接触癖(しれつせっしょくへき)」と呼ばれており、歯ぎしりと同じく筋肉の緊張や顎関節の負担などの悪影響が出る可能性が指摘されています。
日中クレンチングや歯列接触癖は、寝ている時のように無意識に行われる他に、意識的に行われるケースもあります。
どちらの場合にせよ、その癖を自覚できれば就寝時の歯ぎしりよりも改善しやすいと言えるでしょう。
また日中クレンチングや歯列接触癖を改善したら、寝ている時の歯ぎしりも改善されたケースも報告されており、双方に何らかの関係があることは確かです。
一説には、「子供の歯ぎしりは成長過程の自然な現象で、成長とともになくなる」とも言われていますが、その科学的根拠は示されていません。
ただ大人同様に、ストレスとの関連は指摘されており、周囲の環境の変化などによって歯ぎしりが強くでたり、また性格的に繊細な子供は歯ぎしりをしやすい傾向があります。
また夜更かしをするなどの生活リズムの乱れも、睡眠の質が落ち歯ぎしりの原因になっていると考えられます。
子どもの歯ぎしりも頻繁に行っていると、歯をすり減らしたり、歯並びに影響がでる恐れがあるため、気になる場合は歯科医院で早めに相談してみましょう。
もし自分が歯ぎしりをしているのか気になる人は、以下の点を1度確認してみましょう。
しかし日常的に歯ぎしりを行う人の場合、山の部分がすり減っていたり、凹凸がなくなって石臼のように平らになっている場合があります。
その防御反応の1つが「骨隆起(こつりゅうき)」です。骨隆起は上あごや下あごの裏側に骨がコブになって盛り上がる状態で、骨に一定の力が日常的に加わることで発生します。
歯ぎしりは放っておくと、歯や顎に支障をきたす他に、首や肩のこり、顔の形にも大きな影響をもたらします。
また日中に行う咬みしめや食いしばりも、歯ぎしり同様に様々な悪影響を及ぼす恐れがあるため、早いうちに改善することをおすすめします。
ただ歯ぎしりを完治させるのは難しく、人によっては長く付き合っていかなけらばならない癖の1つです。そのため、まずは歯ぎしりによる影響を未然に防ぐ対策をしっかり行いましょう。
◆参考文献
テーマパーク8020 日本歯科医師会
睡眠時ブラキシズム・合理的な判断と歯科的対処法 Dental Medicine Research
ブラキシズムの臨床的理解と治療法 龍谷大学
ただ、歯ぎしりは歯や口の周りの筋肉、顎の関節に様々な悪影響を及ぼすことは判明しています。
歯ぎしりを放置しておくと、頭痛や顔のたるみを引き起こす可能性もあるため、歯科医である筆者が歯ぎしりの原因と自分でできる歯ぎしり対策方法をお伝えしていきます。
目次
この記事は、歯科医師の方に執筆していただき、アンチエイジングの神様チームで編集しております。
歯ぎしりはストレスと神経質な性格が原因
歯ぎしりのメカニズムは未だ不明な点が多く、現在に至っても様々な研究が行なわれている途中です。
そのため以前は正しいとされていた歯ぎしりに関する情報も、現在は否定されているものがあります。
そこではじめに、現在解明されている歯ぎしりの原因についてお伝えしていきます。
歯ぎしりの原因は「ストレス」が大きく占める
歯ぎしりの原因で、最も大きな割合を占めるのは「ストレス」です。歯ぎしりは睡眠中に脳が何らかの原因で興奮し、その興奮が歯や顎に伝えられて起こることがわかっています。
脳に興奮を起こす要因にはいくつかありますが、その1つが心理的な要因、つまりストレスとされている説が有力です。
ストレスと一口にいっても一時的に歯ぎしりが出てしまう人の場合、原因となるストレス解消ができれば歯ぎしりも治まります。
一方で、歯ぎしりを毎日行う人の場合は、性格的要因が大きいと考えられます。物事に細かいタイプや、神経質なタイプは小さな事柄でもストレスに感じやすく、歯ぎしりが慢性化しやすくなります。
咬み合わせと歯ぎしりには関連性がない
歯ぎしりの原因に「咬み合わせ」がよく挙げられますが、咬み合わせと歯ぎしりとの間には関連性がないということがわかっています。以前は「咬み合わせが悪いと歯ぎしりを引き起こす」という考えが主流であった時代もありましたが、咬み合わせと歯ぎしりとの関連性は科学的根拠がないうえ、
・歯並びや咬み合わせに問題がなくても歯ぎしりをする人もいる
・咬み合わせを調整しても、歯ぎしりが治らないケースがある
・歯がない人でも、歯ぎしり(のような動き)をする
・咬み合わせを調整しても、歯ぎしりが治らないケースがある
・歯がない人でも、歯ぎしり(のような動き)をする
などの点から、現在では完全に否定されています。
飲酒や喫煙が歯ぎしりの原因になっている可能性も
ストレスの他にも、飲酒や喫煙なども歯ぎしりを引き起こす可能性があるという研究報告もあります。
喫煙と飲酒は睡眠の質を低下させ眠りを浅くすることから、歯ぎしりを引き起こす要因の1つと考えられているのです。
睡眠はレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を繰り返しますが、歯ぎしりは深い眠りのはずのノンレム睡眠が浅く、熟睡できていない場合に起こることわかってきました。
つまり、「ノンレム睡眠が浅い=睡眠の質が悪い」と歯ぎしりが起こりやすく、睡眠の質を高めることも歯ぎしりを改善する方法とされています。
逆流性食道炎も歯ぎしりの原因に?
歯ぎしりの原因は現在に至るまでさまざまな議論がされていますが、近年ではストレスや飲酒、喫煙の他に・遺伝的要素
・特定の疾患(脳性麻痺・呼吸障害など)
・薬剤
などの要因が複数合わさることで歯ぎしりを引き起こすという「多因子説」が主流となっています。・特定の疾患(脳性麻痺・呼吸障害など)
・薬剤
その要因の1つに、逆流性食道炎も含まれることがありますが、その理由はまだはっきりとわかっていません。
現在は胃酸の逆流による刺激が睡眠の質を落としてしまう、または胃酸が口の中に入ることで唾液の分泌が活発になることが歯ぎしりを誘発する、と考えられています。
お金をかけずにできる3つの歯ぎしり改善対策
歯ぎしりは、自分自身で歯ぎしり改善を図る方法があります。
歯ぎしりの原因「ストレス」の解消法を見つける
歯ぎしりの多くはストレスが関係しています。そのためストレスを溜めないこと、もしくは早めにストレス解消ができれば歯ぎしりの改善効果も早く実感できます。趣味やスポーツ、友人や家族との団らんなど、どんなもことでもかまいません。特に毎日歯ぎしりをする人は、日々の生活の中でリラックスする時間を意識的に設けるように心がけてください。
睡眠の質を高める
歯ぎしりと睡眠には深い関係があります。歯ぎしりの場合は睡眠の長さよりも、睡眠の質を高めることを意識します。睡眠の質を高めるには、交感神経(活動モード)から副交感神経(リラックスモード)を優位にする必要があります。
・枕や寝具を変える
・部屋の温度や室温に気を配る
・就寝前のパソコン、スマートフォンの使用は控える
・飲酒はほどほどにする
・アロマや音楽などを用いて、就寝前にリラックスする時間を設ける
などの方法で、深い眠りで熟睡できる環境づくりに努めましょう。・部屋の温度や室温に気を配る
・就寝前のパソコン、スマートフォンの使用は控える
・飲酒はほどほどにする
・アロマや音楽などを用いて、就寝前にリラックスする時間を設ける
自己暗示をかける
自己暗示療法は、歯科などの専門科でもおすすめしている歯ぎしりの改善方法の1つです。具体的には、就寝前に「歯を咬み合わせない」「歯ぎしりをしない」「歯ぎしりを絶対に治す」などの暗示を自分にかけます。この時、声に出すとさらに効果的です。
自己暗示の時は、できるだけポジティブな言葉を自分に投げかけることで、気分を高揚させたり、リラックスする効果が期待できます。
毎日寝る前に「歯ぎしりをしない」と自己暗示をかける習慣をつけるとよいでしょう。
放置は危険!歯ぎしりが原因で顔つきが変わる場合も
歯ぎしりはそのまま放置しておくと、口の中に限らず、顎や肩、顔の形にも様々な影響を及ぼします。
歯がすり減る・歯が欠ける
歯ぎしりをすると、歯には自分の体重以上の負荷がかかります。そのため歯ぎしりを長く行えば、歯の咬む面はどんどんすり減り、ひどい人では歯が平らになってしまうことも珍しくありません。また歯ぎしりで顎を横にギリギリと動かす際、歯には横向きの力が大きく働きひずみが生じます。
プラスチックの定規を無理矢理曲げようとすれば定規がひずみ、やがて割れてしまうのと同じです。
さすがに歯が折れるまでの力が働くわけではありませんが、歯と歯ぐきのあたりに生じたひずみによって、歯が欠けてしまう恐れがあります。
首や肩の凝り・頭痛を引き起こす
歯ぎしりで歯をぐっと咬みしめる動作は、その周囲にある首や肩の筋肉も緊張させてしまい、慢性的な凝りの原因になります。また首周囲の筋肉が緊張することで血流を妨げられ、頭痛を引き起こす場合があります。
これといった原因は見当たらないに頭痛が起こりやすい人は、寝ている時の歯ぎしりをしているせいかもしれません。
「エラが張る」「口角が下がる」などの顔の形にも影響
歯ぎしりを長く続けていくと、顎周りにも多少の変化があらわれる可能性があります。歯ぎしりをすると咬筋(こうきん)と呼ばれる頬の筋肉に力が入り、咬筋が発達して太くなります。咬筋が発達した顔に形で良く知られるのが「エラ張り」型の顔です。
また歯ぎしりによって歯が削られていくと、下あごの位置が上がり、顔全体の長さがわずかに短くなります。わかりやすくイメージするなら、顔を下から押しつぶしたような感じです。
すると口角(唇の外はし)が下がり、頬がたるみます。それに伴ってほうれい線も濃くなり、いわゆる「老け顔」になります。
どちらのケースも著しく顔の形を変えてしまうほどではありませんが、歯ぎしりの期間が長くなることで顔の形に何らかの影響がでてくることは否定できません。
顎の関節に痛みがでる
歯ぎしりは顎の関節にも大きな負担をかけます。その結果、・口が開けづらいor口が開かない
・口を開けると「パキン」と関節の音がする
・頬の筋肉が痛い
といった、顎関節症(がくかんせつしょう)特有の症状があらわれやすくなります。・口を開けると「パキン」と関節の音がする
・頬の筋肉が痛い
歯医者さんでおこなう歯ぎしり対策は「マウスピース治療」
歯ぎしりはそのまま放っておくと、歯や歯ぐき、顎やその周囲に様々な悪影響をもたらします。自分だけでできる対策もありますが、歯医者さんで歯ぎしりの対策をすることもできます。
歯科医院でおこなう歯ぎしり対策は、歯ぎしりから周囲の組織を守るためにマウスピース治療です。
歯ぎしりによる悪影響を予防するのにマウスピースは最適
マウスピースは歯ぎしりで歯が削られるのを防いだり、顔の筋肉や顎の関節にかかる力を和らげるのに効果的です。残念ながら、現在に至るまで歯ぎしりを効果的に治す治療方法は見つかっていません。
そのため歯ぎしりは治していくことよりも、歯ぎしりが体に及ぼす様々な悪影響を予防することが優先されます。
マウスピースは寝ている間に装着することで、歯ぎしりで受ける強い咬合力(咬む力)を分散して、歯や歯ぐき、顎の関節や周囲の筋肉にかかる負担を減らします。
歯ぎしり用マウスピースには2つのタイプがある
歯科では「ナイトガード」と呼ばれる歯ぎしり用のマウスピースを作製しています。マウスピースは夜寝るときに上あごに装着するもので、基本的に日中は装着しません。歯ぎしり用マウスピースにはソフトタイプのハードタイプの2種類あります。
ソフトタイプ
ポリエチレン樹脂でできたソフトタイプは、ゴムのようい柔らかいのが特徴です。
ソフトタイプは違和感が少なく、睡眠を妨げないのがメリットです。しかし素材が柔らかいため破れやすく、強い歯ぎしりをする人の場合1ヵ月もたたないうちに穴が空いてしまうことがあります。
ハードタイプ
ハードタイプはプラスチックでできており、ある程度の硬さや厚みを備えています。
丈夫なので長く使用でき、また穴が空いても修復できるのがハードタイプのメリットです。ただ厚みの分だけ違和感も強く、慣れるまで少し時間がかかります。
ポリエチレン樹脂でできたソフトタイプは、ゴムのようい柔らかいのが特徴です。
ソフトタイプは違和感が少なく、睡眠を妨げないのがメリットです。しかし素材が柔らかいため破れやすく、強い歯ぎしりをする人の場合1ヵ月もたたないうちに穴が空いてしまうことがあります。
ハードタイプ
ハードタイプはプラスチックでできており、ある程度の硬さや厚みを備えています。
丈夫なので長く使用でき、また穴が空いても修復できるのがハードタイプのメリットです。ただ厚みの分だけ違和感も強く、慣れるまで少し時間がかかります。
マウスピースのお手入れ方法は?
歯ぎしり用のマウスピースは、朝起きて外したら、流水できれいに洗って専用ケースに保存します。ソフトタイプは専用ケースにそのまま入れてかまいません。ハードタイプは乾燥を防ぐため、日中は水の中に付けておきます。
またどちらも熱に弱いため、熱湯などで洗い流すのは避けましょう。また歯磨き粉を使って磨くとマウスピースを削ってしまうので、使用は控えます。
マウスピースを清潔に保つためには、週に1回程度「入れ歯洗浄剤」を使用すると良いでしょう。
歯ぎしり用マウスピースは保険が適応される
歯ぎしり用マウスピース(ナイトガード)は保険が適応され、5000円程度で作製することができます。ただし保険適応の場合、作製した後6か月間は新しいマウスピースが作製できません。もし6か月以内に破損または紛失すると、新しいマウスピースは自費になる可能性があるため注意しましょう。
市販のマウスピースは使用しても良い?
歯ぎしり用のマウスピースは市販商品もあり、2000円程度で販売されています。ただ既製商品は必ずしも自分の歯の形態に合うとは限りません。もし合わないマウスピースを使用すれば、歯並びが悪くなったり、顎の関節に異常をきたす恐れがあります。
歯科でのマウスピースは、歯型をとって作製するオーダーメイドです。また歯ぎしりの状況に合わせて細かい調整なども行うため、長く安心して使用できます。
歯ぎしりは寝ている時だけとは限らない
ここまで、主に就寝時の歯ぎしりについてお話ししてきました。
ただ歯ぎしりと一口に言っても、横にギリギリと顎を動かす歯ぎしりもあれば、歯をぐっと咬みしめる音の出ない歯ぎしりもあります。
また歯ぎしりをするのは寝てている時だけとはかぎりません。
ここでは歯ぎしりとはそもそもどういうものなか、基本的なことについて解説します。
歯ぎしりは「咬み癖」の1つ
歯ぎしりは、医学的にブラキシズムと呼ばれる咬み癖の1つです。歯は本来、会話や食事をするとき以外で上下の歯が咬み合うことはなく、1日のうちに上下の歯が咬み合う時間を合計すると、20分程度と言われています。
ブラキシズムとは寝ている時、起きている時に限らず、特に何もしていないのに上下の歯を咬み合わせてしまったり、歯をこすり合わせてしまう癖の総称です。
ブラキシズムには以下の3種類あります。
ブラキシズムの種類
グライディング
歯を横にギリギリとすり合わせる癖。こすり合わせる時に発生する独特な音が特徴。
通常「歯ぎしり」と呼ばれるのはこのグライディングの事。
クレンチング
上下の歯をぐっと咬みしめる癖。グライディングの時のような音がない。
タッピング
上下の歯をカチカチと打ち鳴らす癖。ブラキシズムの中はまれなケース。
歯を横にギリギリとすり合わせる癖。こすり合わせる時に発生する独特な音が特徴。
通常「歯ぎしり」と呼ばれるのはこのグライディングの事。
クレンチング
上下の歯をぐっと咬みしめる癖。グライディングの時のような音がない。
タッピング
上下の歯をカチカチと打ち鳴らす癖。ブラキシズムの中はまれなケース。
就寝時の歯ぎしりは上記の中の「グライディング」がほとんどですが、中には「クレンチング」を行っている場合があります。
クレンチングはグライディングのような音はないため、他人から指摘されることは少ないでしょう。そのため自身の歯ぎしりを全く自覚できないことがあります。
起きている時に歯ぎしりをしている人もいる
上記に示したブラキシズムのうち、クレンチング(咬みしめ)は日中に行っているケースが多くあります。また咬みしめるほどまでの力はかかっていなくても、何もしていない時に上下の歯が接触してしまうのも悪い癖の1つです。
歯科では「歯列接触癖(しれつせっしょくへき)」と呼ばれており、歯ぎしりと同じく筋肉の緊張や顎関節の負担などの悪影響が出る可能性が指摘されています。
日中クレンチングや歯列接触癖は、寝ている時のように無意識に行われる他に、意識的に行われるケースもあります。
どちらの場合にせよ、その癖を自覚できれば就寝時の歯ぎしりよりも改善しやすいと言えるでしょう。
また日中クレンチングや歯列接触癖を改善したら、寝ている時の歯ぎしりも改善されたケースも報告されており、双方に何らかの関係があることは確かです。
子供でも歯ぎしりをする
子供の歯ぎしりは決して珍しいものではなく、子供でも1~2割程度が歯ぎしりします。しかし子供の歯ぎしり関しても、メカニズム等は明らかになっていません。一説には、「子供の歯ぎしりは成長過程の自然な現象で、成長とともになくなる」とも言われていますが、その科学的根拠は示されていません。
ただ大人同様に、ストレスとの関連は指摘されており、周囲の環境の変化などによって歯ぎしりが強くでたり、また性格的に繊細な子供は歯ぎしりをしやすい傾向があります。
また夜更かしをするなどの生活リズムの乱れも、睡眠の質が落ち歯ぎしりの原因になっていると考えられます。
子どもの歯ぎしりも頻繁に行っていると、歯をすり減らしたり、歯並びに影響がでる恐れがあるため、気になる場合は歯科医院で早めに相談してみましょう。
歯が削られていたら無意識に歯ぎしりしている
舌の側面に歯型がついていたら歯ぎしりをしている可能性アリ
自分が歯ぎしりしているかどうかは、一緒に寝ている人の指摘があればすぐにわかりますが、いつも1人で寝ている人や音のない食いしばりを行っている人、昼間に無意識に歯を咬み合わせる人などは、自身で自覚することは困難です。もし自分が歯ぎしりをしているのか気になる人は、以下の点を1度確認してみましょう。
歯の凸凹が削られている
通常、歯の咬む面は山と谷がはっきりとした凹凸が見られます。しかし日常的に歯ぎしりを行う人の場合、山の部分がすり減っていたり、凹凸がなくなって石臼のように平らになっている場合があります。
上あごや下あごに「骨のコブ」がある
強い歯ぎしりをしている場合、顎の骨がその力に負けまいとして防御反応が働きます。その防御反応の1つが「骨隆起(こつりゅうき)」です。骨隆起は上あごや下あごの裏側に骨がコブになって盛り上がる状態で、骨に一定の力が日常的に加わることで発生します。
舌や頬に歯型の痕が見られる
特に自分で咬んだ覚えがないのに、頬の粘膜に咬んだ痕が付いていたり、舌の側面(横側)が波打った形になっている場合は、歯ぎしりをしている可能性が高いと言えます。ストレスと睡眠の改善で歯ぎしり対策できる
歯ぎしりは放っておくと、歯や顎に支障をきたす他に、首や肩のこり、顔の形にも大きな影響をもたらします。
また日中に行う咬みしめや食いしばりも、歯ぎしり同様に様々な悪影響を及ぼす恐れがあるため、早いうちに改善することをおすすめします。
ただ歯ぎしりを完治させるのは難しく、人によっては長く付き合っていかなけらばならない癖の1つです。そのため、まずは歯ぎしりによる影響を未然に防ぐ対策をしっかり行いましょう。
《編集:安藤美和子》
サプリメントアドバイザー、化粧品検定一級、薬事法管理者の有資格者チームの管理人。化粧品開発・プロモーションの実務経験を活かし、雑誌・WEBメディアの執筆/ディレクションを行う。
サプリメントアドバイザー、化粧品検定一級、薬事法管理者の有資格者チームの管理人。化粧品開発・プロモーションの実務経験を活かし、雑誌・WEBメディアの執筆/ディレクションを行う。
◆参考文献
テーマパーク8020 日本歯科医師会
睡眠時ブラキシズム・合理的な判断と歯科的対処法 Dental Medicine Research
ブラキシズムの臨床的理解と治療法 龍谷大学