歯科医が教える!子どもの口臭の原因と自宅ですぐにできるおすすめ対策5選
[公開日]2017/12/05[更新日]2018/05/23
「うちの子の口が臭い…いじめられたりしないかな…」と心配になっていませんか?
筆者は歯科医で、たくさんのお父さんお母さんから子供の口臭に関する相談を受けてきました。
子供の口臭を1番に不安に感じるのは保護者の方ですが、その保護者の過剰な心配がかえって子供のストレスとなり、さらに口臭を悪化させる悪循環にもなりかねません。
口臭はどんな人でも大なり小なり必ずあります。まして成長によって日々変化していく子供であれば、その日のリズムや体調などによっても口臭の増減があることを知っておくことが重要です。
成長過程の子供は体内リズムもまだ不安定なため、ちょっとした生活の乱れが口臭の原因になるケースが多くあります。
子供の口臭が気にななったら、まずは日ごろの生活習慣の見直してみましょう。
この記事では子供の口臭に関する正しい考え方などを解説し、その上でお家でできるケアなどをご紹介したいと思います。
目次
この記事は、歯科医師の方に執筆していただき、アンチエイジングの神様チームで編集しております。
子どもの口臭の主な原因は生活習慣と口呼吸
子供の口臭の大半は、何らかの原因で口の中が不衛生な状態になっていることで起こります。そして口の中が汚れる原因は
・食習慣や歯磨きなどの生活習慣によるもの
・口呼吸によるもの
の大きく2つに分類されます。・口呼吸によるもの
生活習慣による子供の口臭
子供の口臭は普段の生活習慣と深い関係があります。とくに歯磨き不足や食習慣の乱れは、子供の口臭の2大原因といっても過言ではありません。
歯磨き不足
歯磨き不足は子供に限らず、大人でも口臭を強くする原因です。特に子供の場合、乳歯から永久歯に生え変わる時期は小さい歯と大きな歯が入り乱れたり、歯並びが凸凹するなどして歯磨きがしづらくなります。
小学校高学年にもなると多くの保護者が仕上げ磨きを卒業してしまいます。しかしできれば永久歯がすべて生えそろうまではしっかり仕上げ磨きを行うほうがいいでしょう。
朝食をとらない
近年は朝食を摂らない子供が増えていますが、朝の食事を抜いてしまうことは口臭の大きな原因になります。人は寝ている間に唾液の分泌が減少していきます。その唾液の分泌を1日のはじめに活発してくれるのが朝食です。
朝食を抜いてしまうと1日の唾液の分泌リズムが乱れ、口の中が乾きやすくなります。
そして口の中が乾くと口内に雑菌が繁殖しやすくなり、口臭を強くする原因になってしまいます。
朝食をきちんと摂ることは、体や脳の活動を活発にするだけでなく、口臭予防においても非常に重要な要素です。
ダラダラ食べる
時間を決めず常にダラダラ食べてしまうのも、口の中が汚くなり口臭を強くする原因となります。基本的に食べ物を食べたあとは唾液の分泌が盛んになり、口の中を洗い流してくれます。
しかしダラダラ食べによって口の中に食べ物がある状態が長く続けば、唾液の洗浄効果が追いつけません。
特におやつやジュースを時間を決めずに与えるのは要注意です。
朝、昼、晩の3度食事に限らず、おやつなども毎日同じ時間に与えるよう心がけましょう。
口呼吸による子供の口臭
子供の口の中が汚れてしまう原因には、歯磨き不足のほかに口呼吸も大きく関係しています。口呼吸は口の中を乾燥させるため、口内に雑菌が繁殖しやすく強い口臭を発生させる原因になるのです。
口呼吸は口臭の他にも、歯並びが悪くなったり、免疫力が低下する原因にもなるので注意しましょう。
子供が口呼吸になる要因としては、以下のようなものがあります。
鼻炎による鼻づまり
アレルギー性鼻炎や花粉症などで鼻づまりが長く続くと、鼻呼吸が難しくなり口呼吸になります。鼻づまりが解消されれば口呼吸も改善することが多いのですが、子供の場合は口呼吸がクセになってそのまま口呼吸を続けてしまうこともあるのです。
そのため鼻炎や花粉症は早めに耳鼻科を受診して、鼻づまりを改善したほうが良いでしょう。
歯並びが悪い
口呼吸はそれが原因で歯並びが悪くなる場合がありますが、反対に歯並びが悪いことで口呼吸になる場合もあります。特に多いのが出っ歯や開咬(上下の前歯が咬みあわない)など、口を閉じようにも閉じられない歯並びです。
上下の唇をぴったりと閉じることができないようなケースは、早めに矯正歯科で相談してみましょう。
喉の奥にある扁桃(アデノイド)が大きい
次に子供で多いのが、アデノイドと呼ばれる喉の奥の扁桃(咽頭扁桃)が大きい場合です。アデノイドは誰にでもあるもので、鼻から入ってくる細菌やウィルスから体を守る防御的な役割をしています。
免疫機能が未発達な子供はアデノイドが大きく、特に3歳から6歳にかけてその大きさがピークを迎え、そこから徐々に小さくなっていきます。
しかしアデノイドが小さくならず、大きいままの状態で残ってしまう場合があるので注意しましょう。
アデノイドが大きいままだとと鼻で呼吸しづらく、口呼吸になる傾向があります。
鼻づまりや歯並びなどに問題がないのに口呼吸が続く場合は、アデノイドの大きさが原因である可能性があるので小児科で一度診てもらうことをお勧めします。
口の周りの筋肉が弱い
鼻や歯並び、喉などに異常がないのに、いつもポカンと口が開いているような場合は、口呼吸がクセになていることが考えられます。本を読んでいる時、テレビを見ている時などに常に口を開けているようであれば、保護者の方が声かけするなどして早めにそのクセを改善するよう心がけましょう。
また口呼吸がクセになる要因として、口周りの筋肉が弱かったり、舌を置く位置に問題がある可能性があります。
子供に何度言い聞かせても口呼吸が改善しないようであれば、一度歯科で相談してみてください。
虫歯や便秘、風邪も子供の口臭の原因になる
子供の口臭はそのほかに、以下のようなものも原因となる場合があります。
虫歯の穴にたまった食べかす
虫歯によって歯に大きな穴ができてしまった場合、その穴溜まった食べかすが腐って強い臭いを発する場合があります。便秘による腸内環境の変化
子供の口臭は大人の口臭とは異なり、内臓の病気でおこる病的な口臭を発することはありません。ただ腸内環境の変化で口臭が強くなる場合があります。特に気をつけたいのは便秘です。
食べかすの臭いとは少し違う、便やおならのような口臭を感じたら、排便の状態を確認してみましょう。
風邪やインフルエンザによる雑菌の繁殖
風邪やインフルエンザなどの感染症でも、口臭が強くなることがあります。これは免疫力が低下することで口内に雑菌が繁殖しやすくなるほか、発熱などで口の中が乾きやすくなるのが原因です。
ただ病気が治れば口臭も治まるので、まずは安静を心がけて早めに体調を戻すように心がけてください。
朝よりも寝る前の歯磨きが大切!自宅でできる子どもの口臭対策
子供の口臭を一番気にしてしまうのは、実は子供自身ではなく保護者の方です。
くさいニオイが気になることもさることながら、「いじめられたり仲間外れにされたりしないかしら?」と心配する保護者の方も少なくありません。
ここでは子供の口臭が気になったとき、お家でできる口臭対策について紹介します。
最低でも1日2回の歯磨きを習慣にして最後の仕上げ磨きも行う
子供の口臭対策でまず肝心なのが、毎日の歯磨きです。理想としては毎食後1日3回行いたいところですが、幼稚園や小学校へ通う子供の場合はなかなかそうもいきません。
したがって最低でも朝、晩の歯磨きは毎日の習慣として身に着けるように心がけてください。
特に就寝前の歯磨きに重点を置き、最後の仕上げは必ず保護者が行うようにしましょう。
歯磨き粉の使用に要注意!
基本的に子供の歯磨きでは歯磨き粉を使用する必要はありませんが、虫歯予防のフッ素を使いたいと考える保護者の方もいらっしゃます。
ただ歯磨き粉に配合されるラウリル硫酸ナトリウムといった界面活性剤は子供の口には刺激が強く、かえって口内を乾燥させる原因になります。
子供の歯磨きで歯磨き粉を使用する場合は大人の歯磨き粉は避け、研磨剤や界面活性剤の入っていない子供用の歯磨きジェルを使用しましょう。
ただ歯磨き粉に配合されるラウリル硫酸ナトリウムといった界面活性剤は子供の口には刺激が強く、かえって口内を乾燥させる原因になります。
子供の歯磨きで歯磨き粉を使用する場合は大人の歯磨き粉は避け、研磨剤や界面活性剤の入っていない子供用の歯磨きジェルを使用しましょう。
舌磨きはやらない方がいい
子供の口臭が気になっても、舌磨きは行わないでください。子供の舌はとても繊細で、舌磨きを行ってしまうとさらに舌が汚れやすくなるばかりか、味覚障害を引き起こす恐れがあります。
舌の表面につく舌苔(ぜったい)という汚れが口臭の原因とよくいわれますが、それは舌苔の量がよほどの場合に限ります。
子供の場合は歯磨きさえきちんと行っていれば、口臭の原因になるほど舌苔が厚くつくことはまずありません。
鼻で呼吸することを意識させる
食事や会話以外でも無意識に口を開けている様子がみられたら保護者の方で声かけを行い、鼻呼吸を促すように心がけましょう。ただあまりしつこく注意したりきつい口調で指摘すると、かえって意固地になって口呼吸をやめない場合があるので注意してください。
親の言うことをある程度理解できるようであれば、
・口で息を吸ったり吐いたりすると、口の中のバイ菌が増えてしまうこと
・口で息を吸うと、そのままバイ菌が体に入ってしまい病気(風邪)になること
など、口呼吸がなぜ悪いのかをゆっくり説明してあげれば、子供にも受け入れやすくなります。・口で息を吸うと、そのままバイ菌が体に入ってしまい病気(風邪)になること
しっかりよくかんで食べる
近年は食べ物のバラエティが増え、子供が好む食べ物も柔らかいものが中心となってきています。そのため食べ物をかむ回数が減り、そのことが歯並びや筋肉、骨格の成長にも影響を及ぼしています。
しっかり咬むことは口周囲の筋肉を鍛えて口呼吸の予防のほか、唾液の分泌をうながすことで口臭の予防にも繋がります。
毎日の食事の中に1品は食べ応えのある食品を選び、よくかんで食べることも身につけさせましょう。
規則正しい生活を心がける
子供の口臭には生活習慣が大きく影響しています。食習慣もそうですが、その他にも寝る時間が遅い子供は自律神経のバランスを崩しやすく、唾液の分泌も低下しがちです。
口臭に限らず体の健康維持にまず1番大切なのは、規則正しい生活習慣です。
早寝早起きをする、決められた時間に食事をとるなど、まずは生活の基本を整えるようにしましょう。
親があまり神経質にならないこと
子供の口臭を気にしすぎるばかり保護者の方が子供に過度なプレッシャーを与えてしまうと、子供にとって大きなストレスとなります。親から口臭のことを常に指摘されるあまり、子供自身が口臭に敏感になり、やがて口臭恐怖症(自臭症)を引き起こす恐れもあります。
ホームケアを行うことも大切ですが、それに加え保護者の方には「口臭は誰にでもあるものだ」という寛容さが必要です。
口臭恐怖症(自臭症)とは
実際は口臭はないのに、自分だけが自分の口臭がくさいと思い込んでしまうのが口臭恐怖症です。口臭恐怖症は自臭症ともよばれ、口の中や体に問題がなく、専門科でも口臭はないと判断されてもなお、自分だけが口臭を感じる状態になってしまいます。
また他人のちょっとした仕草にも敏感で、自分の口臭が他人を不快にさせているという錯覚まで抱いてしまう場合もあります。
口臭恐怖症は心の病の一種で、歯科のほかに精神科、心療内科などの受診が必要です。
十分に対策しても子どもの口臭が気になるようであれば病院へ
多くの口臭の場合は一時的なものであったり、ホームケアを十分に行うことで改善が可能です。
ただ子どもの口臭は鼻づまりや歯並びのように、専門科による治療が必要な場合もあります。
ホームケアに注意していてもまだ口臭が気になるようなら、一度専門科を受診してみるのも1つの方法です。
鼻づまり、歯並びなど口臭の原因が明らかな場合は早めに専門科へ
はじめに記した口臭の原因の中でも、鼻づまりや歯並びなどは保護者の方でも見つけやすいでしょう。子供の口臭が気になり、さらに鼻がつまっているようであれば耳鼻科、歯並びが原因と感じたら歯科を受診することをお勧めします。
虫歯がある・口呼吸がなかなか治らない時は歯科医院を受診する
子供の口臭が気になったら、まず虫歯がないか口の中を確認してみましょう。口臭の原因となるような虫歯は穴も大きく、保護者の方でも見つけることができます。
また口呼吸は歯並び以外の原因でも起こりえます。
お家で口呼吸を治そうと試みてもどうしても治らないようであれば、その元となる原因があるかもしれません。
しつこい口呼吸も一度歯科で相談してみることをお勧めします。
特に問題はないけど、どうしても口臭が気になるなら小児科で相談する
耳鼻科や歯科で特に問題がない場合は、口臭についてそれほど深刻に考える必要はありません。口臭は大人、子供に関わらず誰しもあるもので、また1日のリズムの中やその日の体調などによってもニオイの強さは変化するものです。
また、先にも述べたように保護者の方があまり深刻にになりすぎると、子供の心理面にも影響を及ぼします。
ただそれでも子供の口臭が気になるようであれば、小児科で他の部分に異常がないかを診てもらうのも良いでしょう。
子どもの口臭対策は規則正しい生活習慣から
口臭というと口の中の汚れや胃腸の調子ばかりに目が行きがちで、最も影響のある生活習慣は盲点になりがちです。
子供の口臭が気になりだしたら、まずはこれまでの生活習慣を振り返ってみてください。
朝ごはんはきちんと食べているか、排便は定期的に行っているか、ダラダラ食べていないか、早寝をしているかなどは口臭対策には非常に重要な要素となります。
ただ子供の口臭のなかには、専門科の受診が必要な場合も少なからずあります。
どうしても口臭が治らないと感じたら、歯科、小児科、耳鼻科などに一度相談してみましょう。
◆参考文献
・小児の口臭に関する研究 日本小児歯科学会誌
・アデノイド 日本耳鼻咽喉科学会
《編集:安藤美和子》
サプリメントアドバイザー、化粧品検定一級、薬事法管理者の有資格者チームの管理人。化粧品開発・プロモーションの実務経験を活かし、雑誌・WEBメディアの執筆/ディレクションを行う。
サプリメントアドバイザー、化粧品検定一級、薬事法管理者の有資格者チームの管理人。化粧品開発・プロモーションの実務経験を活かし、雑誌・WEBメディアの執筆/ディレクションを行う。