子に体罰OKも、100人に聞いたブラック部活の暴力・パワハラの実態
[公開日]2018/10/01[更新日]2018/10/03
昨今、相撲・アメフト・レスリング・体操など、スポーツ界において「指導」と称する「体罰・暴力」「パワハラ」などの事件を耳にすることが増えました。
そんなスポーツ界の悪しき風潮につながる学生の部活動は、ブラック企業になぞらえて「ブラック部活」と呼ばれているそうです。
学生時代の自分を振り返ると「今の時代ならブラック部活で一発アウト」と思うこともあるのではないでしょうか。
アンチエイジングの神様では、30-50代の男女100人を対象に「学生時代の部活動の実態」を調査しました。
結果、若い世代では暴力の代わりにパワハラが増えていることや、現代でも親が我が子への体罰・暴力を容認する傾向などの問題が垣間見えました。
※体罰・暴力を物理的な行為、パワハラを暴力以外の行為として定義しています。
上の年代ほど部活での体罰・暴力は経験あり
※1つ選択で各項目を選んだ人の割合を%で示しています。
全体では31%が部活動で暴力があったと回答しています。
年代別では、年代が上がれば上がるほど、体罰や暴力があったと答える人が多い結果でした。
部活における体罰や暴力は今でこそ「問題」となっていますが「昔は鉄拳制裁が当然だった」という声も多く聞かれます。
今回のアンケート結果は、まさにそのような声を裏付ける結果となりました。
部活でどのような内容の体罰・暴力があった?
部活内で実際に体罰・暴力があった答えた人に、どのような内容の体罰・暴力があったかを教えてもらいました。
ラケットで身体を叩かれた(20代女性/運動部)
バドミントン部だった時、顧問の先生が試合でミスしたりすると、ラケットでお尻を叩いてきたり、ひどい時はラケットを縦にして頭を叩かれていた人もいる。
部員でストレス発散(30代男性/運動部)
野球部に所属していたのですが、コーチが何かにつけて部員を叩いていました。部員を叩くことによってストレスを発散していたようでした。
ビンタ当然の合唱部(50代女性/文化部)
合唱部でしたが、強豪校だったので、顧問からの体罰は日常的でした。ビンタは当たり前、灰皿・火のついたタバコ・折れた指揮棒などを投げられ、負傷してもそれが普通の世界でした。
若い世代ほど暴力以外のパワハラが増加
※1つ選択で各項目を選んだ人の割合を%で示しています。
部活動で暴力以外のパワハラがあったと答えた人は全体の32%でした。
また部活内のパワハラは下の世代になればなるほど多くなっていることがわかりました。
現在の部活動では体罰・暴力が少なくなった代わりに、部活特有の上下関係を利用し、精神的苦痛を与える行為が横行しているようです。
いくら暴力がなくなっても、指導者や先輩のパワハラが増えているのであれば、部活環境は良くなっているとは言えません。
部活でどのような内容のパワハラがあった?
それでは、実際に部活でどのようなパワハラが行われていたのかを回答者に教えてもらいましたので紹介します。
上級生の反省文を代わりに書かされた(20代女性/運動部)
上級生しか飲めないドリンク、座れない椅子、届け出や反省文なども上級生自身の分までやらされていた。
根拠もなく怒鳴られる(20代女性/文化部)
顧問の先生が、自分に気に入らない事があると生徒に理不尽な八つ当たりをしていた。完璧に出来ている生徒に、何の根拠も無く「出来ていない」と怒鳴っていた。
事情があっても休めない(30代男性/運動部)
事情によって部活を休むというと自分だけ休むのかと責められ、結局休むことができないことがありました。
「体罰・暴力」は先輩からではなく、顧問の先生からが中心でした。
しかし「パワハラ」となると、部の仲間であるはずの先輩がパワハラに手を染めているケースが多く見受けられるのが特徴です。
上の年代ほど部活中の暴力・パワハラが「プラスになった」増加
よく部活中の暴力やパワハラと指導の線引が議論となります。
実際に部活中の暴力やパワハラが、その人の人生にとってプラスになることはあり得るのでしょうか。実際に部活中の暴力やパワハラがプラスになっているかどうか尋ねてみた結果が以下の通りです。
※1つ選択で各項目を選んだ人の割合を%で示しています。
20代では暴力やパワハラが「プラスになった」と答える人は0%なのですが、50代では15%にまで増えます。
少数派ではありますが、年代が上がるにつれて「暴力やパワハラがプラスになった」と答える人が多くなる傾向があります。
上の世代は、暴力やパワハラが「プラスだった」と思っているため、親心で暴力やパワハラを行う側面がありそうです。
一方で若い世代はプラスだったとは思っておらず、世代間のギャップが見える結果ですね。
4割以上の40代・50代は軽い暴力なら部活中に「必要な場合ある」
部活の暴力事件は、現代でもなかなかなくなりません。そこで、親の意識も調査しました。
自分の子供が入部している部活動で「暴力による指導」を、親として必要と感じる人はどれくらいいるのか調査した結果が以下の通りです。
※1つ選択で各項目を選んだ人の割合を%で示しています。
こちらも年代が上であればあるほど「自分の子供に暴力が必要な場合がある」と答える人が多い結果となりました。
たとえ「軽い暴力」だとしても、20代は85%が「暴力が必要な場合はない」と答えています。
しかし、40代-50代では「暴力が必要な場合もある」と答える人が4割以上存在するのです。
部活中の「指導」と「暴力」の違いがはっきりしない理由として、「軽い暴力なら部活指導に必要」と考える人の存在があるのではないでしょうか。
「暴力」とは「指導」なのか、それとも「指導放棄」なのか、今一度考えてみる必要がありそうです。
部活の「指導」「上下関係」と「暴力」「パワハラ」は違う
部活の「厳しい指導」とは妥協を許さず努力を促すことですが、努力の必要性を説明することを怠り、暴力によって支配することは指導とは言えません。
また、部活の中には「厳しい上下関係」があるかもしれませんが、それも確固たる信頼やお互いの敬意によって成り立つものであり、パワハラによって成り立つものではないのです。
親世代の意識改革など課題は多くありますが、若い世代が暴力やパワハラをNGと考えている実態は、希望的にも思えました。