やっぱり日本人は働きすぎ!南米パラグアイに住んで感じる国民性と仕事の価値観

[公開日]2016/10/01[更新日]2016/10/14

「日本人はよく働くよね。」と海外から褒められるように言われますが、それは決して褒め言葉ではなかったのです。

パラグアイと日本、時差も12時間、地球の真逆に位置する国同士ですが、その文化や国民性もかなりの違いがあります。パラグアイに移住した筆者が両国の国民性で一番異なると思う点は、古来からの生活にさかのぼる事に起源があると感じています。

パラグアイ 仕事 あいさつ たとえば、「おはよう」の後は、『que tal?(調子、どう?)』といって相手の体調や調子について聞きます。毎日、聞きます。常に聞かれます。

これは現実に聞かれないとわからないと思いますが、煩わしく思ってしまうのが正直なところです。おわかりいただけますでしょうか。

この記事は、南米パラグアイに移住した筆者が日本を離れて感じた「国が違えばこんなに考え方に違いがあるんだ」という驚きをまとめたものです。


農耕民族である日本人と狩猟民族パラグアイ人は考え方がまったく違う


天気を聞く日本人と、体調を尋ねるパラグアイ人
パラグアイ 仕事しない 日本的にいえば「体調はどう?」「調子はどう?」という言葉は風邪を引いたときや病気の時などに聞かれるのが一般的です。それを毎日毎日言われると、見てわからないの?と私は思ってしまいます。

我々日本人は、村や集落のなかでコミュニティーを作って生活をするのでマナーや他人を思いやる事が義務付けられています。そして天候に自分たちの生活が掛かっているので天気を気にします。

一方、狩猟民族はどうかというと、村があってもそれぞれの家庭がそれぞれ独立して生活しています。その為、狩りなど共通の利益を感じる時に一緒に生活をするわけです。体調を気にするのは、その日の体調を聞いておかないと狩りの時に足手まといになるからです。

貯金する日本人と行き当たりばっかりのパラグアイ人
日本 パラグアイ 違い 朝の挨拶だけでなくこの国民性の違いは様々な箇所に出てきます。日本人は貯蓄というものを大切にします。遠い昔はそれが米や非常食であったわけですが、現代では貯金ですね。

一方、パラグアイ人は貯金をしない人がほとんどです。

それから計画です。日本人はとても計画を大切にします。会社や学校、家庭でも先々を見据えて計画を立てます。これは我々にとっては当たり前の事で「当然」ですよね。

しかし、世界では当然ではありません。特にパラグアイや南米の国々は行き当たりばったりが多いです。この、行き当たりばったりでも上手くいけてしまう所がおもしろい所でもありますが。

言わなくても察する日本人と言ったことしか理解しないパラグアイ人
つづいてこれは、働き方にも関係するのですが相手の気持ちを汲み取る能力の有無というのも大きな違いです。日本人にとって「体調はどう?」と聞くときは病気をしている時の言葉であると前述しましたが、それ以外に聞く時はどんな時でしょうか?

それは相手が明らかに体調・調子が悪そうな時です。逆に言えば普段は表情などから調子を読み取り今日は別になんともなさそうだ。と思ったら何も言わないわけです。

余談になりますが、第二次世界大戦の時の日本の戦闘機についている通信機は雑音ばかりで使い物にならず、乗組員は味方の機体の動きから次の行動を以心伝心で理解していた。と言う話をご存知でしょうか?

こういった事は日本文化やおもてなしの心につながり「気」が利くという日本の社会人にとって必要な能力の一つです。

日本人はこの相手の気持ちを読み取る(空気を読む)のが本当に上手い民族だと思います。1の発言で5を知る能力。ものすごく簡単に説明すると相手がタバコを咥えたら火をつけてあげるという行動です。これは筆者の経験上、日本人がずば抜けて高い能力の一つです。

逆にパラグアイはもちろんの事、南米圏の人たちは1の発言を1と言葉どおりに捉えてその裏の気持ちや真意を理解する努力を一切しません。必要なら声に出しなさいという事です。

尽くす日本人と割り切って働くパラグアイ人は仕事への価値観もまったく違う


会社に尽くす日本人の働き方と生活のために必要最低限働くパラグアイ人
仕事 日本人 残業 「私と仕事どっちが大事なの?」という言葉が出るほど、日本人はプライベートと仕事の境界線が曖昧で、知らず知らずの内に家庭をないがしろにしてしまう事があります。

しかし、それだけ仕事に面白みを感じるという気持ちもよくわかります。何事も一生懸命に頑張り、その成果が認められるのはうれしい事ですから。

一方のパラグアイ人はみんな、生きる為に仕事をしています。極論を述べますと、「別に仕事をしなくてもいいならば仕事をしないという事です。

この二つの考え方というのは一生、相容れないものだと思います。先にあげた通り、国民性というのは様々な所に歪を生み出します。例えば日本の職場に蔓延する「脅迫観念」もその一つです、先輩より先に帰ってはいけないという、日本の悪しき風潮もコミュニティーを形成する必要がある日本だから発生するものです。

仕事が最優先の日本人と残業しないパラグアイ人
仕事したくないパラグアイ人 一方のパラグアイでは逆に仕事がしたい時でも、いつまで仕事してんの?早く帰ろうよという脅迫観念が存在します。

また働き方だけでなく、給料に関しても価値観は違います。もちろん高いほうがいいというのは当たり前ですけれど日本よりもこだわっていません。
例えば、日本なら残業したら残業代が出て、営業でいい成績を出せばその分の歩合が発生し、それが仕事に対する一番大きな見返りだと感じると思います。

一方、パラグアイは基本的に歩合という考え方もありませんし、残業もないので著しく月給が変化するという事がありません。いいか、悪いかは別ですが。

エピソード1 残業してお金を稼ぐより、帰らせていただきます

例えば、私にはこんな経験があります。私がパラグアイ人を雇い入れた時の話です。

日本とパラグアイ 違い 彼の給料は最低賃金でした(およそ350ドル)が、ある時、仕事が著しく忙しくなり、彼に時給×1.5倍の給料で残業するように頼むと、ごく自然に断られた事があります。

普段から借金が多く支払いが滞っているという話を聞いていましたので、引き受けてくれると思っていたのですが、あまりに自然に断られたので笑ってしまった事があります。

エピソード2 穴が開くなら家は貸しません

また、これは給料ではありませんが、お金に関してのほかの話もあります。

当時、私は家を探していました。こちらの家賃は安く、あまりこだわりが無ければ300ドルぐらいで1LDK程度の家を借りる事ができます。そして、理想に近い家が見つかったのですが、その家には、このご時勢でありながらインターネットがついていなかったのです。

これは問題だと大家さんに相談しました。大家さんは初老の女性でしたが、さすがに昨今の事情を理解してネット開通の工事ぐらいさせてもらえるだろうと考えていたのですが、家を傷つけるのは嫌だと言われました。

しかし、エアコンのダクトなども壁に穴を開けるわけだから、少しぐらいいいじゃないか。という説得もむなしく、入居を断られました。ただ、私の感覚でいえば空き家に入居者が入るという事は安定的な不労所得を生み出すという事です。

それを小さな穴一つで断る神経が理解できませんでした。

上記の二つの事例はパラグアイ人にとって、生活の中心がお金でない事をあらわしています。利益以上に自分のこだわりが優先される、あるいはお金で自分のライフスタイルを崩したくない。という事例です。

海外からの「日本人は働きすぎ」は褒め言葉ではなかった


「日本人=働きすぎ」は皮肉だった
日本 会社 残業 日本人が働きすぎと言われる要因は、職場に長くいるからです。本当の意味で理解が進んでいるのかわかりませんが、つまり皮肉です。馬鹿にされている訳です。

それを証拠に日本人は働きすぎとは言われますが、仕事が出来る、金を稼ぐのが得意とは決して言われる事はありません。日本人の印象を聞かれたらほぼ間違いなく「真面目」、「礼儀正しい」という言葉が先に出てきます。

当たり前の話ですが、企業は利益を上げる経済活動をする事が目的です。日本の企業は、働く時間に対しての健全な経済活動が出来ていないといえます。

気を使いすぎる日本人の生まれ持った国民性は要改善!
とはいえ、私自身、日本で大学卒業後就職した経験もありますので、職場の雰囲気や上司からの圧力で帰れないという気持ちはよくわかります。これに関しては、会社の上司や役員といった役職についておられる方々が、すでに頭が硬化していて、新しい事を受け入れるだけの土壌はもっていないので諦めるしかないでしょう。

それがどうしても嫌なら自立への道を模索したほうがよいでしょう。しかし、それだけの恩恵も受けている事を忘れてはいけません。

労働時間8時間は理にかなっている
日本人 働きすぎ ストレス そういった意味でいくとパラグアイの職場というものは中々、魅力的であるかもしれません。暮らすだけの収入はもらいながら、定時で帰れて社会保障もついてきます。

働きすぎと言われる要因は、職場に長くいるからである。と前述しましたが、私がパラグアイというフリーダムな社会で仕事をしていて、本当に強く感じる事は8時間勤務というのはとても理にかなった勤務時間だという事です。

8時間という時間は、人間の集中力を考えて、最大のパフォーマンスが出来るぎりぎりの時間だと思います。4時間集中して休憩をとって4時間働く、例えばこれが6時間ぶっとうしでもパフォーマンスは同じだと思いますが、長い間考えていないとアイディアなどが出てこない場合もあるので、やはり8時間勤務がちょうどいいと思います。

しかし、これは日本人やヨーロッパ人などしっかりと仕事をする土壌があって、はじめて成立する理論です。パラグアイでは当てはまりません。先に述べた通り、パラグアイ人は出来れば仕事をしたくないという価値観を持っているのでサボれるならどこまでもサボりたいと思っています。

また時間にもルーズな傾向があるので、例えば8時~5時までの勤務時間であれば、8時半に出勤して、仕事をしている振りをしながら1時間で朝食をほお張り、少し仕事をして、休憩して、休憩していたら昼食時間になって、、、

昼食が終わったら仕事しているフリをしながら食休みして、ちょっと働いて、4時にもなれば5時までもうすぐなので仕事を始めても中途半端になるからニュースを見ているという事がまかりとおります。それがパラグアイには当てはまらないという理由です。

パラグアイの人事評価はアピール次第!?上司に媚びたほうが出世する
パラグアイ 人事評価 アピール 日本の人事制度にも問題があると考えます。「長い時間仕事をしてい=頑張っている」と判断される環境は、パフォーマンスを落としてでも時間をかけて丁寧に仕事をするという効率を無視した状況を作り出します。

成績で判断される営業職の方がまだ理にかなっているといえるでしょう。それは裏をかえせば、日本の人事制度がきちっと決まっているともいえるかもしれません。

では一方でパラグアイの人事制度はどうでしょうか?結論から言うとパラグアイに人事制度などというものはありません。詳しくいうと人事評価制度がないといいましょうか。

私は「君子は独りを慎む(つつしむ)」という言葉が好きです。人が見ていないところでも自分の行動を律して他人に恥じない行為を行うという意味です。

仕事に置き換えれば、上司や他人がいなくても自分の仕事を全うする事といえます。私の人格はすでに出来上がってしまっているので、この考えをなかなか変えられませんし、変えるつもりもありません。

話が逸れましたが、ではパラグアイではどうやって人事評価を判断するの?という事ですが、彼らは仕事している感を出すアピールがめちゃくちゃ上手いのです。

例えば、日本なら一生懸命にプレゼン資料を用意して、その理論的背景を探して、、と時間をかけますがここではそんな事しません。なんとなくいい感じかな。と思えるプレゼンをする事の方が大切なのです。

エピソード3 仕事をするより、仕事をしている風を演出するのが上手

例えば、アピールに関して、こんなエピソードがあります。
海外の人事評価 私がある日、市役所に提出する文章を作りに行った時の話です。本来は、申請から2~3日で出来る文章ですが、私は仕事が立て込んでおり、出来ればその日に受け取りたかったので職員におこづかいを渡して資料をすぐにつくってほしい旨を伝えました。

すると彼は待っていましたと言わんばかりに資料を作り、後は上司の判子があれば出来上がる!という所まで仕上げると、私に待合室で待つようにいって、事務所を飛び出して上司を探しにいきました。

あっちへいって、こっちへいって、上司を探します。そして悩んだように私の前や近くをウロウロします。頑張っている感満載です。

ある時は私に上司のサインと判子が必要な部分を見せながら、もうすぐ出来上がるのになー、上司がいればなー、アピールをして。ある時は他の職員に聞きながら、アピールは続きます。

すると次の瞬間、待合室にいた私の目の前の扉が開いて上司が出てきました。彼はおもむろに近寄って署名と判子をもらって、俺、頑張っただろ!?という意味のドヤ顔で、私にウインクと共に手渡してきました。

ちょっとまて。お前のアピールはなんだったんだ?その部屋に上司がいるんだから入れよ!と思いますよね?
しかし、ここではそうやって仕事している感を出すことが評価につながるわけです。およそ日本人には理解できない感覚ですが、こちらではその行動が大切なのです。

繰り返しますが私は「君子は独りを慎む」という言葉が好きなので普段はサボっていても上司の前では頑張っている感を出すパラグアイ人と私は間逆の価値観を持っていると感じた出来事でした。

パラグアイで働いてわかった日本人の素晴らしい特徴


考えて行動する日本人と言われたことしかしないパラグアイ人
パラグアイ人と日本人の働き方で一番違うのが、『自分で考える事が出来るか出来ないか』という事です。「言われた事だけやって!」 → 「そんなの言われてなくてもやって!」 →「新人なんだから勝手に判断しないで!」 →「そんなの自分で考えて!大人でしょ!?」

などと日本では笑い話にもならない上司がたくさんいますが、私は自分で考えて行動が出来る事はとても大切な事だと思います。確かに新人のうちにそうやって自分で判断をしてめちゃくちゃな動きをしてしまっていたらそれは問題です。

しかし、その行動力は褒めてあげてもよいものですし、その新人は自分が何をしているのか?何をしなくてはいけないのか?という事を理解できていない可能性があります。それは上司の責任です。

とはいえ、いくら説明しても理解してくれない若者もいます。日本のしがらみから外れてしまって説得力が無くなってしまいますが、私は10回も20回も説明してわからないようであれば、お互いにとって不利益なのでクビにしてしまいます。

文字を読まないパラグアイ人
パラグアイ人 仕事 働き方 さて、私がなぜこんな話をするかと言うと、パラグアイ人という人たちは基本的に「言われた事しかしない」からなんです。その為、毎日毎日指示を出しておかないと何もしないわけです。

また、マニュアルなどを作ってみても、そもそも文字を読む事が嫌いなので効果はありません。

日本人にとって当たり前ともいえる文字を読む・書くという行為は実はとても優れた能力であり、私は日本人の持つ計画性や論理的思考回路はこの能力がもたらしていると考えます。

仕事という項目からは少しはなれてしまいますが、南米の方々は、本当に文字を読んだり書いたりという事が苦手です。その為、インターネットで評判になるのは動画ばかりです。

その他は写真に短文がついているものや、長くてもA4の半分ぐらいまでの文字でないと全部読まれる前に拒否されてしまいます。

効率を高める意識がないパラグアイ人
話を戻して、他にも例をあげると、仕事を効率的に行うという意識もありません。例えばエクセルの関数を覚える、新しいショートカットキーを覚えるといった事を絶対にしません。1年も2年もずっと同じ事を繰り返しするのが好きなのです。

私が仕事が出来るとは口が裂けてもいいませんが、「忙しい忙しい、8時間ではとても終わらない」と脅されて就いた仕事は、効率を考えて仕事すれば2時間も掛からずに終了できるものでした。

パラグアイに移住して感じた日本との国民性・仕事の価値観の違い まとめ


パラグアイ 家族 国民性 パラグアイに移住し、感じた日本とパラグアイの国民性の違いを紹介してまいりました。その中で、日本人の真面目さ、気配りの上手さ、考えて行動する点は高く評価できます。

仕事に効率化を求めたり、自分で考えて行動するという行為はとても大切な事です。日本人は、ついつい自分たちの文化を賛美しすぎる反面、自分たちの持っている素晴らしい能力を見つける事とそれに自信を持つ事が出来ません。

是非、広い視野を持って、優秀な若い芽をやたらと画一的な企業の考えに、全て染めてしまうのは損失だと気付いていただきたいです。逆にパラグアイ人は若干自由すぎるので、もう少し思慮深くなって欲しいと思います。

ただ、こういった相反する文化でも互いにいい所と悪い所があり、それは自分たちの生活や価値観に根強い影響を与える為、なかなか変える事が出来るものではありません。

しかし、パラグアイ人から学ぶことは多いにあると考えます。パラグアイ人のように生きることをベースとし、仕事だけに時間を費やすのではなく、自分の生き方、ライフスタイルをもう少し尊重する働き方も取り入れたら生活と仕事のバランスが取れやすくなるでしょう。

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◇参考文献・WEBサイト一覧
厚生労働省 統合医療情報発信サイト
日本化粧品技術者会
日本抗加齢学会
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