歯垢除去の効果は手磨きと差がない?歯科医が教える電動歯ブラシの真実

[公開日]2017/06/16

電動歯ブラシ 効果
電動歯ブラシと手動歯ブラシ、どちらかが優れていてどちらかが劣るということはありません。電動には電動の良さ、手動には手動の良さがあり、さらに汚れ落ちの効果は両差に大きな差はないのです。

ただ、どちらも人によって向き不向きがあります。どんなに高性能な電動歯ブラシであっても、電動歯ブラシが向いていない人が購入すると、結局は無駄な出費になりかねません。

実は歯科医である筆者も高価な電動歯ブラシを持っていますが、恥ずかしながら今はタンスの肥やしになっています。

今回はそんな筆者の経験や歯科医の知見を元に、電動歯ブラシの種類や特徴、さらに電動歯ブラシを買って損をしないためのポイントなどをご紹介したいと思います。


この記事は、歯科医師の方に執筆していただき、アンチエイジングの神様チームで編集しております。

歯垢除去の効果は差がない!電動歯ブラシのメリットは「時短」


電動歯ブラシ 効果


手動歯ブラシと電動歯ブラシ、双方にメリットとデメリットがあります。

それぞれの特徴を以下に詳しく述べますので、自分はどちらが向いているのか参考にしてみてください。

プラーク(歯垢)の除去率はどちらも差がない

電動歯ブラシの購入を考える方の多くは「電動の方が汚れがよく落ちそう」という理由を挙げますが、それは大きな誤解です。

実はプラークの除去率に関して、手動と電動ではそれほど大きな差がないことが様々な実験を通して明らかになっています。

電動歯ブラシには確かに素晴らしい性能があります。しかしその能力を過信しすぎて、手動歯ブラシの時より汚れが多くなったというケースは珍しくありません。

そのため手動歯ブラシと電動歯ブラシの特徴をしっかり把握したうえで、どちらを使用すべきか考えることが大切です。
こんにちは!「アンチエイジングの神様」管理人の安藤美和子です。それでは手動歯ブラシと電動歯ブラシのメリット、デメリットを教えてもらいましょう。


手動歯ブラシの良い所は「手軽さ」と「コスパ」
手動歯ブラシはコンパクトで軽く、場所を選ばずどこでも気軽に歯磨きが行えることが最大のメリットです。

また歯や歯ぐきの状態に合わせて、力加減や磨き方を自分で調節しやすいのも良い点でしょう。

さらに価格も1本当たり100~400円程度で、1か月に1度交換すると考えてもコストパフォーマンスに優れています。

ただ口の中全体のプラークを落とすためには、電動歯ブラシよりも長い時間をかけなければなりません。

またより効率よく汚れを落とすには、ある程度の歯磨きテクニックが必要になります。
手動歯ブラシがおススメなのはこんな人
・お風呂屋やリビングなど、いつでも好きな場所でのんびり歯磨きしたい人
・歯磨きに自信がある人
・とにかくコスパを重視したい人


電動歯ブラシの良い所は「早く磨ける」こと
電動歯ブラシの最大のメリットは、効率よく汚れを落とすことができる点です。同じ量の汚れであれば、電動歯ブラシはは手動歯ブラシの半分以下のスピードで落とすことできます。

またブラシ本体が細かく動き、さらに振動や水流によるプラーク除去も期待できるため、歯磨きが苦手な人でも簡単に汚れが落とせるのも良い点です。

実はズボラな人ほど電動歯ブラシは向いていない

電動歯ブラシを1度でも使ってみた人は、その爽快感に驚きます。しかしそれが病みつきになって使い続ける人もいれば、しばらく続けた後で手動歯ブラシに戻る人もいます。

実は筆者も後者で、一時は電動歯ブラシにはまっていたのですが、現在は手動歯ブラシ派に戻ってしまいました。

その理由の1つは価格です。本体もさることながら1番のネックは替えブラシも高価なことで、手動歯ブラシよりもランニングコストが上がってしまいます。

さらに電動歯ブラシが長く続かない最大のポイントは、手動歯ブラシのような気軽さに欠け、面倒なことが多い点にあります。具体的には
・歯ブラシ自体が重い
・電化製品なのでお風呂の中では使えない
・唾液や水分が飛び散りやすく、使用する場所を選ぶ必要がある
・充電が必要、またそのスペースも確保しなければならない
・替えブラシを販売している場所が限られている
などがあります。

ほんの些細なことですが、歯磨きは毎日、そして1日に数回行うものなので、人によっては続けているうちに次第に使うのが億劫になっていきます。

「ズボラな人ほど電動歯ブラシ」と思われがちですが、実はズボラな人ほど長続きしないのが電動歯ブラシです。

せっかく購入してもそれが無駄にならないよう、自分の性格も合わせて選択してみましょう。
電動歯ブラシがおすすめなのはこんな人
・歯磨きの時間を短縮したい人
・歯磨きが苦手な人
・矯正治療中の人
・高齢者やハンディキャップのある人


歯科医おすすめナンバー1は歯垢除去力の高い音波歯ブラシ


電動歯ブラシ 効果
電動歯ブラシも以前と比べてその種類や価格もバラエティ豊かになっています。

そのため実際に電動歯ブラシを購入するにしても、どれを選べば良いのか非常に迷ってしまう方も多いでしょう。

ここでは電動歯ブラシの種類とそれぞれの性能、また電動歯ブラシを選ぶ際の注意点などについて解説していきます。

電動歯ブラシには3つのタイプがある

現在市場で販売されている電動歯ブラシは、「高速電動歯ブラシ」「音波歯ブラシ」「超音波歯ブラシ」の3種類があります。

特徴をまとめると以下のようになります。

電動歯ブラシ 効果
 
高速電動歯ブラシ
音波歯ブラシ
超音波歯ブラシ
特徴
ブラシが高速で動く  (往復・回転)


毛先が音波振動する
毛先が超音波振動する
プラーク除去率
歯ぐき炎症予防
使いやすさ

振動や音が大きい

水分が飛び散りやすい

ただし手の動きが必要


価格の目安
5千~2万円
1万5千~4万円
1万~2万円


高速電動歯ブラシ
高速電動歯ブラシは、ブラシが往復または反復回転運動する歯ブラシです。その回転数は毎分2000~7000回で、電動歯ブラシの中で1番多く販売されているのがこの高速電動歯ブラシです。

高速電動歯ブラシはブラシ自体が回転したり上下前後に動いたりするので、ブラシを歯に当てるだけで汚れが落とせます。

また電動歯ブラシの比較実験で、プラークの除去率がもっとも高いという結果が出ているのは高速電動歯ブラシです。

ただ3種類の中では音や振動が大きく、人によっては使いにくく感じる場合があります。
音波歯ブラシ
音波歯ブラシは毛先が音波振動(毎分3万~5万回)する歯ブラシで、高速電動歯ブラシより細かい振動で汚れを落としていきます。

音波歯ブラシの特徴は、その振動によってブラシが接しない2mm以内の範囲までの汚れを落とすことができる点にあります。

また音波振動が口内に高速水流を生み出し、歯と歯ぐきの間の細かい汚れも落していきます。

しかし3種類の電動歯ブラシの中では本体、替えブラシともに高価格なのがデメリットです。
超音波歯ブラシ
超音波歯ブラシは毛先が超音波振動(毎秒160万回)する歯ブラシで、その振動は目には見えず、また音も聞こえません。

超音波はメガネレンズの洗浄でも使われており、非常に細かい振動によって汚れを浮かせ落としていきます。またその振動は細菌にも直接作用し、菌そのものを破壊することができます。

ただ他の電動歯ブラシと比べるとブラシ自体の動きが非常に小さいため、手動歯ブラシのように歯ブラシをゴシゴシと動かす必要があります。

現在は超音波歯ブラシの販売数が少なく、主流は高速電動歯ブラシと音波歯ブラシの2種類になりつつあります。

性能で選ぶなら「音波歯ブラシ」価格で選ぶなら「高速電動歯ブラシ」

それぞれの特徴をトータルでみて、歯科医が1番お勧めしたい電動歯ブラシは「音波歯ブラシ」です。

音波歯ブラシは細かい隙間の汚れも落とすことができ、また歯肉のマッサージ効果も高いので口内のトータルケアに最適です。

ただ本体だけではなく替えブラシも高価なので、長く使用できるかどうかが選択の決め手になります。

ランニングコスト低く抑えたいのならば、替えブラシが安い高速電動歯ブラシの方がお勧めです。

ただし、高速電動歯ブラシを購入するのであれば、大手メーカーの性能の高いものを選ぶようにしましょう。

1万円以下の電動歯ブラシは購入しない
電動歯ブラシも最近は数百円、数千円で購入できるものも多く販売されています。しかし安い電動歯ブラシはお勧めできません。

なぜなら安価な電動歯ブラシはブラシ圧や毛の硬さなどが考慮されていないため、かえって歯や歯ぐきを傷めてしまうからです。

1万円以下の電動歯ブラシであれば、手動歯ブラシを使用したほうがお財布に優しく、歯や歯ぐきにとっても安心です。

電動歯ブラシは大手メーカーのもので、価格が高いほど性能も高く、また高性能なものほど使用するメリットも大きいでしょう。

電動歯ブラシで効果的に磨くコツは「触れる程度で動かさない」


基本的に手動歯ブラシも電動歯ブラシも磨き方は同じですが、電動歯ブラシをさらに使いやすく、また最大限効果を発揮できる使い方についてご紹介します。

持ち方は「ペングリップ」でも「パームグリップ」でもOK
電動歯ブラシ 効果歯ブラシの持ち方はペングリップ(鉛筆持ち)が基本です。

ペングリップのほうが歯の細かいところに毛先が行き届きやすいので、電動歯ブラシでもペングリップが推奨されています。

しかし電動歯ブラシは手動歯ブラシと比べて柄も太く、さらに重みや振動によりペングリップでは持ちにくいことがあります。

その場合はパームグリップ(ラケットの握り方)で持ち、安定したポジションで歯磨きを行う方が良いでしょう。

ブラシは当てるだけで縦横磨きはナシ
電動歯ブラシはブラシ自体が回転したり振動したりするため、手動歯ブラシのようにブラシを横や縦に動かす必要はありません。

まずは毛先を歯面に当てたまま5~7秒静止し、それから場所を少しずつずらして磨いていくのが基本です。

電動歯ブラシで磨く時間の目安は2分で、今はタイマー付の電動歯ブラシも多く販売されています。

口の大きさや歯の本数によって磨く時間も多少異なりますが、5分以上の使用は歯を削る原因になるので注意が必要です。

ブラシを口に入れてから電源を入れる
電動歯ブラシの中でも音波歯ブラシは水分がないと効果が発揮できないので、使用前にブラシを水で湿らせてから使います。

その際に注意することは、電動歯ブラシは必ず口にブラシを入れてから電源を入れ、電源切った後で口から出す点です。

もし口に入れる前に電源を入れてしまうと、周囲に水が飛び散って大変なことになってしまします。

また、磨いている最中も口に大きく開けると、唾液や水滴が周囲に飛び散るので注意しましょう。

毛先が触れる程度の力加減で
電動歯ブラシの場合、ブラシを強く当てすぎると歯や歯ぐきを傷めてしまいます。

電動歯ブラシは手動歯ブラシよりも優しく、当てるというよりは毛先が歯に触れる程度で問題ありません。

高性能電動歯ブラシであればブラシ圧をコントロールし、強く当てすぎた場合には自動停止する機能がついているので安心です。

歯と歯の間はデンタルフロス、歯間ブラシを使う
電動歯ブラシの落とし穴は、その性能を過信してしまうことです。どんなに性能に優れた電動歯ブラシでも、歯と歯の間の汚れは十分に落とすことはできません。

そのため歯と歯の間の清掃は、電動歯ブラシも手動歯ブラシの場合と同様にデンタルフロスや歯間ブラシの使用は必須です。
電動歯ブラシも歯磨き粉を使ってよい?
電動歯ブラシで歯磨き粉を使用する場合は、研磨剤無配合の液状またはジェル状のものを選びます。

研磨剤や発泡剤の入った通常の歯磨き粉は、歯を削る危険や泡が飛び散ることがあるので使用は控えましょう。

今は電動歯ブラシ専用の歯磨きジェルも多く販売されています。初心者の方でも簡単に使用できるのでお勧めです。

電動歯ブラシは黄ばみやヤニを落とせる?歯科医が教えるQ&A


電動歯ブラシの基本的なことがわかったところで、ここでは電動歯ブラシにまつわる様々な疑問を歯医者さんに聞いてみました。

子供にも電動歯ブラシを使わせて大丈夫?
子供でも電動歯ブラシの使用は問題ありません。ただブラシのサイズ選びには注意し、必ず小児用のものを使用します。

使用方法も力加減に注意すればさほど心配はありませんが、もし不安であれば子供専用の電動歯ブラシを購入するとよいでしょう。

電動歯ブラシは歯の黄ばみやヤニにも効果がある?
効果はあります。特に最近の電動歯ブラシには、ステイン除去専用のブラシが付属品として販売されています。

このブラシは歯科医院のステイン除去でも使用するようなラバータイプのものが多く、歯を傷つけることなく黄ばみやヤニを落とすことができます。

黄ばみを落として歯を白くしたいのであれば、手動歯ブラシより電動歯ブラシがお勧めです。

電動歯ブラシは口臭予防に良い?
電動歯ブラシは口臭の原因になりやすい隙間汚れを効率良く落とすことができるため、口臭予防に最適です。

また音波歯ブラシは高速水流によって口の中を綺麗に洗い流し、口の中のネバツキなども抑えます。

電動歯ブラシは歯周病にも効果がある?
プラーク除去率では手動と電動とに差はないのですが、歯ぐきの炎症を改善する効果は電動歯ブラシの方が有効です。

電動歯ブラシは汚れを落とすだけでなく、振動や水流によって歯ぐきに適度な刺激を与え血流を良くします。

また音波歯ブラシや超音波歯ブラシは細菌に直接作用することができるため、歯周病の予防や改善に高い効果が得られます。

電動歯ブラシを使い続けたら、歯や歯ぐきを傷めない?
電動歯ブラシも使用方法を誤ると歯や歯ぐきを傷つけてしまいます。まずはブラシ圧使用時間、そして歯磨き粉の種類に気をつけましょう。

この3点に関して上記に述べた使用方法を十分守れば、長期にわたって使用しても問題ありません。


電動歯ブラシの効果を発揮するには使い続けられるかが決め手


電動歯ブラシ 効果 電動歯ブラシの性能は日々進化しています。今はただブラシが動くだけでなく、振動を利用して細菌に直接働きかけたり、歯肉をマッサージしたりなど、手動歯ブラシにはない機能を兼ね備えています。

しかし電動歯ブラシを購入の際は良い点ばかりに気をとられてはいけません。電動歯ブラシは手磨きよりも、替えブラシや充電などに気を配る必要があり、毎日使用するのは億劫になることも考えられるからです。

電動歯ブラシのデメリットをよく理解したうえで長く使用しつづけることが、その効果をより高める秘訣です。


◆参考文献
「歯ブラシ事典」松田裕子 編集 学建書院株式会社
《編集:安藤美和子》
サプリメントアドバイザー、化粧品検定一級、薬事法管理者の有資格者チームの管理人。化粧品開発・プロモーションの実務経験を活かし、雑誌・WEBメディアの執筆/ディレクションを行う。

※記事中の商品「アヤナストライアルセット」は販売終了し、「ディセンシア」にリニューアルされています。


◇参考文献・WEBサイト一覧
厚生労働省 統合医療情報発信サイト
日本化粧品技術者会
日本抗加齢学会
公益社団法人 日本皮膚科学会
※本サイトの薬事法に対する考え方、商品ランキング・点数付けの根拠は「アンチエイジングの神様とは」をご確認ください。


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