メンズ化粧水では潤わない!新常識、男の正しい保湿論

[公開日]2016/06/01[更新日]2016/09/01

keshousui_eye catch 「化粧水をつけるなんて当たり前じゃね?」
近頃コスメを積極的に使用するメンズが増えてきている中、洗顔後に化粧水をつけるスキンケアは常識になっています。

ただ、スキンケア化粧品には色々なジャンルがあり、水分を与えて肌を整えるもの、油分を与えて水分の蒸発を防ぐもの、保湿のもととなる成分を与えるものなど、多岐にわたります。

また、化粧水はなんとなくお肌に良い行いだ、と感じながらパシャパシャつけている人が多いことと思います。が、果たしてその常識は正しいのでしょうか?今回は、そんな化粧水の正しい理解を深めていくことにしましょう。

実のところ…化粧水では保湿できない!


パシャパシャ、パシャパシャ。ん〜お肌が潤って保湿されていく〜♪
こんにちは!「アンチエイジングの神様」管理人の安藤美和子です。
タカシ君、何寝言言っているの?化粧水では保湿効果は見込めないのよ。
そうなの!?スーッとしていかにも肌に入り込んでますー!って感じがするけど?
スーッとしてるのはアルコールの影響で、揮発するときに一緒に水分も蒸発させる気化熱の作用でひんやりしてるのよ。だから、お肌にスーッ=保湿なんて、まやかしなの。ま や か し♪
…(や か ま し ー !)
化粧水は保湿をするためのスキンケア方法だ、そう思っている人は多いのではないでしょうか。

しかし、化粧水は肌を保湿するためのものではなかったのです。


そもそも、化粧水の成分が何か、知っていますか?化粧水というだけあって、その大半が水分でできています。

でも、水分を肌に与えてやれば保湿できるんじゃないかと思う人がいるかもしれませんが、実のところ保湿まではできないのです。

お風呂からあがった時に濡れている個所も、時間の経過とともに乾いていきますよね。保湿できているのなら、時間が経ってもしっとりモチモチ肌なはずなのに…。

つまり、水だけでは保湿まではできていない証拠なのです。

中には、水分を蒸発しにくくさせるために保水剤を配合することで保持しようとする化粧水もありますが、これはあくまで蒸発を先延ばしにするだけ。
肌表面は潤いが続くかもしれませんが、根本的な「保湿」にはつながらないのです。

化粧水は成分の進行役!


化粧水は保湿の役割まではこなせない。となると、化粧水とは一体、なんぞや。

化粧水の本当の役割。それは、補水です。保水ではなく、補水です。

字から分かるように、肌の水分を保つ働きは担いません。あくまでも水やりだったのです。

では、一体なぜ補水をする必要があるのでしょうか。

それは、角質層を柔らかくすることで肌のバリア機能に影響を与える成分を浸透しやすくさせ、真の保湿機能を高めるためです。

化粧水は、保湿機能を高めるための成分を入り込みやすくするための調整役として機能しているのです。

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肌に水分が行き渡っていない状態だと角質が硬くなり、保湿成分が肌本来の機能するところまでに浸透していかないため、化粧水で柔らかくほぐし、水分で通り道を作る。というワケだったのです。
化粧水について誤解してたなー。洗顔後につけるのは常識だったけど、正しい役割まで全然気にしたことなかった。
シッタカしてる自称美容男子の友達にひとこと言ってあげなくちゃ!
「化粧水つけるとスースーして気持ちいいだって!?…その調子だよ、どんどんスースーしていこう!」

化粧水は肌質を見極めた上で選ぶべし


化粧水は、肌の角質層を柔らかくし水分で満たすことで、保湿機能を持つ成分を届きやすくするためのものだったことが分かりました。

ここでは次のステップ、化粧水の実際の選び方と実際の製品を見ていきましょう。

化粧水と言ってもどれを選べばいいか迷うくらい巷には溢れていますが、二つのポイントを抑えることで効果的かつ効率的に選択していくことができます。

肌質に合ったものをチョイス
化粧水を選ぶにあたって、自分の肌質に合ったものであることは大切なポイントになってきます。

乾燥肌の人であれば、保水剤が入ったものを使用することで角質層に十分な水分を与えてやる必要がありますし、脂性肌の人の場合は保水剤が入っているとベトつくことがあるので、なるべくシンプルで軽い使用感のものを選ぶことで不快感を抑えながら使っていくことができます。

実際に、肌質別の特徴にあった商品を見てみましょう。
肌質
商品
評価
乾燥肌
保湿剤であるヒアルロン酸Naが配合されており、より一層の保水力と角質調整機能が期待出来る。
オールインワンタイプで、ヒアルロン酸・コラーゲン・セラミド・プラセンタといった保湿成分が配合されているため、乾燥肌にオススメの一本。
脂性肌
皮脂分泌を抑制するビタミンC誘導体が配合されているため、脂性肌の人にはオススメ。
普通肌
ヨクイニン(ハトムギ)は保湿因子の生成を高める効果が期待出来る。なおかつコストパフォーマンスに優れ、惜しみなく使用できるところが○

ここでお聞きしてみますが、そもそも自身の肌質をキチンと知っていますか?

「そんなの言われなくてもいつも顔テカってるしヌルヌルだからオイリータイプだろっ」って決めつけてしまうのは時期尚早。

乾燥肌からくる過剰な皮脂分泌状態(インナードライスキン)っていう可能性だってあるんです。では、チェックしてみましょう。
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ノーマルスキン(普通肌)
全ての人が目指すべき肌質。

肌に十分な水分があり、その水分を適度な皮脂によって保持する力も高いことから、みずみずしくしっとりとした弾力ある感触です。ノーマルスキンはトラブルに一番強い肌と言えます。
オイリースキン(脂性肌)
男性に多い肌質。

中でも、皮脂を分泌する要素である男性ホルモンが多く出る10代後半〜20代によく見られます。
大量の皮脂が皮脂腺(毛穴)を通ることになるので、毛穴が開きがちになり肌が荒れた印象に。
ドライスキン(乾性肌)
皮脂量も保湿力も低い状態の肌。

夏は皮脂量や水分量がアップするため肌の調子が良くなる一方、冬は粉をふくほどの乾燥状態になるなど、季節の変化には弱いところがあります。
また、皮脂量も保湿力も低く皮膚のバリア機能が低下しているので、外的刺激による炎症が生じやすく、かゆみの原因になることも。
インナードライスキン(乾燥性脂性肌)
皮脂量は多いが水分量が不足している状態の肌。

油っぽいのでオイリースキンと早合点しがちですが、肌内部の潤いが足りないためハリがなく、小ジワが目立つこともあります。
オイリー肌かなぁと、なんとなく思っている人が意外とこの肌質だったりします。きちんと見極めたいところです。
コンビネーションスキン(混合肌)
インナードライスキンと似ていますが、コンビネーションスキンの場合は、顔の部分によって脂っぽいところと乾燥しているところがある肌のことを指します。

部位に合わせたケアを行っていない場合、最終的にはオイリースキンやドライスキンへと転じやすくなります。
ぼくは脂性肌だから、保湿剤が入っていないシンプルなものが良さそうだね!

化粧水にはお金をかけない
化粧水の大半の成分は、水です。そんなものに多額のお金をかけていてはいけません!化粧水の本来の役割は、肌の水やりなんですから…。

だから、1本2,000円以上するようなものは買う必要がない、というか、化粧水に期待をかけすぎなんです。角質層が柔らかくなって水の通り道が出来ればいいんです。

2,000円以上の製品を手に入れるチャンスは、化粧水後に行う保湿やシミ・シワ専門に働きかけてくれるスキンケア商品を購入する時まで取っておきましょう。
すごく高い化粧水をつけてるあの子。どうか早めに呪縛から解放されますように…

女子より上の知識をめざす!成分の働きについて


ここでは、化粧水に配合されている代表的な成分について見ていきたいと思います。

化粧水のような化粧品は、ご存知の通り化学物質のカタマリです。
普段聞き慣れない横文字が飛び交う分野ですが、メインの成分に配合されてあるものの良し悪しが判断できれば、自分の肌質に合う化粧水かどうか、さらに言うと使用感(サラサラやしっとりといった感触)までなんとなく予想がつくようになります。

世間にはびこる根拠のないゴリ押し商品に惑わされないためにも、どの成分がどう働くのかをしっかり身につけ、口コミに翻弄される化粧品バンバン乗り換え女子たちに物言わせてやりましょう!
エタノール
いわゆるアルコールのこと。揮発性があり、蒸発する際に熱を奪うことからスーッとした清涼感があります。

ただ、乾燥肌の人は揮発性の影響で乾燥を助長してしまいがちです。

また、皮脂とのなじみがいいので皮脂除去も見込めますが、過剰な皮脂除去は逆に皮脂分泌を加速させることになるのでバランスを考えたいところ。

そもそもアルコールにアレルギー反応がある人は避けたほうが好ましい成分だと言えそうです。

グリセリン
天然の油脂を分解することで得られる保湿剤。しっとりとした使用感で保湿効果は高めです。

乾燥肌の人が使用する化粧水にメイン成分として含まれていると理想です。

BG(ブチレングリコール)
保湿剤。グリセリンよりもさっぱりとした使用感です。

また、保湿剤の働きとは別に植物エキスを抽出するための働きとして配合されていることもあります。

PG(プロピレングリコール)
石油から合成された保湿剤。

最近の製品にはあまり使われなくなりましたが、分子構造が小さいため皮膚への刺激が強いとされています。できれば避けたい成分です。

DPG(ジプロピレングリコール)
PGを作る時の副産物として得られる保湿剤。

穏やかな保水力で使用感はサラッとしています。PGよりも低刺激の成分です。

1,2-ヘキサンジオール
他と同じような保湿剤ですが、この成分の特徴は抗菌力が優れている点です。

化粧品は水が主成分ですが、水気が強い環境下では物質は腐りやすくなってしまいます。
そのため防腐剤としての意味で配合されることが多い成分です。

ヒアルロン酸
1グラムで2〜6リットルもの水を保持する力を持つ保湿剤。水に溶けるととろみが出るのが特徴です。

ただ、アセチルヒアルロン酸はとろみが出ない仕様になっていますので、使用感の違いに注意。

コラーゲン
動物の皮膚や鱗から得られるタンパク質のもととなる保湿剤。肌へのなじみがよく、保護膜を形成することで外部からの刺激をカバーします。

化粧品に使われるコラーゲンのほとんどは、水溶性コラーゲンか加水分解コラーゲンのことを指しています。

セラミド
肌の保湿や、外部刺激からのバリア機能を担う細胞間脂質と言われる脂質の一つ。

スキンケアには欠かせない成分の一つですが、リーズナブルな化粧水には配合されていなかったり配合量が少ない場合が多いので、化粧水ではなく美容液などの化粧品で摂ることが理想と言えます。

ビタミンC誘導体
成分の正しい表記は「リン酸アスコルビルMg」。

ビタミンCは肌老化の原因である活性酸素を排除する効果や、皮脂分泌を抑制する作用が見込めます。

また、ビタミンCは壊れやすい成分のため、肌に浸透・とどまりやすく開発されたのが、このビタミンC誘導体です。


他にも種類はたくさんあるのですが、代表的な成分だけでも知っておくのと知らないのではえらい違いです。

化学成分に関する情報や書籍はたくさんありますから、興味が沸いた時に調べてみるのも面白いかもしれませんね。

化学の知識を詰め込んだところで、今度はその知識の活用方法について解説します。

成分表の見方
化粧水を手にとって背面を見ると、配合されてある成分表が書かれてあると思います。製品購入時には是非ともチェックしてもらいたいところです。

ただ、パッと見、横文字がババーッと書かれていてそれだけで目を背けたくなりまよね。

でも安心してください。成分表の見方にはちょっとしたコツがあって、それを踏まえば誰でも主成分と使用感が判断できるようになります。そのコツが、これ。
成分表示の見方のコツ
・成分表示は配合量の多い順に記載されている
・表示の1行目〜2行目を見ると大体の成分は把握できる

この二つだけをまずは注意して見てもらえるといいと思います。

少し補足しておくと、「〜エキス」「ヒアルロン酸Na・コラーゲン類」「防腐剤」の表記から下に記載されてある成分は、おおよそ配合量1%以下である場合が多く、主成分にはなりません。

エキスなんかは1%以下でも十分な効果が見込めます。

また、着色料は末尾に表記されるというルールもあります。
成分表チェックとか、プロっぽくてなんか良いです…!
口コミなんかも気になるところだけど、成分の働きを知っているだけで製品選びに大きな違いが生まれてきそうよね。

肌質で男女を使い分けるのが上級者のワザ!


基本的には、男性は男性用化粧水を使わないと効果が表れない、なんてことはありません。

しかし、男性と女性とでは肌環境が異なっているので、その状況に合わせて化粧水を使い分けていく必要があります。

一般的に、男性は皮脂が過多で、女性は不足しがちです。そのため、女性用のスキンケア商品は油分が多く含まれている場合があり、男性が女性のスキンケア商品を使うとベタつき感が強く出てしまうことがあります。
一方メンズスキンケア商品は、皮脂除去や皮脂が原因のニキビに対する抗菌成分を目的とした化学物質が配合されていることが多くなっています。使用感としてはサッパリとしたものが大半です。

引用:男の洗顔・保湿!基本から学ぶメンズスキンケア〜油田王の逆襲〜

オイリー肌の人は、女性用の化粧水をつけるとかなりの確率でベタつき感が出て不快だな〜と感じてしまうと思うので、男性用を使用するのが無難です。

一方、極度の乾燥肌や敏感肌の人には、豊富な種類を誇る女性用の中からチョイスするのがオススメと言えそうです。

スキンケアの着地点は補水ではなく「保湿」


今回は、化粧水の本当の働きについて見てきました。

その働きとは、肌の保湿ではなく、肌の角質層を柔らかくすることで保湿成分を届けやすくするための調整役、でした。

しかしこれではスキンケアは終われません。スキンケアの最終到達地点は、肌を保湿することにあるのですから。
保湿成分が必要 図のように、肌を保湿しなければ結局のところ水分は蒸発を続けることになり、バリア機能が作用していない、見た目にも残念で不健康な肌へと向かってしまうのです。

ということは、化粧水だけではスキンケアは終われないということなのです。

ここで少し保湿成分に触れてみますが、肌の角層には皮脂・細胞間脂質・天然保湿因子(NMF)といった物質が存在しており、保湿やバリアの機能を果たしています。

それらの物質の元となるのは、セラミド・ヒアルロン酸・コラーゲン・アミノ酸などの成分です。そしてその成分を一番多く配合している化粧品は、美容液と言われるジャンルなのです。

保湿と相関関係の深い美容液についてはまたの機会に譲るとして、その保湿成分を円滑に肌へ届けるのが化粧水の働き、ということでした。

そのことを頭において、これからは化粧水を使用していきましょう!

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◇参考文献・WEBサイト一覧
厚生労働省 統合医療情報発信サイト
日本化粧品技術者会
日本抗加齢学会
公益社団法人 日本皮膚科学会
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