【医師が教える】ダイエットだけでない断食ファスティングの魅力と効果
[公開日]2017/03/01[更新日]2017/06/25
《執筆:中村裕恵 医師》
日本内科学会認定内科専門医であり、自然療法を実践するホリスティック専門家。メディカルビューティー酵素ファスティング協会代表、予防医学を取り入れる「トータルヒーリングセンター」を開院。
日本内科学会認定内科専門医であり、自然療法を実践するホリスティック専門家。メディカルビューティー酵素ファスティング協会代表、予防医学を取り入れる「トータルヒーリングセンター」を開院。
「ファスティングダイエットとは、具体的にどうすればいいんですか?」とよく聞かれます。
「ファスティングとは断食(だんじき)のことで、固形物を食べずに過ごします。」と答えると、途端に皆さんの顔が固まったり、不安な表情を浮かべます。
食べないと生きられないと思っているわたしたちにとって、「食べない」なんて、あり得ない行為ですよね。私も5年前まで、そう思っていました。
ここでは、ファスティングの基礎知識から、医師である私がファスティングとどのように出会い、勧める立場にまでになったのか、経緯と共にその魅力をご紹介します。
ファスティング(断食)とは
ファスティングの歴史は古く、紀元前のヨーロッパでは旧約聖書に、アジアではブッダも「断食せよ」と勧めていました。今でもイスラム圏では、「ラマダン」という定期的に食を断つ習慣があるので、「宗教行為」「修行っぽくて厳しそう」という印象があるかもしれません。
たしかに、少し前までファスティングといえば、「水と少しの塩だけ」という修行のような方法がほとんどでした。しかし、それでは空腹感やフラつきを感じやすく、沢山のことをスピーディーにこなさなくてはならない私たちには不向きです。
では、どのような方法がよいのか、ポイントは「栄養素を摂りながら安全に行う」ということです。
初めて経験した3日間の酵素断食、医師としても魅力を感じた
私が5年前に出会ったファスティング(断食)は、「ミネラルファスティング」「酵素断食」と呼ばれ、発酵エキス(酵素ドリンク)で栄養を安全に摂りながら、胃腸をお休みさせる方法でした。
有名人では、アントニオ猪木さんや美川憲一さんが既に定期的に実践しており、インタビューでは「スタミナが戻ってきた」「若返ったような感覚がある」と言っていました。また、ふたりとも「思ったより、お腹は空かない」と言っており、「お腹が空かずに心身がリフレッシュするなら、私もやってみよう」と決断したのが始まりでした。
初めて実践したファスティングは3日間断食。3日間は、通称「酵素ドリンク」と呼ばれている発酵飲料や発酵エキスと、ミネラルウォーター、カフェインレスのハーブティーだけで過ごす断食です。
3日間断食は、体の中の余計な塩分や水分と、排泄しきれなかった老廃物が尿で押し出されていくので、排毒(デトックス)効果が強いと言われています。
断食が終わる頃には、
・頭のスッキリした感覚が蘇る
・クヨクヨとしていた気持ちが晴れやかに
・体がスッキリしてきてプロポーションが若返る
・断食明けに口に入れた固形物の味が濃いことが気になり出す
など、身体がリセットされていく感覚を実感できました。・クヨクヨとしていた気持ちが晴れやかに
・体がスッキリしてきてプロポーションが若返る
・断食明けに口に入れた固形物の味が濃いことが気になり出す
感覚を研ぎ澄ましてパフォーマンスする芸能人が積極的に取り入れるのも、ダイエット効果というよりも、身体のリセットや若さを維持したいからだと思います。
ファスティング中の断食反応
3日間断食の2日目くらいには、老廃物が抜けていくことで「断食反応」が出ることがあります。これは、体内の老廃物が抜けていく過程で起こる身体の変化のサインです。(眠け、ダルさ、頭痛、筋肉痛、急な下痢、吐き気、寒さなど)。
そのため、1回目と2回目のファスティングは、休日を上手く活用して、「酷使していた心身をリセットしている」という自覚も大切です。ファスティングの断食反応が心配な場合は、断食指導者の監督下で行ってください。
そのため、1回目と2回目のファスティングは、休日を上手く活用して、「酷使していた心身をリセットしている」という自覚も大切です。ファスティングの断食反応が心配な場合は、断食指導者の監督下で行ってください。
ファスティングはダイエット目的だけではない
繰り返しになりますが、ファスティングはダイエットのためではなく、身体のリセットの為に行います。
リセットすることで、衰えてきた代謝が戻る、むくみが取れる、余計な脂肪が燃焼しダイエットにつながる人ももちろんいます。
一方で、栄養吸収が悪く太りたくても太れなかった人は、身体がリセットすることで吸収力が上がり、肌ツヤが改善し、ながらこれまでとは逆に痩せない体になる人もいるのです。
効果を感じるまでの期間
心身が晴れやかになる感覚を実感できたり、断食によるリセット効果を実感できるまでに、ファスティングが数回必要な人もいます。大病を患っていたり、ストレスを抱えていると、1回で変化を感じられないこともあります。断食指導者のカウンセリングやアドバイスを受けながら、ファスティングの手応えを掴んでいくのも方法の一つです。
途中、若干の空腹感がやってくることもありますが、断食中はビタミンやミネラルを多く含む酵素エキス(酵素ドリンク)を摂るので、想像するような空腹感には襲われません。
ただし、ファスティング前に「最後の晩餐だ!」とはりきって食べ過ぎると、断食中に具合の悪くなるような空腹感や不快感がやってくるので、「断食前の準備期間」は断食に向けて身体を慣らす大切な期間であると認識しましょう。
ファスティングダイエットの成功は回復期間がカギ
断食には、「準備期間が大切だ」とお伝えしましたが、更に重要なのは、食事を通常に戻す為の「回復期間(復食期間とも言います)」です。
微生物が発酵・分解するときにつくられる酵素エキス(酵素ドリンク)と水だけで過ごした断食期間は、ミルクだけを飲んでいる赤ちゃんや、手術をした直後の患者さんのような状態です。
「断食も無事終わったから、久々にがっつり食べよう」と、急に休ませておいた胃腸を酷使すると、身体は急な変化にビックリします。その結果、リバウンドしたり、心身の鈍さが直ぐに戻るなど、せっかくのリセット効果が台無しになりかねません。ファスティングにおける回復期間は重要です。
3日間断食行う場合は、準備期間は2-3日、回復期間も2-3日かかります。つまり、1週間は「人間にとって大切な"食という行動"」と向き合う期間だと思ってください。
ファスティングは酵素断食がお勧め、酵素ドリンクは糖度の高いものもあるので注意!
断食は、動物としての人間本来の生存力を蘇らせ、自然治癒力も発動させて、丈夫な体と若い心を保とうとする方向にベクトルを向かわせます。ファスティング期間は、半日だけ行う断食から、長ければ7〜10日間の断食期間(必然的に、準備期間も回復期間も長くなります)をしっかり設けて、深いリセット効果を狙う長期ファスティングまであります。
ファスティングの方法は古代から実践されている、栄養の摂れない水断食のような修行に近いやり方ではなく、発酵エキス(酵素ドリンク)を取り入れる酵素断食が良いでしょう。
発酵の過程には、微生物が分解という仕事をしてくれる為に砂糖をエサにします。発酵エキス(酵素ドリンク)には糖度が高いものから低いものまでありますが、血糖値が気になる方は、糖度の低いものを選択するようにしてください。
腐敗を防ぐ為に、人工的な防腐剤が添加されている発酵エキス(酵素ドリンク)は、ファスティングには向かないものもあるので、しっかり見極めるようにしましょう。
ファスティングは自分を見つめ直す機会をくれる
ファスティングによる心身のリセット効果を海外では「ファスティングは人生の武器」「メスのいらない手術」と言われています。
断食に慣れるまで、心身がリセットできるまでは、断食を通して、自分への関心と注意を向けて過ごしてみてください。ダイエット以上の効果を感じられることでしょう。
人間の歴史を1年に凝縮すると、飢餓から解放され、飽食の時代に移り変わったのは「大晦日」だと統計で言われています。今でこそ当たり前に食事ができますが、わたしたちの身体は食べないほうが順応しやすく、食べ過ぎは身体に負担をかけ胃や腸を酷使しているのです。
あえて「食べない」という単純な行為を選択は、食べるものに困らない今、食べることの大切さを実感できる良いチャンスです。
「食べる為に実践するファスティング」は、案外と自然にできるので、ぜひ勇気を持ってやってみてください。
《編集:アンチエイジングの神様チーム》