元飲料水メーカー員が解説!水分補給は「発汗の夏」と「乾燥の冬」でポイントが違う
[公開日]2016/10/24[更新日]2017/07/11
こんにちは。アンチエイジングの神様チームのタカシマです。
飲料水メーカーで水質分析官として5年半に渡って働いた経験を生かし、飲み水に関する記事を執筆させていただいております。
さて、皆様。突然ですが、「うるおい」足りてますか?
「うるおい」のために最も大切なのは水分補給です。その水分補給の対策が夏と冬とで異なるということはご存知ですか?
この記事では、水分不足が原因となって起こる症状や、夏と冬で変わる水分補給対策についてお伝えします。
乾燥の冬は水分不足を意識することが大事
冬はなぜ身体が乾燥するのか
夏は何も気にしなくても飲み物が欲しくなりますが、冬はあまり飲み物が欲しくなりませんよね。しかも冬に飲む水分って、コーヒーや紅茶、日本茶など温かい飲み物が多くて、たくさんは飲まないし、利尿作用があるものが多いのです。
外気は乾燥しており、喉や鼻の粘膜を通じ、身体から水分はどんどん失われています。そんな状況にも関わらず、水分はあまり摂取しないので、どんどん身体は乾燥してしまうというわけです。
乾燥した粘膜はインフルエンザウイルスの大好物
実は水分不足によって、乾燥してしまった喉や鼻の粘膜はウイルスにとっては最高の繁殖場所です。風邪の原因となるウイルスやインフルエンザウイルスは、水分の少ないネチャネチャした場所が大好きなのです。
寝てる間に喉を痛めたり、風邪をひいてしまったことはありませんか?寝ている間は水分補給をすることができないので、身体が乾燥してしまうことが、ウイルス感染の大きな原因となっているのです。
常日頃から水分補給をし、粘膜を潤わせておくことは、風邪やインフルエンザの予防につながります。
うがい、手洗い、水分補給といった具合に気をつけても良いくらいです。
肌の上ばかり気にせずに中からも
冬は外気が乾燥するから・・・と乾燥肌対策の化粧水や化粧品ばかりに目を奪われていませんか?確かに肌の上からの対策も重要ですが、まずは身体の中から水分補給を心がけてみてください。
根本的な解決へとつながり、その他の乾燥肌の対策もより意味あるものになるはずです。
まずは日常の水分補給に気をつけ、身体の中から潤わせることで、どう身体が変化するのかをよく観察することが重要です。
水分補給以外の乾燥肌の対策について詳しくは乾燥肌対策のスキンケア選びのコツは高保湿と角質ケア!をご確認ください。
冬の水分補給は喉が渇く前にチビチビ飲み続けるのがコツ
常に喉が潤っている状態を保つようなイメージで水をこまめに飲むのが良いです。あまりゴクゴク飲む必要はありません。本当にちょびちょびで大丈夫です。喉が渇く前に飲むのがポイントです。
ボトルに入れて、いつも手が届く場所に水があると良いですね。
温かい飲み物を飲むときはカフェインの入ったコーヒーや紅茶は利尿作用がありますので、ノンカフェインのコーヒーを選んだりする工夫もあるとより良いと思います。
また、女性の方で白湯を飲まれている方も多いですね。身体も温まりますし、良い方法だと思います。
また、冬の日常の水分補給にスポーツドリンクはNGです。スポーツ時や発汗が多い時にスポーツドリンクを活用するようにしましょう。日常の水分補給に使用すると、糖分の摂りすぎになってしまいます。
ウォーターサーバーについて詳しくはウォーターサーバーをレンタルした100人に聞いた本音調査をご確認ください。
発汗の夏はただ飲むだけではダメ
恐怖の「自発的脱水」はこうして起こる
運動の最中ですと、発汗はよりいっそう多くなります。
水分は充足しているので、喉の渇きは止まりました。
せっかく摂取した水分は外に出てしまいました。
その間にも汗で体液は失われ続けています。
夏場は、水分とともに汗で失ったミネラル分を補給しないと意味がないのです。
熱中症は意外と身近な存在です。倒れてしまってからでは遅いので、正しい知識を持って、確実に対策をしましょう。
環境省の熱中症予防情報サイトでは熱中症の情報提供を頻繁に行っており、夏場は情報をチェックすることをオススメします。
夏の正しい水分補給の方法
熱中症を防ぐ水分補給のポイントは3つあります。運動をしている時にはスポーツドリンクが最適ですが、日常生活における水分補給で糖分は不要なので控えましょう。
水や麦茶にプラスで塩飴や塩タブレットをなめたり、天然塩を補給する方法が手軽でオススメです。
持ち出す水や麦茶に1リットルあたり1g~2gの天然塩を入れておくだけで、熱中症対策水が出来上がりますので、そうした方法もお勧めです。
長時間の運動で汗をたくさんかく場合には、塩分の補給も必要です。0.1~0.2%程度の食塩水(1ℓの水に1~2gの食塩)が適当です(飲料の場合、ナトリウム量は100mlあたり40~80mgが適当)。
スポーツをする時は糖分を取ったほうが、身体に素早くミネラル分が行き渡るメリットもありますし、エネルギー消費も激しいから気にする必要はありません。
どうしても薄めたいなら、その分天然塩を投入し、ミネラルを確保する必要があります。
しかし、キンキンに冷やした水も内臓に負担を与えるので、よくありません。
そこで、日本体育協会などの機関が「水は5度〜15度で飲みましょう」と呼びかけています。
魔法瓶などで有名なサーモス株式会社と横浜国立大学の田中英登教授の共同研究でも「真夏環境下における運動時の最適な水分補給温度」については5度〜15度が適温であると結論づけられています。
田中英登教授による考察
実験の結果、生理反応および心理反応、パフォーマンス結果を総合すると、水温10℃が望ましいことが示唆された。水温が高すぎると吸収量が少なくなり、また低すぎると飲みにくく十分な飲水ができなくなる恐れや身体に負担がかかる可能性がある。そのため、スポーツパフォーマンス向上という観点においては水温5℃~15℃の水分補給が適していると言えるであろう。
喉が渇いた状態は水分不足の状態ですし、がぶ飲みを促進してしまい、悪循環です。
暑い日には、知らず知らずにじわじわと汗をかいていますので、身体の活動強度にかかわらずこまめに水分を補給しましょう。特に、湿度が高い日や風が弱くて皮膚表面に気流が届かない条件の下では、汗をかいても蒸発しにくくなり、汗の量も多くなります。その分、十分な水分と塩分を補給しましょう。
また、人間は、軽い脱水状態のときにはのどの渇きを感じません。そこで、のどが渇く前あるいは暑いところに出る前から水分を補給しておくことが大切です。
高齢者と子どもは熱中症に特に注意
高齢者と小さな子どもは熱中症になりやすいので、周囲の方々が注意を払う必要があります。なぜ熱中症になりやすいのかの解説と対策を紹介します。
高齢者の方は老化による影響で「暑い」と感じにくかったり、暑さに対して身体の反応がたいへん鈍い状態になっています。
暑くて本来水分補給が必要な場面でも「のどが渇いていないからいらない」と水を欲しがらなかったり、本来はクーラーのスイッチを入れないと危ない場面で「暑くないよ」「昔はクーラーなんて付けたことがない、クーラーは身体に悪い」などと拒んだりする事例があります。
暑さの危険を感じにくい高齢者に対し、周囲が気を配る必要があります。事実、室内でクーラーのスイッチを入れずに亡くなった方もたいへん多いのです。
高齢者の方には、のどが渇かなくても飲むように促し、ペットボトルに水を入れ「今日は1日でこれだけは飲んでね」と渡したり、部屋に温度計を設置し、室温の高さを自覚させるなど、意識付けをさせるような心配りが命を救います。
ベビーカーの中もアスファルトの照り返し等で高温になることがありますので、必要に応じて抱っこしてあげるなどの対応が必要です。
小学生くらいの子供でも、遊ぶのに夢中になって水を飲むのを忘れたり、上着の調節をしないまま汗だくで遊んだりすることがあります。その日の洋服について「2時間目が終わったら、上着は脱いでね」など、具体的に衣服の調節を指示するのも良いでしょう。
水分補給も同様で「休憩時間には必ず飲んでね」などと水分補給を具体的に促す声かけをすることが大切です。
健康の基礎は潤った身体
水分不足は万病の元
人体の60%以上は水でできています。そんな貴重な水分を失うと、身体には様々な不調が発生します。
便秘による腹痛や乾燥肌に口臭・・・。日頃、体調不良な方はあれこれと特別な方法を試す前に、ご自身の身体に水分が足りているか確認してください。別にミネラルウォーターである必要はありません。水道水でも良いです。水を飲む量を増やして「便秘解消した!」などと改善した場合は、水分不足が原因だったということです。
若さを保ち、病気知らずの健康体を維持するには、まず何よりも水分を摂取することが重要になってきます。もしも、満足に水を補給することができず、慢性的に体内が"水不足"の状態になっていたら、まず「血液ドロドロ症状」が起こり、脳梗塞や心筋梗塞の危険度が一気に増加します。
出典:藤田紘一郎「正しい水の飲み方・選び方」
人間は1日に約2.5リットルの水を摂取する必要があるとされています。そのうち1リットル程度は食事から自然に摂取できていると考えると、1.5リットルは飲むことで摂取することが必要なのです。夏場で汗をかくようなことがあれば、もちろんもっと必要です。
ダイエットを気にされている方で「水を飲むと太る」「水太り」と言う方がいます。ノンカロリーの水を飲んで太ることはありません。水が悪いのではなく、水を溜め込んでしまう体質に異常があるのです。毎日の生活習慣を見直し、水太りをしない身体にする必要があります。「水太りするから」と水分を控えていては、よりいっそう体質は悪くなる一方で逆効果です。
仕事をされていて、職場に水分補給の環境が整っていなかったりすると、水分を満足に摂取することはなかなか難しいことだと思います。
職場に水筒を持って行ったり、自分なりの水分補給の方法を見つけましょう。
従業員のために、職場にウォーターサーバーを設置されていたり、給水器や給茶機があったりすると良いですね。
職場にウォーターサーバーを導入することを検討したい方は職場と店舗で違う!業務用ウォーターサーバーの選び方をご確認ください。
寝る前と起床直後の水分補給は特に重要!
1日の中で身体が最も乾燥するのはいつでしょうか?それは、睡眠中です。理由は単純で、寝ているので水分補給ができないからです。
睡眠中、思っている以上に汗をかき、呼吸によっても水分を放出します。それにより体内の水分が拡散され、カラダは乾き、血液の粘度は上がりドロドロになります。そのドロドロの血液が心臓で詰まると心筋梗塞が起こり、脳で詰まると脳梗塞になります。
そのために必要なのが就寝前のコップ一杯の水です。私はこの水を"宝水"と呼んでいます。
出典:藤田紘一郎「カラダを壊す水活かす水」
スポーツ中の水分不足は夏冬問わず危険
秋冬でもスポーツ時は夏場と同じようにミネラルを意識した水分補給を心がけましょう。外気が乾燥しているので汗が乾きやすく、涼しいのであまり実感はありませんが、身体は夏と同様に体液を失っています。
喉が渇いていなくても、水分を補給してください。より快適にスポーツを楽しめます。
ランナーの方はドリンクホルダー付きのウエストポーチがオススメです。ウエストポーチにボトルを入れて、こまめにスポーツドリンク等で水分補給をしながら走るようにしてくださいね。
体内の水分量は尿の状態でチェックできる
名門スポーツ校の硬式野球の顧問の先生は、熱中症の予防のために生徒たちに尿の色を日頃からチェックさせていると言います。この方法は医学的にも認められている、非常にシンプルなチェック方法です。
夏場や運動後に発汗量が増えている時、あるいは冬場の乾燥している場合に皮膚から水分が蒸発している時に水分摂取量が不足すると尿が濃くなります。尿が濃くなると粘度が高くなって尿の泡立ちが目立つようになります。
血尿などで濁り、色が濃くなるという異常事態を除き、尿の色で水分が足りているかどうかチェックできます。
水分が足りている時には透明かつ無臭に近い水の様な尿が排出され、水分が不足している時には色が濃く、臭いが強く、時には泡立つような尿が排出されます。バロメーターとして活用してくださいね。
水分補給の環境を整えることが大切
水分補給を常に意識して行うためにはまず、水分補給がいつでもできる環境を作ることが大切です。
職場にボトルを持っていく、家にウォーターサーバーを設置する・・・などなど、様々な方法があります。ご自身にはどんな方法があっているのか、今一度考えてみてください。
夏でも冬でも水分補給は健康の基本です。この記事を読んでくださった皆様が健康な毎日を過ごされることを心より願っております。