医師が教える腸内環境改善のコツ / 便秘体質を治す方法
[公開日]2017/04/04[更新日]2017/06/25
便秘とは無縁だった私は、医者になりストレスや当直で不規則生活が続き、3日に1回コロコロの便しかでない便秘体質になりました。
今振り返ってみると、当時は食物繊維が少なくサッと食べられる肉中心の食生活で、腸内環境を乱す生活を送っていたんですね。
便秘になっただけでなくイライラすることが増えた私は、自然療法を中心としたマクロビオティックやローフード、酵素断食を学び実践し始めました。さらに、ウォーキングやヨガで骨盤を動かし、心身ともに健康になる方法を研究していったのです。
その結果、便通が戻ってきただけでなく深く眠れるようになり、その上イライラすることが減りポジティブな考えができるようになっていました。この記事では、医師である私の経験をもとに腸内環境の改善方法についてお伝えしていきます。
私たち人間が食べたものは「腸」で食べ物の栄養を吸収し、全身の栄養となっていきます。つまり、栄養を吸収するには腸の働きが欠かせないのです。その一方で、腸はストレスの影響を強く受けるため、ストレスが溜まると腸の働きが悪くなり、便秘や肌荒れ、イライラの原因になります。
便秘体質が治りにくいのは、ストレスとも関係があるからだったのです。
第二の脳とも言われる腸内には、およそ100兆個の微生物がすんでいます。100兆個もの腸内微生物は「腸内フローラ(細菌叢)」と呼ばれ、微生物同士の絶妙な関係を作り上げ、草むら(叢)のように群れて生存しています。人間の細胞は60億個なので、約2倍もの微生物が腸内にいるということですね。
この腸内フローラは、私たちの心身の健康を保つための善玉菌と、できるだけ少ないほうがよい悪玉菌、善玉菌と悪玉菌どちらの味方にもなる日和見菌という3つのグループが、2:1:7の割合で棲みついるとベストな状態と言えます。
「善玉菌だけがいてくれればよいのに」と思うかもしれませんが、私たちの腸内は善玉菌だけでは棲みつけず、善玉菌を定着させるように悪玉菌が存在し、その2群の間を取り持つように日和見菌が棲みついています。
さらに悪玉菌が作り出す腐敗物が体内に吸収されると、肌荒れやニオイの悩みが増えます。便秘の人が肌荒れしやすいのは腸内の腐敗物が体内に吸収されていたからです。
また免疫機能が有害物質によって弱くなるため、妙な疲れやすさや風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
では、便秘や肌荒れなどの症状を改善するにはどうしたら良いのでしょうか。ポイントは、悪玉菌を抑え善玉菌を優勢にすることです。ここからは、医師である私が実践した善玉菌を優勢にする方法をお伝えしていきますね。
ウォーキングや有酸素運動で気分転換して自律神経のバランスを整えたり、アロマテラピーや音楽などの力も借りて頭の切り替えすることも有用です。
しかし、タンパク質を多く摂りすぎると脂肪のとりすぎと同様、悪玉菌の餌になります。日本人の腸の特徴を考えると、日本古来の和食で腹八分目の高食物繊維食がベストな食事になるでしょう。玄米や味噌汁、つけものといった和食は腸内環境を善玉菌優勢には理想的です。
ただ、腸内環境の改善に良いからといって摂りすぎると、お腹が緩くなって下痢を引き起こしかねません。少しずつ摂りはじめ、適量を探してみてください。
その患者さんは、手足に痒みとしつこい湿疹を伴う「掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症」という皮膚炎を患っていました。もともと健康意識が高うということもあり、納豆菌と乳酸菌が沢山の含まれている整腸錠を3ヶ月しっかり飲み続けたのです。
3ヶ月後、湿疹だらけだった手足は完全に治ったとは言えませんでしたが、とても綺麗に改善しており腸内環境の改善力に私も驚いたことがあります。何より全身の肌のツヤやキメが整っており、以前よりもイキイキと魅力的な雰囲気を醸し出していました。
その結果、さきほどの患者さんのように以下のような毎日の健康維持・美容効果が期待できるようになります。
また、腸に食物由来の必須アミノ酸であるトリプトファンとビタミンミネラルが届けられると、ハッピーホルモンと言われる脳内物質「セロトニン」を作ることができ、気持ちもハツラツとして人間関係から来るストレスも感じにくくなります。これが、腸内環境が第二の脳と呼ばれる秘密です。
朝、気分爽快に起きられたりスッキリとお通じが出る毎日が続いたら、人生最高ですよね。医師の私でさえ、羨ましいです。そのための一歩として、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスを意識した生活を心がけてみてください。
長年便秘に苦しんでいる方や最近イライラしてしまう方の腸内環境の改善に役立つことができれば幸いです。
《編集:アンチエイジングの神様チーム》
今振り返ってみると、当時は食物繊維が少なくサッと食べられる肉中心の食生活で、腸内環境を乱す生活を送っていたんですね。
便秘になっただけでなくイライラすることが増えた私は、自然療法を中心としたマクロビオティックやローフード、酵素断食を学び実践し始めました。さらに、ウォーキングやヨガで骨盤を動かし、心身ともに健康になる方法を研究していったのです。
その結果、便通が戻ってきただけでなく深く眠れるようになり、その上イライラすることが減りポジティブな考えができるようになっていました。この記事では、医師である私の経験をもとに腸内環境の改善方法についてお伝えしていきます。
《執筆:医師 中村裕恵》
日本内科学会認定内科専門医であり、自然療法を実践するホリスティック専門家。メディカルビューティー酵素ファスティング協会代表、予防医学を取り入れる「トータルヒーリングセンター」を開院。
日本内科学会認定内科専門医であり、自然療法を実践するホリスティック専門家。メディカルビューティー酵素ファスティング協会代表、予防医学を取り入れる「トータルヒーリングセンター」を開院。
ストレスの影響で腸内環境が改善されにくくなっている
私たち人間が食べたものは「腸」で食べ物の栄養を吸収し、全身の栄養となっていきます。つまり、栄養を吸収するには腸の働きが欠かせないのです。その一方で、腸はストレスの影響を強く受けるため、ストレスが溜まると腸の働きが悪くなり、便秘や肌荒れ、イライラの原因になります。
便秘体質が治りにくいのは、ストレスとも関係があるからだったのです。
第二の脳とも言われる腸内には、およそ100兆個の微生物がすんでいます。100兆個もの腸内微生物は「腸内フローラ(細菌叢)」と呼ばれ、微生物同士の絶妙な関係を作り上げ、草むら(叢)のように群れて生存しています。人間の細胞は60億個なので、約2倍もの微生物が腸内にいるということですね。
この腸内フローラは、私たちの心身の健康を保つための善玉菌と、できるだけ少ないほうがよい悪玉菌、善玉菌と悪玉菌どちらの味方にもなる日和見菌という3つのグループが、2:1:7の割合で棲みついるとベストな状態と言えます。
「善玉菌だけがいてくれればよいのに」と思うかもしれませんが、私たちの腸内は善玉菌だけでは棲みつけず、善玉菌を定着させるように悪玉菌が存在し、その2群の間を取り持つように日和見菌が棲みついています。
悪玉菌が多い人って、どんな人?
腸に悪玉菌が多い人は、腸内に腐敗物を溜め込んでいます。そのため、便秘や以下のような症状があらわれます。・便やオナラが臭い
・便やオナラが溜まってお腹が張る
・溜まったガスでお腹が痛くなる
・便やオナラが溜まってお腹が張る
・溜まったガスでお腹が痛くなる
さらに悪玉菌が作り出す腐敗物が体内に吸収されると、肌荒れやニオイの悩みが増えます。便秘の人が肌荒れしやすいのは腸内の腐敗物が体内に吸収されていたからです。
・肌荒れ
・肌のくすみ
・口臭
・体臭(腐敗臭が毛穴から漏れ出す)
・肌のくすみ
・口臭
・体臭(腐敗臭が毛穴から漏れ出す)
また免疫機能が有害物質によって弱くなるため、妙な疲れやすさや風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
医師が実践した腸内環境改善4つのポイント
では、便秘や肌荒れなどの症状を改善するにはどうしたら良いのでしょうか。ポイントは、悪玉菌を抑え善玉菌を優勢にすることです。ここからは、医師である私が実践した善玉菌を優勢にする方法をお伝えしていきますね。
運動や音楽で自律神経のバランスを保つ
背負う責任が大きかったり緊張状態が続くと、交感神経が優位になり自律神経のバランスが崩れます。腸の動きは、心臓と同じく自律神経がコントロールしているので、自律神経のバランスが崩れると栄養の吸収や便の排泄を促す腸のぜん動運動が弱くなってしまいます。すると、栄養が吸収されず腸内に食べ物が蓄積し腐敗するので悪玉菌優勢の腸内環境に陥るのです。ウォーキングや有酸素運動で気分転換して自律神経のバランスを整えたり、アロマテラピーや音楽などの力も借りて頭の切り替えすることも有用です。
健康のためのタンパク質が腸内環境を悪化させる
タンパク質は、筋肉や骨、皮膚や内臓の主な材料であり、体の重要なエネルギー源です。しかし、タンパク質を多く摂りすぎると脂肪のとりすぎと同様、悪玉菌の餌になります。日本人の腸の特徴を考えると、日本古来の和食で腹八分目の高食物繊維食がベストな食事になるでしょう。玄米や味噌汁、つけものといった和食は腸内環境を善玉菌優勢には理想的です。
悪玉菌を減らす発酵食品を摂る
乳酸菌は善玉菌やそのエサとなり、悪玉菌の増殖を抑えることができます。特に味噌や納豆などに含まれる植物性乳酸菌は、日本人の腸と相性が良いので、味噌、納豆、キムチ、塩麹・米麹など沢山の種類の乳酸菌をとっていくことがおすすめです。日本人にあう乳酸菌とは
どの乳酸菌が合うかは個人差がありますが、日本人のルーツは農耕民族なので、植物との共生期間が長く動物由来の乳酸菌は適合しづらい場合があります。合う、合わないは摂取してみないとわからないので、まずは積極的に発酵食品を摂るようにしましょう。善玉菌を増やすオリゴ糖を摂る
腸内環境を改善するには、悪玉菌がすみつきにくい環境をつくることが大切です。オリゴ糖を餌にしているビフィズス菌(善玉菌の90%)は、乳酸や酢酸といった酸を作り出すことでき、腸内を弱酸性に保つことができるのです。酸が腸を刺激して排便効果も期待できますが、悪玉菌は酸性の環境が苦手なので勢力を弱めていき、善玉菌優勢な腸内環境にすることができます。ただ、腸内環境の改善に良いからといって摂りすぎると、お腹が緩くなって下痢を引き起こしかねません。少しずつ摂りはじめ、適量を探してみてください。
甘酒には腸内環境改善と美肌効果も
現在の発酵食ブームから大注目されているものに「甘酒」があります。麹が米から引き出す甘みはアルコールも含まれず、栄養満点なので「飲む点滴」とも呼ばれています。麹菌が善玉菌の餌になって悪玉菌を抑えるだけでなく、ビタミンB群を豊富に含むので、疲労回復やリラックス効果、美肌効果も期待できます。
甘酒は酒粕から作られているものと、米麹から作られるものの2種類がありますが、腸に良いものは米麹を原料とした甘酒です。発酵食品も健康に良いとはいえ、摂りすぎるとカロリーオーバーになるので注意しましょう。腸内環境の改善は幸せホルモンを増やす
ひどい湿疹も腸内環境を整えると改善できた
私の患者さんで、腸内環境の改善によりブツブツな肌がキレイに生まれ変わった方がいました。その患者さんは、手足に痒みとしつこい湿疹を伴う「掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症」という皮膚炎を患っていました。もともと健康意識が高うということもあり、納豆菌と乳酸菌が沢山の含まれている整腸錠を3ヶ月しっかり飲み続けたのです。
3ヶ月後、湿疹だらけだった手足は完全に治ったとは言えませんでしたが、とても綺麗に改善しており腸内環境の改善力に私も驚いたことがあります。何より全身の肌のツヤやキメが整っており、以前よりもイキイキと魅力的な雰囲気を醸し出していました。
腸内環境が改善すると便秘はもちろん気持ちまで明るくなる
腸内環境が改善すると、自律神経のバランスが上手にコントロールできるようになります。その結果、腸に余分なものを溜め込まなくなるので、便秘や下痢がなくなり、有害物質を体内から排出する解毒力や8割が腸に集中していると言われる免疫力が強化されます。その結果、さきほどの患者さんのように以下のような毎日の健康維持・美容効果が期待できるようになります。
・疲れやすさの解消
・肌荒れなどの皮膚トラブルの解消
・風邪の引きやすさの改善
・動脈硬化を代表とした生活習慣病の予防
・肌荒れなどの皮膚トラブルの解消
・風邪の引きやすさの改善
・動脈硬化を代表とした生活習慣病の予防
また、腸に食物由来の必須アミノ酸であるトリプトファンとビタミンミネラルが届けられると、ハッピーホルモンと言われる脳内物質「セロトニン」を作ることができ、気持ちもハツラツとして人間関係から来るストレスも感じにくくなります。これが、腸内環境が第二の脳と呼ばれる秘密です。
まとめ 腸内環境は忙しい毎日でも改善できる
朝、気分爽快に起きられたりスッキリとお通じが出る毎日が続いたら、人生最高ですよね。医師の私でさえ、羨ましいです。そのための一歩として、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスを意識した生活を心がけてみてください。
長年便秘に苦しんでいる方や最近イライラしてしまう方の腸内環境の改善に役立つことができれば幸いです。
《編集:アンチエイジングの神様チーム》