【児童相談所職員が解説】勉強嫌い克服!子供の学年別やる気スイッチ/完全マニュアル
[公開日]2016/11/30
「息子が勉強してくれない」「娘が勉強嫌い」と悩んでいる親はたくさんいるものです。
筆者は、学童保育所で指導員をしていた経験を持っています。そのような悩みを持つ親から「どうすれば勉強させられますか?」と何度も相談を受けた経験があります。
この記事では、筆者が学童保育所や児童相談所の指導員だった頃の経験をもとに、勉強嫌いの子どもを勉強好きに変える方法をまとめています。学習塾や家庭教師をつける必要はありません。大切なのは、自主的な家庭学習です。ぜひこの記事を読んで、子どもが勉強好きになれるよう手助けしてあげてください!
目次
なぜ子どもは勉強嫌いになってしまうのか
基本がわからない
まず、子どもが勉強しない理由としては、勉強の基本が分かっていないことが挙げられます。いわゆる読み書き算術というものですね。よく「はじめにつまずくとあとが辛い」と言いますよね?それと一緒で、勉強では基本がとても大切です。
特に、小学校1年生2年生で習う勉強というものは、高校受験・大学受験で問われる学習内容の基礎にもなっています。子どもが勉強を嫌がらないためにも、基礎基本学習の重要性を教えてあげてください。
勉強が楽しくない
次に、子どもが勉強しない理由としては、勉強自体が楽しく思えないということもあります。いわゆる「やらされてる感」を感じてしまうのです。子どもって、遊びやいたずらなどなら何かに夢中になると周りが見えなくなるほど集中することもありますよね?本来の子どもというのは、それだけやりこむことのできる才能があるはずなのです。
しかし、現実では勉強嫌いの子どもで溢れかえっています。つまり、世間には勉強を楽しいものだと思っていない子ども多いということでしょう。
必要性がわからない
次に、子どもが勉強しない理由としては、勉強の内容の必要性がわからないということも考えられます。「この勉強って将来役に立たないんでしょ」と感じてしまっているということです。確かに、微分積分や歴史の年号なんて役に立った経験がある人は少ないでしょう。ただ、建築家にとって微分積分は欠かせないものですし、学者にとって歴史の年号はとても重要なものです。
子どもには無限の可能性があります。その可能性を守るためにも、子どもにはその勉強が世の中のどんなことに役立つのかを教える必要があると思います。
目的がずれている
次に、子どもが勉強をしない理由としては、勉強する目的がずれてしまっているというのもあります。なんのために勉強しているのかがわかってないのです。勉強には、楽しさや達成感も魅力としてありますよね。しかし、現実に多くの子どもは「勉強しないと怒られる」ということで勉強しています。
これでは、親に勉強させられているだけで、自主性が全くありません。子どもが勉強自体を楽しく自主的に行えるよう、親が働きかけることが大切です。
他にやりたいことがある
最後に、子どもが勉強しない理由としては、他にやりたいことがあるという場合もあります。特殊な職業を目指すから、学校の勉強はいらないと思っているのです。子どもの頃から夢を持つというのはとてもいいことです。しかし、子どもの多くは夢の表にある華やかな部分しか知りません。
つまり、どの職業にも共通する基礎的な勉強の必要性にまで目がいかないのです。子どもが夢を持ったらただ応援するではなく、どうすれば実現出来るかまで一緒に考えてあげる必要があるでしょう。
警告!子供が勉強嫌いになる親のあるあるNG行動
「やりなさい!」と命令するのは全く無意味
まず、親から子どもに「やりなさい!」と命令するのは止めましょう。なぜなら、命令されればされるほど子どもはやる気をなくしてしまうからです。私たち大人だって、親から「やりなさい!」と言われて「これからやるつもりだったのに」とやる気をなくした経験はあると思います。では、私たちの親と同じことを繰り返して子どもに同じ思いをさせるのですか?
確かに、親として子どもが勉強しないと「やりなさい!」と命令したくなる気持ちもわかります。ただ、本当に子どものやる気を維持したいのなら、命令だけは止めることをおすすめします。
「成績が上がったら…買ってあげる」のやりすぎは受け身になる
次に、親から子どもに「成績が上がったら…買ってあげる」と提案するのを止めましょう。なぜなら、その行動は子どもの自主性を失わせるからです。私たち大人だって、周りから「これあげるからやっといて」と言われると、「次は何くれるんだろう?」と期待すると思います。確かに、子どもをもので釣るというのは、非常に簡単な手段です。
しかし、それでは子どもが何か見返りがないと動けない指示待ち状態に慣れてしまいます。子どもの自主性を伸ばしたいのなら、もので釣るというのは止めた方がいいでしょう。
子どもに言いつつ自分はダラダラでは説得力皆無
次に、親から子どもに「勉強しなさい!」と言いつつも、自分はダラダラしちゃうのは止めましょう。なぜなら、子どもは親の背中をよく見ているからです。私たち大人だって、勉強できない相手から「勉強しなさい!」と言われても「自分だってしてないじゃん」と納得できないと思います。では、同じように自分がしていないのに、子どもには勉強させるのですか?
なにも、子どもと一緒に算数や国語の勉強をする必要はありません。例えば、親が読書する習慣を付けるだけで、それに釣られて子どもも読書するようになるものですよ。
「…さん家の●●くんはもっとできるのに」は傷つける
最後に、親から子どもに「…さん家の●●くんはもっと出来るのに」などと言うのを止めましょう。なぜなら、このように言われた子どもはただただ悲しい気持ちになるだけだからです。私たち大人だって、自分の親から同じように言われ「自分はなんでダメなんだろう?」と悲しくなった経験があると思います。そんな時、「じゃあ頑張って●●くんになろう!」とはなりませんよね?
子どもというのは、一人ひとり進む方向も速さも違うものです。まずは一歩ずつ、自分の子どもが少しでも進んでいることを喜んであげてください。
子どもが勉強好きに育つ!親が取るべき行動とは
できたらとにかく褒める!
まず、子どもを勉強好きにするには、とにかく褒めるというのがおすすめです。なぜなら、子どもは親に褒められたくて何かを頑張ることが多いからです。子どもの頃、親から「上手!」と褒められたのが嬉しくて、何度も何度も繰り返したのを覚えていませんか?
親として、子どもの悪いところにばかり目につくのはしかないものです。それでも、子どものやる気を伸ばすために、まずはどんなことでもいいので褒めるところから始めてみましょう。
基本をきっちりする
次に、子どもを勉強好きにするには、基本をきっちりさせるというのもいいですよ。なぜなら、何事も基本学習がきっちりできていないと応用に発展できないからです。子どもというのは、どうしても基本を飛ばしがちです。何度も繰り返す基本というのは、子どもにとってそれだけ面倒臭いことなのでしょう。
だからこそ、基本については出来るまで親がそばについてあげてください。基本さえできていれば、子どもにとって勉強はそれほど難しいものではなくなりますよ。
親が子供にとって憧れの存在になる
次に、子どもを勉強好きにするには、親が憧れの存在になってください。なぜなら、親という目標があるだけで子どもはひたむきに努力出来るからです。子どもは、基本的に親のことが大好きで、なんでもできてなんでも知っているスーパーマンだと思っています。そんなスーパーマンが、もし口だけだったらがっかりですよね?
反対に、子どもからの質問になんでも答えられれば「やっぱりすごい!」と憧れの的です。だからこそ、子どもより先にまずは親が勉強するというのが大切です。
「こうするもの!」と決めつけない
次に、子どもを勉強好きにするには、「こうするもの!」と決めつけないことも大切です。なぜなら、決めつけてしまうとそれだけ視野が狭くなるからです。例えば、勉強は机に座って鉛筆を持ち、静かにするものと決めつけたとします。ただ、実際には歩きながらだって、内容を歌にして覚えるのだって可能です。
つまり、結果的にできるようになればどのような方法でもそれが正解ということです。決めつけるのではなく、その子にとってどのような勉強法がいいのか考えてみるのがいいかもしれませんね。
生活の中に勉強を盛り込む
最後に、子どもを勉強好きにするには、生活の中に勉強を取り込むのもおすすめです。なぜなら、私たちの日常は教材が溢れているからです。例えば、ケーキ1つ切り分けるのだって、分数や足し算、引き算などにつながります。また、日々の食材をじっくり観察してみるというのもいいと思います。
子どもは、私たち大人が考えつかないような素晴らしい発想を思いつくことがあります。日常から自然と考える力を養うことができれば、勉強をより好きになることができるでしょう。
子供の勉強嫌いを克服!学年別の勉強やる気スイッチ
小学校1年生、2年生のやる気スイッチ「褒める」
まず、小学校低学年は「すごい!」と褒めることが大切です。なぜなら、小学校低学年というのは、始めたばかりでまだまだ勉強を楽しいものだと思っているからです。
そんな時、親から「すごい!」「よくそんなこと知ってるね」と褒めてもらえればどうでしょうか?おそらく、もっと勉強したいとやる気がみなぎるはずです。
ちなみに、小学校低学年のまだ勉強の習慣がついていない子には、「1分間勉強法」というのがおすすめです。これは非常に簡単で、単純に1日1分間だけ必ず勉強するというものです。
この勉強法のポイントは毎日勉強する習慣を身につけるということにあります。毎日勉強する時間を作ることで、1分が5分に10分に30分にと徐々に増やすことができますよ。
筆者の体験談…小学校1年生を毎日褒めまくってみた
筆者が、学童保育所で指導員をしていた頃、小学校1年生の男の子を担当したことがありました。その子は、本当にただただ走り回るのが大好きで、学校の授業はもちろん宿題など勉強なんて全く興味がなく、集中力がありませんでした。
ただ、小学校1年生という大切な時期に、基本をおろそかにすると後が苦しくなってしまいます。そこで、筆者はその子に遊びに行く前に1問だけ問題を解かせるようにしました。
そして、解ける度に「すごいね!」「昨日よりも5分も早くなったよ!」「これなら先生も安心だ!」と誉め倒しました。すると、気をよくしたその子は、日数を重ねるごとに2問3問と自主的に解くようになりました。
筆者がその子を担当し、1年が過ぎる頃には毎日どの子よりも早く宿題を終えるほどになっていました。最初は1問でもいいのです、そこから勉強の楽しさに繋げることができれば、子どもは自然と伸びていくものですよ。
小学校3年生、4年生のやる気スイッチは「基本問題から復習」
小学校中学年になったら「こっちはどう?」と基本問題を解くよう提案するようにしましょう。なぜなら、小学校中学年は低学年の基本から少し難しい応用に入り、できないからと勉強嫌いに陥りやすい時期だからです。そんな時、忘れがちな基本を振り返る機会があればどうでしょうか?難しく思っていた応用も、基本を思い出すことで思っているより簡単に解くことができるはずです。また、成功体験を思い出すことも大切です。
ちなみに、もし子どもが問題を解くのに悩んでいるのなら、答えを解くのに使える基本問題を解かせてみるのがポイントです。直前に試した解き方ほど使いやすいものですから、難し問題もスラスラ解けて子どもの自信に繋がりますよ。
小学校5年生、6年生のやる気スイッチは「感心して褒める」
小学校高学年は「やるじゃない」と感心してみせるのがおすすめです。なぜなら、小学校高学年にもなると少しずつ自我が確立し、大人へと近づいてくるからです。
小学校高学年では、親から「すごいね」「頑張ってるね」と言われてもわざとらしく聞こえてしまいます。これでは、親から子ども扱いされていると思うかもしれません。
そんな時、親から「いつの間にそんな難しいことわかるようになったの?やるじゃない」と感心されたらどうでしょうか?子どもは、親に認められたと誇らしくなることでしょう。
子どもは、会話の中に話したい内容の単語が多くなる傾向にあります。その単語をうまく見つけだし、「それってどういうこと?」と聞いてあげるだけでも、子どものやる気スイッチはオンになりますよ。
中学生のやる気スイッチは「将来の夢からの逆算」
中学生は「将来なんになりたい?」と問いかけることが効果的です。なぜなら、中学生は自分のなりたい将来に向けて最初の一歩を踏み出す場でもあるからです。
ただ、多くの中学生は、漠然と勉強し偏差値の高い高校を目指します。「なぜ高校に行くのか?」という、その先の目標がないことが多いのです。
そんな時、親から「将来なんになりたい?」と問いかけられたらどうでしょうか?子どもなりに「自分は将来なんになるのだろう?」と考えることに繋がります。
もちろん、中学生でいきなり将来について決める必要はありません。それでも、ただ漠然と勉強するのと目標を持って勉強するのでは、やはり目標がある方がやる気に差が出てくるものです。
筆者の体験談…不登校の高校一年生と毎晩語り合ってみた
筆者が、児童相談所で指導員をしていた頃、高校1年生の男の子を担当したことがありました。その子は、すでに数ヶ月高校を休んでおり、もう進学を諦めていました。ただ、高校1年生というまだまだ将来について考える時間のある時に、進学をあきらめるのは非常にもったいないことです。そこで、筆者は毎晩のようにその子の部屋に行き、将来の夢やその夢を実現するには何が必要なのかを語り合いました。
当初、その子は「どうせ頭が良くないから無理でしょ」「どうせお金がないから無理でしょ」と何事にも否定的で、学習意欲がありませんでした。しかし、根気強く話すことで、本人から「頑張ろうかな」「チャレンジしてみたいな」と次第に前向きな発言が出るようになりました。
筆者がその子を担当し、半年が過ぎた頃には少しずつではありますが毎晩勉強するようになっていました。否定するのは簡単です。そこを、周りの大人が前向きに信じ続けられるかが、子どもが変わるきっかけに繋がるのだと思います。
親自身が家庭に仕事に努力を惜しまない姿を見せることが"示し"
この悩みを持つ親の多くは心配なあまり、子どもが勉強嫌いになる行動を取りがちだということが伝わったかと思います。親から少し対応を変えるだけで子どもが勉強好きになる可能性は十分にあるのです。
親は、どうしても子どもの将来が気になるものだと思います。だからこそ、子どもが勉強しないと「進学先が」「就職先が」と不安になるのでしょう。
ただ、よく考えてみてください。私たちの親が、「勉強したの?」「勉強しなさい!」といい続けた結果、私たちは「わかりました!」と真面目に勉強しましたか?
もちろん、そうやって勉強を頑張ることができた人もいると思います。しかし、残念なことにほとんどの子どもは「なんで勉強しないといけないの?」と反発してしまいます。
子どもの将来を心配するお父さんお母さんとしては、お子さんをどうにかして勉強させたいと考えることと思いますが、大切なのは「やらせる」のではなく「やりたい」と思わせることだと思います。
まずは私たち大人が学習意欲を持って日々勉強し、自己を成長させている姿を子どもに見せることから始めてみてください。英語、韓国語など語学を学んだり、何かスポーツにチャレンジしたり、何でも良いと思います。
子どもは親の姿を細かく観察しています。親が勉強熱心で、向上意欲が旺盛であればあるほど、子どもも自然と勉強熱心に育つものですよ。