【息子2人の療育経験】発達障害の特徴と訓練内容、早期開始が大切!
[公開日]2016/11/10[更新日]2017/03/29
自分の子供の発達は正常なのか、周りの子達との差はないのか…親ならば1度は悩むことがあるかもしれません。特に最近では「発達障害」の増加が目立っており、幼稚園や学校等の集団行動において、少し目立った行動をする子は「発達に問題があるのでは?」と見られがちです。
今回は4歳と2歳の息子を療育施設に通わせている筆者が、自身の体験談を元に療育について詳しく紹介していきたいと思います。
療育とは
療育とは障害のある子供が、日常生活への不自由をなくすために社会的自立を目指して取り組む治療と教育のことを言います。言葉や身体機能など発達に遅れがある子供が生活しやすいよう、外部からのサポートを受けることが出来ます。
療育は早期が効果的と言われており、早い段階で適切な治療と教育を受けることで適応障害のない状態で成長することが可能だと考えられています。
保育園との違いは?
こんにちは!「アンチエイジングの神様」管理人の安藤美和子です。保育園と療育。療育施設で子供達を指導しているのはほとんどが保育士なんですよ。その中に言語聴覚士や児童指導員、看護師などが数名いる場合が多いようです。
療育施設の先生も保育士さんなの?それならわざわざ療育施設に通わなくても保育園でいいのでは…??保育園と療育の違いはなんだろう?
まず保育園と療育では定義が違います。保育園は「家庭での保育に欠ける子供達をお預かりすること」が前提。つまり基本的生活習慣を身につける場でもあるんです。
療育の定義は「個々の状態に応じて、得意なところを伸ばし苦手なところを様々なアプローチを使って伸ばしていく」こと。つまり月齢にとらわれるのではなく、その子その子の成長に応じて訓練、練習する場なのです。
療育の定義は「個々の状態に応じて、得意なところを伸ばし苦手なところを様々なアプローチを使って伸ばしていく」こと。つまり月齢にとらわれるのではなく、その子その子の成長に応じて訓練、練習する場なのです。
なるほど。子供の1人1人の発達に合わせた生活習慣の練習をすることが出来るのが療育なんだね。
発達障害の種類や特徴
近年では発達障害または発達障害の可能性あり(グレーゾーン)という児童が増えているといいます。発達障害により「通級指導」を受けている小中学生はおよそ9万人。ここ20年あまりの間で7倍以上増えたとされています。ここでは増加傾向をたどる発達障害について、詳しく解説していきたいと思います。
発達障害の定義
発達障害とは、発達障害者支援法には「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。
出典:文部科学省
主な発達障害の定義
自閉症自閉症とは3歳くらいまでに現れ、他人との社会的関係の形成の困難、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く、特定のものにこだわりやすいといったことが特徴の行動障害です。中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると考えられています。
高機能自閉症
高機能自閉症とは3歳くらいまでに現れ、症状は自閉症とほぼ同じですが、知的発達の遅れを伴わないものを言います。中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると考えられています。
学習障害(LD)
学習障害とは基本的には知的発達に遅れがないものの、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する能力のうち、特定のものの習得や使用が困難を示す状態を指します。学習障害も中枢神経系に何らかの機能障害があると考えられています。
注意欠陥多動性障害(ADHD)
ADHDとは7歳以前に現れ、年齢または発達に不釣り合いな注意力、衝動性、多動性を特徴とする行動の障害です。社会的な活動や学業の機能に支障が及びやすくなります。中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると考えられています。
アスペルガー症候群
アスペルガー症候群とは知的発達の遅れを伴わず、自閉症の特徴のうち言葉の発達や遅れを伴わないものです。
色々なタイプがあるのね・・・。でも、療育に通えば発達障害を治すことができるんでしょ?
発達障害は、先天性の脳機能の障害になります。つまり病気ではありませんので「治る」ということはありません。しかし早期に適切な治療や訓練を受けることで健常児と変わらない生活を送ることが可能な場合もあります。
発達障害の特徴
広汎性発達障害
・自閉症・アスペルガー症候群
特徴(具体例)
・友人関係を上手に築けない、場に合った行動がとれない・人とのコミュニケーションが苦手
・自分だけのルールや、強いこだわりがある
・特定のもの(赤ちゃんの泣き声や雷の音、電子音など)への感覚過敏
・特定のもの(触られる感覚、衣服の素材、まぶしい光など)への感覚過敏
・ケガに気がつかないなど感覚が鈍感
学習障害
・読字障害・・・読みの困難・書字表出障害...書きの困難
・算数障害・・・算数、推論の困難
特徴(具体例)
・文章を読んでいるとどこを読んでいるのか分からなくなる・形態の似た文字「わ」「ね」や「シ」「ツ」などの理解が難しい
・誤字脱字や書き順の間違いが多い
・文字の形や大きさがバラバラ、ノートのマス目からはみ出す
・計算の繰り上げ、繰り下げができない
・簡単な数字や記号でも理解しにくい
注意欠陥・多動性障害
・不注意優勢型・多動性ー衝動性優勢型
・混合型
特徴(具体例)
・忘れ物が多い・やりかけのことでも、そのままほったらかしにする
・落ち着いてじっと座っていられない
・そわそわして体が動く
・順番が待てない
・気に触ることがあると乱暴になってしまう
・他の人の邪魔をしたり、さえぎって自分がやったりする
知的障害
特徴(具体例)
・言葉は理解出来ても会話が出来ない、質問にうまく答えられない・意思疎通がはかりにくいため友達と上手く遊べない
・衣服の着脱や食事に時間がかかり過ぎる
・学校の授業についていけない
発達障害は併発することもあり
発達障害は併発症状があることが多いとされています。例えばADHDとアスペルガー症候群、ADHDと学習障害、というように両方の診断を持っているという方も。発達障害はとても範囲が広く、なおかつ全てはっきりと区別出来るわけではないため、それぞれの障害の症状が重なる部分が出てくるのです。重症心身障害とは
重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態を重症心身障害といい、その状態にある子どもを重症心身障害児といいます。
さらに成人した重症心身障害児を含めて重症心身障害児(者)と呼ぶことに定めています。
特徴・障害状態
ほとんど寝たままで自力では起き上がれない状態が多い。
排泄を知らせることが出来ない、自分では始末が出来ない。
言語による理解・意思伝達が困難。
食事は自力では出来ない。誤嚥を起こしやすい。
筆者の体験談 療育に通うようになったきっかけ
筆者には4歳の長男、2歳の次男がいます。長男は妊娠34週、次男は妊娠32週と2人揃って早産で産まれてきました。現在長男は週に1度のグループ療育に、次男は月1回のグループ療育に参加しています。
2人が早産で無事に産まれた後は、身長体重が少し小さめなことくらいしか異常を感じていませんでしたし、ましては「発達障害」について考えたことなど1度もありませんでした。
長男が2歳になっても発語がなく、定型発達から遅れていることはもちろん気付いていました。しかし、私の姉と夫の弟が発語が3歳半だったらしく、そりゃあ両親の血筋に発語が遅れている者がいるんだから、おかしいことではない。それに男の子は言葉が遅いものだと疑ってかかりませんでした。
そんな時、小児科医から「言語リハビリ受けてみますか?」と言われました。正直気が進みません。それって「療育」のようなものだと思うと、自分の子供に発達の遅れというレッテルを貼ることに抵抗があったのです。「そうですね…じゃあ一応…」まぁ1回2回行ってみて、すぐに辞めればいいかな、そんな軽い気持ちで言語聴覚士による言語リハビリが始まりました。
そして言語リハビリが始まった2歳頃から、言葉の遅れと同じくらいの悩みの種となったのが、長男の「凶暴性」でした。
弟への乱暴が1番ひどかったですが、児童館や公園に長男を連れて行けば、おもちゃの取り合いになり、相手を叩く、蹴る。イライラしている時は何もしていない子にも突然叩くなど、本当に一瞬たりとも目が離せなくなりました。
その頃私は毎日毎日米つきバッタのように謝る日々でした。白い目を向けられることはもちろん日常的。「この子は発達障害かもしれない…」本格的に思うようになったのは、他の子では滅多に見られない、凶暴性からでした。
言葉が少ないことや落ち着きのなさなどから、3歳になって自閉症検査を受けましたが、異常なし。
その後は幼稚園年少に入ってから、言葉が劇的に増え、お友達とも上手に付き合えるようになり、叩いたり蹴ったりは一切なくなりました。
しかしホッとしたのも束の間。担任の先生と個人面談の機会があったのですが、落ち着きがない(じっと座っていられない)、自分の好きなこと以外は参加しようとしない、集団行動がとれない、先生の指示が聞けないなどの問題を指摘されました。「小学校入学に合わせるために、今のうちから療育を検討してみては?」先生のその言葉に、今まで踏み出せなかった「療育」への一歩を決めました。
療育を受ける前に、市がやっている発達検査を行うのですが、長男に1番当てはまりそうなADHDは4歳の今はまだ、判断が出来ないと言われました。ADHDは7歳を過ぎないと診断がくだされないそうなのです。診断名はくだらなかった長男ではありますが、幼稚園での落ち着きのない行動が気になっていたため、今後後悔するはめにはなりたくない!と療育に通うことを決めました。
療育の種類・方法
一口に療育と言ってもその種類は様々です。そしてもちろん療育の内容も様々。個々それぞれの発達や特徴に合わせて療育を行っていきます。
種類
作業療法身体や精神に障害のある人に手芸や工作などの作業で、日常生活動作や福祉用具の装着や使用などにおける身体の運動機能や脳機能の向上を目的とします。
音楽療法
音楽を聴いたり演奏することで心身の健康の回復・向上を目的とします。自閉症においては好きな音楽やメロディを聴いたり演奏することによってストレス発散やリラックス効果を望むことが出来、癇癪やパニックを静める効果が期待されます。
言語聴覚療法
言語機能や聴覚機能に障害がある人に対し「言語機能」「声の発生」「聴覚機能」「嚥下機能」「摂食訓練」などを行います。
認知行動療法
思っていること、感じていることに問題があった場合に、その理由を分析し改善や良い方向へ導きます。自閉症、アスペルガー症候群、ADHDの子供にも利用されることがあります。
参加方法
療育の方法は様々です。親子で参加する方法、親は参加せず別室に隔離される方法もありますし、障害児1人だけで行う場合と、集団で行う場合があります。療育内容は障害の程度で違ったり、施設によってもやり方は違います。一般的に療育は週に1〜2回通うことになり、内容は「食事」「身支度」「運動」「読み聞かせ」になります。しかしこの療育だけでは障害児の成長に十分とは言えないため、家庭での日々の療育がとても大切です。療育施設の専門科に療育方法や接し方を学んで家庭でも活かすようにしましょう。
我が家は長男は週に1回、子供達だけで療育を受けています。3〜6歳の子達で1クラス10人に対して保育士や言語聴覚士が4人。また、次男の場合はまだ2歳ということもあり、月1回親子一緒に2時間程度自由に遊びながら過ごしています。1クラス8人程度、保育士は2人です。
発達障害の特徴は人によって違う
ところで発達障害の症状の現れ方や特徴は、みんな一緒なのかな?
そんなことはありません。例えば自閉症と言えば、無表情だとか他人と目を合わさないといったことが1番有名な特徴かもしれませんが、よく笑いよく目が合う自閉症の子もいますし、2歳の頃のイヤイヤ期に癇癪がひどくてよく動き回る子がADHDを疑っていたら、幼稚園入園と共に落ち着いてきたり、言葉が出なくて心配していると3歳過ぎた頃一気に喋り出す子もいます。発達の過程はそれぞれ違いますし、それが個性なのか発達障害なのかとても難しいところなのです。
なるほど。だけど、発達障害の場合は赤ちゃんの時から何かしら特徴があるものなのかな?
いいえ、新生児の時点では分かりません。0歳頃の発達障害の症状には話しかけても反応しない、視線が合わないなどがありますが、それは発達障害ではない赤ちゃんにもよくあることです。2歳児の言葉の遅さや多動も、発達障害でなくてもよくあること。そのようなことから発達障害の見極めはとても難しく、医師によっても診断結果が違うことがあります。
発達障害かも?と思ったら
自分の子供に何か気になる症状を見つけると、親としてはとても気になってしまいます。不安を取り除こうとインターネットで調べていると、ますます不安になることも。気になることがあれば1人で悩まず、ぜひ専門の機関に相談したり、定期検診の時に保健師や医師に相談してみましょう。
1歳6ヶ月検診、3歳検診を受ける
この2つの検診では発達障害の疑いがないかを調べる目的もあります。重度の自閉症の場合は1歳6ヶ月検診で気付かれる場合が多いようです。また、3歳検診でも言葉が出ているか、社会への適応力、自我への確率などの発達が順調に進んでいるかを診てもらうことが出来ます。検診は必ず受けるようにしましょう。市町村保健センター
地域保健法に基づき、市区町村に設置される施設です。そこで臨床心理士による簡単な発達検査を受けて、その後医療機関への紹介などを行うことが多いようです。児童相談所
児童福祉法に基づき、都道府県および政令指定都市・中核市に設置されている施設です。育成相談や心身障害相談を行っています。子育て支援センター
厚生労働省の通達に基づく施設で、地域自治体が実施しています。育児不安などについて定期的に相談会を行っていたり、電話相談が可能な場合も多いです。療育訓練は診断がくだる前でも受けられる!
発達障害の診断がくだらなくても療育訓練を受けてみるのも一つの手
自閉症やADHDなどの正確な診断がくだれば、子供の今後の成長のためを思い療育に通わせる親が多いと思います。しかし、発達障害の診断は非常に難しいことから診断名がつかない場合も多々あります。筆者の息子も自閉症検査では異常なし、次に疑いのあるADHDについても傾向はあるものの、3歳では診断がつけられないと言われ、「お母様が気になるのならば、とりあえず月1回の療育でも受けてみますか?どうしますか?」と医師もどちらでもよさそうな雰囲気で筆者に勧めてきました。その時は「ああ、我が子は大したことないのかな」とホッとしたものです。
しかし、幼稚園では明らかに他の子よりも落ち着きがない様子です。また、買い物に出掛けた時もすぐに筆者の傍から離れ、走っていなくなってしまいます。やはり衝動性が強いことが私の中では不安でした。
このまま放っておいて大丈夫だろうか…?そんな思いで毎日悩んでいましたので、思い切って再度、福祉センターに電話をし、療育の回数を増やしたいことを申し出ました。そして週1回の療育に通わせることを決めたのです。
発達障害の診断が出ていなくても、明らかな育てにくさや周りと違う行動が目立つ場合は思い切って、療育施設に通ってみるのもいいかもしれません。療育は早ければ早いほど高い効果が得られると言われています。
特に診断がくだされていないのに、療育施設に通ったとしても、「発達障害」と認定されるわけではありません。
療育訓練で行われること
視覚支援を使った支援身辺自立の訓練
自立課題訓練
言語聴覚療法、作業療法、理学療法訓練
五感の体験
家族に対する教育や啓発
こうした訓練を集団で個別で、場合によって分けて行っていきます。
発達障害を持つ子は、耳から入る情報をキャッチしにくく、目から入る情報の方がキャッチしやすいという特性があるため、視覚支援なども行います。
また、言語の訓練や体を動かす訓練、水遊びや粉遊び、リトミックといった五感を使った体験も行われます。
療育訓練を受けるにあたって必要な手続き
療育訓練を受けるには、児童発達支援等の受給者証を取得する必要があります。地域の市役所の保健福祉課などで児童発達支援給付費等支給申請を行います。受給者証
自治体によって受給者証の名前や申請書の名前が異なる場合があります。小学生以上になると受給者証が「放課後等デイサービス受給者証」に変わります。これらの受給者証を取得すると療育訓練の費用の補助を受けることが出来ます。療育訓練には療育手帳(発達障害児のための障害者手帳)は必要ありません。
まとめ:療育は早期がおすすめ!
誰でも自分の子供の発達に異常があるとは認めたくありません。きっとそのうち落ち着くはず…症状が改善するはず…そう信じている方が多いと思います。また療育訓練を受けることで、障害を持っているというレッテルを貼られるような気がして、戸惑ってしまいますよね。もちろん筆者もその1人でした。
しかし、訓練の結果、順調に成長して健常児と同じように発達する子も大勢います。逆に訓練を受けられなかったことで、成長する過程で生きにくさを感じるようになるのは子供達です。
早期の療育は子供のコミュニケーション能力の開花に繋がりますし、育てにくさに悩んでいた親も子供の辛さに気付くことが出来、突然だと思っていた色々な行動の意味を理解することが出来ます。そして療育で得た知識を普段の生活や育児に活かすことも出来るのです。
悩んでいる人はぜひ勇気を出して1度診察を受けてみたり、療育訓練に実際に足を運んで見学してみることから始めてみてはいかがでしょうか。