【児童相談所職員が解説】言うこと聞かない子どもとの接し方/年齢別完全マニュアル
[公開日]2016/11/14
息子、娘が言うことを聞いてくれない!と悩むパパママは多いです。むしろ、そのことで悩まない親はほとんどいないでしょう。
筆者は児童相談所の職員でした。2歳から18歳まで、年間100人以上の子どもたちと接してきました。子どもたちがなかなか言うことを聞いてくれなかったのを覚えています。
児童相談所職員として、一時的な繋がりしかなかったにも関わらず、思い出すのはそんな「苦労」です。そんな子どもと四六時中一緒にいる親御さんは、育児について相当なご苦労があることと思います。
すぐに発達障害などの病気を心配される方もいらっしゃいますが、親の行動一つで意外と子どもの様子も変わってくるものなんですよ。
この記事では、育児に悩むパパママたちのために、筆者の経験をもとに言うことを聞いてくれない子どもとの接し方をご紹介します。皆様の育児ストレスが軽減するコツがわかりますよ。
【年齢別】言うことを聞かない子どもへの対策
うちの子、何でこんなに言うこと聞かないの?毎日毎日疲れちゃうなぁ・・・
こんにちは!「アンチエイジングの神様」管理人の安藤美和子です。子どもは親の想うようには動いてくれないわよね。実は、子どもとのコミュニケーションをとりやすくするコツがあるらしいの。年齢別の対策を読んでみましょう!
2歳(幼稚園前)・・・子どものペースに合わせて
まず、2歳頃の子どもに対しては、その子のペースに合わせて行動することを心掛けてみて下さい。この頃の子どもというのは、少しずつできることが増えてきて、親に手を出されるのが嫌な時期です。いわゆる「イヤイヤ期」ですね。
筆者自身、2歳の子どもの食事や着替え、寝かしつけなどを経験しましたが、全てその子たちのペースに合わせていました。なぜなら、結局のところそうした方が、子どもたちの機嫌が良くスムーズに進むからです。
親として、育児や家事など、早く済ませないことは多いと思います。ついつい、「早く!」と思ってしまうことでしょう。しかし、そこをぐっとこらえて、「ゆっくりでいいよ」くらいの気持ちで対応してみると、案外言うことを聞いてくれますよ。
3歳,4歳,5歳(幼稚園)・・・簡単な言葉でメリハリをつける
次に、3歳,4歳,5歳の子どもに対しては、簡単な言葉でメリハリをつけることを心掛けてみて下さい。
この頃の子どもは、幼稚園や保育園に通うようになり、他の子と多く接して急に大人びてきます。
筆者自身、3歳頃の子どもに対しては、できるだけ簡単な言い回しでわかりやすくゆっくりと話すよう意識していました。事実、そうした方が子どもたちは、筆者の話を良く聞き理解し行動することができていました。
親として、3歳頃の子どもはまだまだ赤ちゃんのように感じられると思います。しかし、実際には立派に自分の考えを持ち、主体的に親の話を聞こうとしています。まずは、その子が理解しやすいようゆっくり話すところから始めてみましょう。
6歳,7歳(小学校低学年)・・・自分でルールを決めさせる
次に、6歳〜7歳の子どもに対しては、自分でルールを決めさせることを心掛けてみて下さい。この頃の子どもというのは、小学校に入り、少しずつ社会のルールを学び始めます。
筆者自身、6歳頃の子どもに何か守らせる時は、「次からどうする?」と自分で考えさせるようにしていました。そして、そうして自分で決めたルールほど、子どもはしっかり守ることができていました。
親として、「こうするのが正しい!」「こうしなさい!」という気持ちはあるでしょう。しかし、子ども自身にも都合があります。まずは、子どもに意見を出させ、そこから話を進めていきましょう。その方が案外いい案は出てくるものですよ。
8歳,9歳(小学校中学年)・・・親子でじっくり話し合う
次に、8歳〜9歳の子どもに対しては、親子でじっくり話し合うことを心がけてみてください。この頃の子どもというのは、小学校生活にも慣れ、感情が深く成長してくる時期です。
筆者自身、8歳頃の子どもを叱る際には、「どうして?」と問いかけてじっくり話すようにしていました。そうすることで子どもたちは、自分の行動を振り返り、なぜ怒られているのか自分自身で見つけることができていました。
親として、「ダメでしょ!」と頭ごなしに叱りたくなる気持ちもわかります。しかし、子どもだって理由があって行動しています。まずは、親から問いかけることで、叱られている理由に気づかせてあげることが大切です。
10歳,11歳(小学校高学年)・・・子どもの行動をまずは尊重
次に、10歳〜11歳の子どもに対しては、その子の行動を尊重することを心がけましょう。この頃の子どもというのは、低学年のお兄さんお姉さんとしての自覚が芽生える時期です。
筆者自身、10歳頃の子どもたちに対して、あえて自由に行動させてみたことが何度もあります。実際、そうすることで、低学年の子たちの面倒を率先して見てくれるようになりました。
親としては、小学生というくくりでいつまでも低学年の子と同じような意識があるのだと思います。しかし、子どもたちは低学年中学年と様々な経験をして成長しています。基本は黙って見守り、どうしようもなくなった時にアドバイスするのがいいですよ。
12歳(中学生)・・・新しい生活と身体への戸惑い
最後に、12歳の子どもに対しては、常に理解を示すことを心掛けてください。この頃の子どもというのは、中学校という新しい環境と第二次性徴という身体の変化に戸惑う時期です。
筆者自身、12歳頃の子どもの悩み相談で、何度も夜中遅くまで語り合ったことがあります。そうして語り合った翌朝ほど、子どもたちはすっきりした表情を見せてくれました。
親として、子どもの悩みに対して、すぐに答えを出したくなる気持ちもわかります。しかし、子どもが求めているのは、自分の感情を吐き出す場です。親が「良き聞き手」となれれば、親子の信頼関係を築けた状態で、反抗期を迎えることができるようになります。
100%正解はない!手探りでその子の1番を考えよう!
ここでは、子どもに対する接し方について見てきました。親として、子どものためを思って常に正解を出してあげたくなるでしょう。
しかし、子育てに100%正解というものはないものです。なぜなら、子ども一人ひとり全く違う人格だからです。それなら、まずはその子にとって何が1番なのかを真剣に考えてみてはいかがでしょうか?
なるほどー…。私も思春期に「どうして分かってくれないの!」って、親に噛み付いたことあるな。12歳はもう大人だね。相談の対処法なんて、大人と共通するところもある気がする。
大人でも相談相手に簡単に答えを出されたら、「分かってくれてない」って思ったりするわよね…。さて、今の対処法を念頭に置いた上で「そもそも子どもはなぜ言うことを聞かないのか」を考えてみましょう。
子どもはなぜ言うことを聞かないの?
子どもの話を聞いていない
まず、子どもが言うことを聞かない理由としては、親が子どもの話を聞いていないことが考えられます。大人だって、相手に全く話を聞いてもらえなかったら、反対に相手の話を聞く気が無くなりますよね?筆者自身、ある小学5年生の男の子がケンカばかりすることに対して、延々と叱ったことがありましたが、いつまでたってもその子の行動は改善しませんでした。後からよくよく思い返してみると、その子の言い分を全く聞かずに「ダメ!」ということばかり言い聞かせていたのに気付きました。
親として、子どもを正しく教育しなければという気持ちがあるのはわかります。しかし、子どもにだって感情があり、考えがあるものです。親として、人生の先輩として、まずは子どもの話をよく聞くことから始めてみましょう。
真剣な態度で聞いていない
次に、子どもが言うことを聞かない理由としては、親が子どもの話を真剣に聞いていないことも考えられます。大人だって、相手が真剣に対応していなかったら気分が悪いですよね?筆者自身、他の子どもの対応で忙しく、話しかけてくる子ども全員に対して真剣に向き合えなかったことが何度もあります。そして、そういうときに限って、話を聞いてもらえなかった子どもは筆者の言うことを聞かなくなったものです
親として、子育てに家事、仕事と大忙しの毎日だと思います。時には、何か別のことを考えながら子どもと接することもあるでしょう。
ただ、本当に言うことを聞いてもらいたいのなら、少し手を止めてでも真剣にその子の話を聞いてあげることが大切です。
子どもへの態度が一貫していない
次に、子どもが言うことを聞かない理由としては、親の態度が一貫していないということも考えられます。大人だって、コロコロ態度や発言が変わる相手のことをどう信用したらいいのか困りますよね?筆者自身、2歳3歳の小さな子どもに対してきつく叱った後、「さっきは怒りすぎた。ごめんね」と謝ってしまったことがあります。そして、そう言ってしまった時に限って、その子は叱られる原因になったことを繰り返していました。
子どもというのは、親や大人の態度によって何が良くて悪いのかを判断しています。子どもを混乱させてしまわないためにも、叱る時と褒める時の態度ははっきりとさせた方がいいでしょう。
子どもにただただ大きな声
次に、子どもが言うことを聞かない理由としては、ただひたすらに大きな声で叱っていることも考えられます。大人だって、周りからただただ大きな声で怒鳴られても、正直なところ何を言っているのか内容が入ってこないですよね?筆者自身、集団行動を大きく乱していた小学校4年生の女の子に対して、「なんでいつもそういうことするんや!」と怒鳴ったことがあります。結局、その子は筆者に対しいて「うちの勝手やろ!」と言い返し、筆者とその子で言い合いになり話は進みませんでした。
もちろん、親だって感情的になることはあります。しかし、子どもが感情的になっている時に親まで感情的になる必要はありません。まずは親から冷静になり、子どもを落ち着かせることが先決です。
子どもを褒めようとしない
次に、子どもが言うことを聞かない理由としては、褒めることをしないことも考えられます。大人だって、周りから一切褒められないというのでは、何が正解なのか迷ってしまいますよね?筆者自身、時間の守れない小学校1年生の男の子に対して、「ああしなさい」「こうしなさい」と叱ることばかりしていました。そして、その男の子は筆者の言うことを聞かず、常に機嫌が悪かったのを覚えています。
親として叱るということは、少しでもその子がいい子になるよう願ってのことだとは思います。ただ、子どもは親に褒めてもらいたいものです。
まずは、どんな些細なことでもいいので「よくできたね」「すごいね!」と褒めることをおすすめします。
プレゼント攻撃ばかりしている
次に、子どもが言うことを聞かない理由としては、プレゼント攻撃をしていることも考えられます。大人だって、家族から「1万円挙げるから料理しといて」と言われたら、嬉しいかもしれませんが、次回からも期待しますよね?筆者自身、子どもたちに対して「これしたら、テレビ観ていいよ」「これ終わったら、ゲームしていいよ」とプレゼント攻撃を使っていたことがあります。ただ、その子たちは、何か自分に物理的なメリットがないと行動しなくなってしまいました。
親として、子どもに言うことを聞かせるためにおやつやゲームで釣りたくなる気持ちはわかります。
ただ、それでは子どもはおやつやゲームを目的にした時にしか親の言うことを聞かなくなり、打算的な人間に成長するかもしれません。
そうならないためにも、親はきちんとなぜやった方がいいのか、「やることのメリット」をきちんと説明して分かってもらいましょう。
親がプレゼントするのはモノではなく愛情です。
やみくもに「がんばれ」と言うだけ
最後に、子どもが言うことを聞かない理由としては、具体的なサポートもなしにただ「がんばれ」とだけ言っていることも考えられます。大人だって、周りから「がんばれ、がんばれ」と言われたら、「頑張ってるよ!」と言い返したくなりますよね?筆者自身、一輪車にうまく乗れない女の子に対して、「がんばれ!」「練習したらできる!」とだけ言っていたことがあります。当然、その子は一輪車に乗れないまま、やる気をなくして諦めてしまいました。
親として、子どもにどう声をかけてあげればいいのかわからないものでしょう。
ただ、子どもは常に頑張っています。まずはそのことを理解し、どうすればより良くなるのかを一緒に考えてあげるのがいいかもしれませんね。
子どものことを第一に考えているかどうかは子どもはよく見ている!
ここでは、子どもが言うことを聞かない理由について、筆者の経験から紹介しました。様々な原因がありましたが、一貫して言えるのは「子どもは大人のことを良く見ている」ということです。大人が真剣に向き合っているのかどうか、子どもにはお見通しです。もし、「なんだか言うことを聞いてくれない」と悩んでいるのなら、まずは真剣にその子に向き合えているか、自分自身を振り返ってみてはいかがでしょうか?
心当たりあることだらけだ…。正直子どもだからって、甘く見てる部分があるな。子どもはよく見てるね。
そうね。どうしても親は子どもを生まれた頃から知ってるから、いつまでも子どものつもりでいるけど。子どもはすくすく成長していて賢くなっているってことなのよね。
育児のストレスとどう付き合う?
さて、育児をしていると、もうどうにもならないくらい疲れてしまって発狂してしまいたくなったり、もう育児を投げ出したいと思ってしまうこともあるかもしれません。
この辛い育児ストレスの負のサイクルから脱却する方法として、試していただきたいことを紹介します。
疲れたらまずは深呼吸
まず、育児に疲れたら深呼吸するのがおすすめです。なぜなら、深呼吸は人を落ち着かせる効果があるからです。
筆者自身、子どもの対応に疲れたら大きく深呼吸してから話すようにしていました。
深呼吸を挟むことで、感情のままに怒るのではなく、理性的に叱ることができますよ。
子どもは親の涙に意外と弱い
次に、育児に疲れたら泣き出すというのも1つの手です。なぜなら、子どもは親の涙に意外と弱いからです。筆者自身、あまりにも子どもが言うことを聞かないと、「なんで聞いてくれないの?」と号泣したことがあります。意外と「先生ごめん」「泣かないで」と子どもが急に優しくしてくれるようになりますよ。
自分の時間を持つ
次に、育児に疲れたら自分の時間を持つというのもおすすめです。なぜなら、親だって一人の人間として過ごす時間が必要だからです。筆者自身、子どもの対応に疲れたら、趣味の読書や旅行を楽しむようにしていました。夫や妻、親など周りに子どもを預け、一人ゆっくり過ごしてみると心に余裕が生まれますよ。
叩いてしまったら・・・素直に謝る
次に、育児に疲れて思わず子どもを叩いてしまったら、素直に謝ることをおすすめします。なぜなら、親として子どもに対して、「悪いことをしたら謝る」と教えているからです。筆者自身、子どもを傷つけたと感じたら素直に「ごめんね」と謝っていました。親から素直な姿勢を見せることで子どもも素直になれるので、自然とストレスも減りますよ。
時には感情的になることも大事!
最後に、育児に疲れたら感情的になることも大切です。なぜなら、親だって人間として感情が常にあるからです。筆者自身、子どもと接する時は、少しオーバーなくらい喜怒哀楽を表現していました。あまり自分の感情を押し込めない方が、育児で無理することもなくなりますよ。
親子以前に人と人。自分も大切にできて初めて子どもを大切にできる!
ここでは、主に育児ストレスの解消法について見てきました。様々な方法が有りますが、まずは自分自身を大切にすることが肝心です。誰だって、自分に余裕があるからこそ周りに優しくなれるものです。まずは、親としてではなく、一人の人間として自分を大切にしてみてはいかがでしょうか?
一生懸命な親を心から嫌いになる子はいない
誰だって子育ては初心者です。まして、自分の子どもとなると、その子の人生がかかっているわけですから敏感になって当たり前だと思います。
ただ、筆者がこれまで経験してきた中でこれだけは言えるのは、子どもはどんな状況であっても、心から親を嫌いになることはないということです。むしろ、どんなに憎まれ口を叩いたって、子どもは親が大好きなのです。
なので、親として「どうすればいいの?」とどんどん育児について悩んでみてください。なぜなら、子どもたちは親の背中を常に見ているからです。
育児に100%の正解はないものです。
親として失敗し後悔することもあるでしょう。「一緒に成長していけばいい」くらいの気持ちでいた方が、親子としてより良い関係を築くことができますよ。