どっちが買い?元メーカー員が浄水器とウォーターサーバーの違いを解説
[公開日]2016/09/02[更新日]2018/07/24

ウォーターサーバーと浄水器のどちらが良いのか・・・迷ってらっしゃいませんか?
筆者は飲料水メーカーで5年間にわたり、水質分析官として、様々なご家庭の浄水器の水質を分析する仕事をしておりました。
そうした経験を生かし、この記事では一般の方が見落としがちなポイントもお伝えしつつ、浄水器とウォーターサーバーを比較し、解説します。
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飲料水メーカーにて水質分析官として勤務後、アンチエイジングの神様にて健康ジャンルの企画編集を担当。
浄水器とウォーターサーバーはどちらが良いのか
浄水器とウォーターサーバーを比較した時にポイントとなるのは「コスト」「水質」です。この2点で比較して、解説します。
ウォーターサーバーでは月に¥5,300~はかかってしまうので、コストでは浄水器に太刀打ちできません。
実際に飲んで実感できるおいしさですし、水質も常に成分表示をみれば一目瞭然。これはウォーターサーバーの魅力の一つでしょう。
これらのポイントをまとめると、この図のようになります。

安さ最優先なら浄水器、おいしさと利便性ならウォーターサーバー
どうしてもコストを優先される方は「メンテナンスを怠らない」という絶対条件付きでありますが、浄水器一択だと思います。浄水器にもメンテナンスを業者が行うレンタルサービスなど様々な種類のものがあります。なんとなく選ぶのではなく、後々のメンテナンスのことまでしっかり考えて購入してください。
また、各製品の取扱説明書にはメンテナンス方法が細かく記載しておりますので、必ず精読して使用してくださいね。
ただ、それでも浄水器のメンテナンスを完璧にやるのはなかなか大変で、水の違いも分かりにくいです。「安心して水を飲みたい」と心から願っている方には、ウォーターサーバーの方が費用はかかりますが安心です。
地震など天災があったとき、断水が起きます。断水が起きてしまった時、浄水器は無力です。水道水が出なければ、浄水器は全く活躍する機会がありません。
しかし、ウォーターサーバーなら水の蓄えが自然とできます。
断水に備え、3日分ほど多めにストックするようにすれば、常に水を利用しながら、新鮮な水を備蓄しておくことが可能となるのです。
通常、ペットボトルの水を備蓄するとこうはいきません。非常用にとっておくので、いざという時には賞味期限が切れていたりするものです。
停電等で温冷機能は使えないかもしれませんが、飲料水の現物があることが大切です。断水時にも新鮮な水が手にはいる備えができるのは、宅配水ならではの魅力です。
浄水器と比較してもおすすめのウォーターサーバー2選
ウォーターサーバーで提供される水には2種類あり、天然水を提供するものとRO水を提供するものとがあります。
天然水を提供するものは価格が高く、コストの低い浄水器と比較するには向きませんので、今回はRO水のウォーターサーバーについて調査をしました。

無料配達地域が本州だけです。北海道や四国、九州は1箱当たり¥459の有料配達地域となるので、よく確認しておきましょう。
硬度1mg/lの限りなく純粋に近いピュアウォーターがご自宅に届きます。ホームセンターや家電量販店で販売されている一般の浄水器でこれほどの純度の水を製造することは不可能です。
無料配達地域であれば、不在時でも受け取れるのも魅力です。
北アルプスの天然水をNASAも採用するRO膜でろ過した純水アルピナウォーター / トーエルウォーターサーバ:選べる12Lボトル948円/8Lボトル686円
2年に一度、無料でサーバーまるごと交換
硬度1mg/Lの純水なので赤ちゃんやペットOK
クリクラはアルピナと同じく、配送エリア内なら不在時でも受け取ることが可能です。
「HEPAフィルター」という外気の雑菌からサーバー内を守るフィルターが付いており、サーバー内を衛生的に保てることも魅力です。
サーバー代無料でメンテナンス費込みでも非常にオトククリクラ / CreClaウォーターサーバ:サーバー代無料でメンテナンス費入れても非常に安価
逆浸透膜(RO膜)システムで微小化学物質も除去
無料お試しキャンペーン有り
安いものから高いものまで!種類別の浄水器の特徴
「浄水器」とざっくり言っても、値段もピンキリ。様々な種類があります。各メーカー、様々な種類の浄水器を販売しています。浄水器は、大きなタイプ別で5つの種類に分けられます。
一番人気なのは手軽に設置できる「蛇口直結型」
タイプ別に浄水器のシェアを見てみると、「蛇口直結型」がダントツで浄水器協会の統計データから見てみると、浄水器全体の約37%のシェアを獲得しています。ホームセンターなどで手軽に手に入りますし、浄水器と言われてパッと思いつくのはこのタイプではないでしょうか。
次に多いのは「据え置き型」です。こちらも家電量販店等で、見かけたことがあるのではないでしょうか。「蛇口直結型」よりも少々値段が高めですが、浄水性能の高さから人気です。
「水栓一体型」や「ビルトイン型」は、設置に専門の技術者が必要です。そういった事情もあって、これらのタイプはよくマンションなどで最初から備え付けられているケースを目にします。これらのタイプは価格も高いですし、維持にも費用がかかります。もしご自宅にこのタイプがあったら、きちんとメンテナンスをして使うようにしてくださいね。
また「ポット型」は、多量には使いづらいので炊事等で使用するには適しません。職場に個人用で置いたり、飲み水として使用するだけなら便利でしょうね。
浄水器は決して「つければ安心」ではない
浄水器は一般消費者の誤解を招いているポイントがいくつかあるので、その誤解ポイントを中心に解説します。
浄水器はどんな不純物も取り除くわけではない
浄水器は万能ではありません。正しく活用しても、除去できるものとできないものがあります。除去性能については浄水器のタイプではなく、内蔵されているフィルターのタイプで検証しなければなりません。各フィルターの性能は下記の通りです。
浄水器のパッケージには、とにかくとれる物質がたくさん書かれています。カートリッジを交換した初期だけはとれるといったものも、大々的にとれると謳われているわけです。
だから、パッケージだけ見てもよくわからないですよね。本当はとれない物質がたくさんあります。
「ミネラルだけを残す」って、本当?
最近、よくこんな文言を見かけませんか?必要なミネラルを残し、有害物質は除去





言うまでもありませんが、こんなことはありえません。
「身体に必要なミネラルを残す」というと聞こえが良いですが、それはつまり「ミネラルの分子以下のサイズの物質は除去できません」ということです。

浄水器にはいろいろ書かれてありますが、有害だろうが無害だろうがとにかく膜の孔(あな)より小さい物質は通過し、膜の孔より大きな物質は除去できるということです。単純明快です。


本気で不純物を除去するなら、逆浸透(RO)膜しかない
市販の浄水器では、不純物を完全に取り除くことができません。本気で取り除きたいと思ったら、水の分子以外は通さないようにできている逆浸透膜のフィルターが使われた浄水器を使用するほかありません。

しかし、逆浸透膜の浄水器は非常に高価ですし、設置に工事が必要だったり、メンテナンスも多額の費用が必要です。
浄水器は何のためにつけるものですか?
浄水器を設置している人に浄水器の設置理由を尋ねたアンケートがあります。その結果を見てみましょう。
浄水器設置理由(複数回答可)
1位 おいしい水を飲みたいから 51.3%
2位 安全な水を飲みたいから 40.3%
3位 安心して飲みたいから 38.5%
4位 水道水が不安だから 32.6% ...その他続く
出典:浄水器協会「浄水器普及率調査(2015)」
では、どうして水道水では「おいしくない」と思う人が多いのでしょうか?その理由は、水道水に含まれている「塩素」にあります。
塩素の「カルキ臭」などと呼ばれる雑臭を消しさえすれば、水はかなりおいしくなります。塩素臭は活性炭で十分に除去可能です。
水質分析官としての見解を言わせてもらえれば、浄水器で不純物が完全にとれたわけではないのに「おいしくなった」と感じるのは、活性炭によって塩素が除去されたから結論付けても良いと思います。
塩素除去なら、浄水器よりレモン!?
お湯を沸かしても塩素は飛びます。まあ、温かい飲み物などはそれで良いでしょうが、湯冷ましの水を飲むのはあまりおいしくないですよね。これも理由があって、水は中に酸素が溶け込んでいる(溶存酸素といいます)方が爽やかに感じられておいしいです。沸騰させてしまうと、溶存酸素が抜け、爽やかさがなくなり、おいしくなくなってしまいます。
この溶存酸素を守った美味しい水が飲める良い方法が、水道水にレモンを投入する方法です。各水道局のホームページにも掲載されている有名な方法です。
水道水をもっとおいしく飲むには
冷やす・・・冷蔵庫に入れたり、氷を入れて冷やしてください。水温10度~15度の時が最もおいしく感じられます
沸かす・・・水を沸騰させてください。沸騰させることで、塩素を取り除くことができます。
レモン果汁を入れる・・・コップ1杯に1,2滴程度でOKです。レモン果汁に含まれるビタミンCが、塩素をなくします。
出典:福岡市水道局HP
放置した浄水器でも付けないよりはマシなのか?


そうです。浄水器はメンテナンスをしないと、逆に水を汚す装置になってしまいます。
浄水器は中のフィルターに汚れを吸着させて、水を綺麗にします。フィルターに汚れが吸着されすぎると、水の汚れは取れなくなります。
そのまま交換しないと、フィルターに吸着した汚染物質が放出され始めます。これは大変ですよね。
水質分析官として、各ご家庭の浄水器の水を分析しましたが、浄水器をつけた水の方が不純物の量がかえって多くなってしまっているご家庭が多かったです。必ずフィルター交換を欠かさずやるようにしましょう。
また、活性炭で塩素を除去した水を出すので、蛇口にカビが発生しやすいです。
歯ブラシで洗浄する必要があるのですが、菌がついた使い古しの歯ブラシでは無意味です。
浄水器を洗浄するために新品の歯ブラシを買って、定期的に掃除をする必要があります。
浄水器をつけても、メンテナンスを怠ると、元の水道水の方がよっぽど安全です。しかし、この浄水器のメンテナンスを完璧にやっているという方は、水質分析官をやっていた間でも、ほとんどお会いしたことはありませんでした。
浄水器のメンテナンスは面倒臭くて、続かない方が多いです。こうした現状から、このように書いてある本もあります。
もし手入れが面倒だったり、取り付けただけで満足して適切な使い方をしないのなら、「そもそも浄水器を使用しない」という選択肢のほうがよっぽど賢いといえる。
出典:「ゼロから理解する水の基本」千賀裕太郎 誠文堂新光社

安全性・美味しさ重視なら浄水器よりもウォーターサーバー
浄水器は決して入れれば安心というものではありません。ウォーターサーバーは日頃のお手入れは必要ですが、宅配される水は安全面には徹底して品質管理された水が届くという利点があります。
水は生きるために、家族全員が毎日必要とするものです。だからこそ、水選びは重要です。水が変われば暮らしが変わります。後悔しない水選びができれば、生活がより豊かなものになります。
この記事を読んでくださった皆様が良いウォーターサーバー、良い浄水器を選ばれることを心より祈っております。