両親を老人ホームに入れるのは悪なのか?現役介護士がみた自宅介護の厳しい現実

[公開日]2016/09/27[更新日]2016/10/01

在宅介護TOP 両親、または家族を介護するにあたって『今まで世話になった親を老人ホームに入れるなんて!』『自宅で介護したほうがいいに決まってる』と、いう声があります。

ですが、現実には介護疲れから殺人事件に発展してしまったケースや、自宅介護だからこそ起きてしまった事故なども多く報告されています。

今回は現役の介護士(ヘルパー)だからこそわかる「自宅介護の厳しさや難点」と、実際にあった自宅介護の体験談を交えて、老人ホームを選択するという意味についてお伝えしていきたいと思います。

自宅介護できるかどうかは、要介護度や症状によって介護の必要度が変わる


介護される人の要介護度(どれほど介護・介助が必要かの度合い)によっては、仕事をしながら・子供を見ながらではお世話が難しい場合があります。

市区町村で認可される「要介護度」で見ていくと、介護の必要度合いは「要支援~要介護度5」までおよそ6段階(地域によって要支援が1・2に分かれた7段階)に分かれています。
要介護度例
要支援の場合は、支援される本人も手伝いを必要とせず、自宅内をバリアフリーにするなどして生活される方も多くいます。対して、要介護認定を受ける人は自力での日常生活が困難ということがほとんどです。そんな時、家族が24時間対応できるか、あるいは老人ホームにお願いするのか、一時的な介護サービスを受けるのかを考える必要が出てきます。

現役介護士としては、要介護度1で認知症がない家族の介護は、一人のときに転倒してしまったりする可能性があるため、誰かが常に自宅にいるなら可能だと考えます。要介護度2以上になると、身的負担が増えるので、仕事しながらの介護は難しくなります。

老人ホームに入所している人の声・預けている家族の声

実際に老人ホームを利用している家族の本音を聞いてみました。
老人ホームに実際入所している人の声
老人ホームに入って感じるメリット
・家族に気を使わなくなって気が楽になった
・家にいても何もできないし、話し相手もいないから老人ホームにきてよかった
・お金はかかるけど、家族の働く時間や休む時間を奪われずに済んでいる
老人ホームに入って感じるデメリット
・集団生活なので、自分のペースで生活はできない
・ナースコールやトイレのときに待たされてしまうことがある
・家族に会える時間が限られる
老人ホームに家族を預けている人の声
預けて感じるメリット
・24時間誰かが見ていてくれるから安心
・病気やケガがあってもすぐ対応してもらえるから助かる
・老人ホームでの暮らしで前より明るくなったみたいでよかった
・イベントなども行ってくれるので、家ではしてあげられないことをしてもらえる
預けて感じるデメリット
・見守りしているはずなのにケガをしているときがある
・介護施設の事件などがあったので家族が心配になる

預ける側の声に多かったものとして、24時間誰かが家族を見ていてくれる安心感が大きいということです。預けられる側としても同じようで、具合が悪いときや何かあったときにすぐ対応してもらえる安心感が大きいようです。

ただし、集団生活の中でスタッフの人数も限られているため、すべての人が満足いくような生活をおくっているというわけではありません。実際、ニュースでも取り上げられているとおり、介護人員の減少は問題となっており、夜勤を50人の利用者に対して2名で行っていたりと手が回りきらない現実もあります。

老人ホームの利用を考えることになった場合には、利用者の人数に対応するスタッフの人数に注目してみるというのが大きなポイントとなります。

こんにちは!「アンチエイジングの神様」管理人の安藤美和子です。
介護が必要になったら、老人ホームという選択肢だけではなく、デイサービス(日帰り介護)や訪問介護の利用も検討すると、自分たちの生活にあった介護方法が見つかりやすいよ。

そっか、絶対老人ホームしかないってわけじゃないんだ。「お風呂に入るときだけ」「家族が仕事の間だけ」っていう選択肢もあるんだね!


3つのケースから見る『自宅介護の限界』精神的負担と体力問題


在宅介護するにあたってどんなことが起こりうるのか。実際に起こった3つの例をもとにみてみましょう。

ケース1:自宅で半身麻痺の祖父を介護した例

自宅介護ケース1 夫・妻・子・祖父の4人家族で、脳梗塞から右半身麻痺になった祖父を自宅介護したケース。もともと一人暮らしで要支援すらついていない健康体の祖父でしたが、右半身が完全に動かない状態になり、介護度2が認定されました。

妻が祖父を自宅で見ることになりましたが、祖父は妻に気を使って一人でトイレに行こうとして動いてしまうので転倒したり、いつの間にか出かけようとして服を着ようとして転倒したりと生傷が絶えませんでした。本人は迷惑をかけたくない一心でやっているのですが、逆に気を遣う展開になり一時家庭内がギスギスとした雰囲気に。

と、いうのも妻は妻で自宅で仕事をしたり子供の面倒を見ていたり、家事をしたりと忙しいのに余計な手間を増やして!とイライラしてしまうのです。夫は仕事なので相談もできず、子供はまだ小さいので保育園にも行けない。祖父は迷惑をかけたくないのにかけてしまう。と、妻も滅入ってしまいました。

ある日、祖父が一人でお風呂に入ろうとして転倒し、鎖骨を骨折する大けがを負ってしまいました。妻は「自分が見ていなかったせいだ」と自分自身を責め、祖父は「勝手にやろうとしたせいだ」と、お互いに滅入ってしまい、家族仲も悪化していきました。そして、妻と祖父は互いのメンタル的に限界が来てしまい、祖父は老人ホームでお世話になることになりました。

老人ホームに祖父を預けたことで、妻のメンタルは回復し、家庭内も落ち着きを取り戻しました。祖父も老人ホームで過ごすことで「家族に気を使わないで済む。」と、穏やかに生活ができるようになりました。

ケース2:認知症の母がいない!?徘徊で危うく事故を起こす寸前だった例

自宅介護ケース2 母子が共に暮らしていた家庭で、母がアルツハイマー型認知症を発症。息子が一人で面倒を見ることになったのですが、息子には仕事があり、常に母を見ることが難しい状況でした。

そこで、息子は昼間は母をデイケアセンターに預け、夕方に迎えに行くという生活を送るようになりました。ある日、母を迎えに行き、いつも通りご飯や洗濯などの準備をして少し目を離した隙に、母が外へ出てしまっていました。しかも自分の車もありません。

あわてて探しに行ったところ、近くの側溝に自分の車がはまっているのを発見。車内には母親もいました。ほんの一瞬目を離しただけで認知症の母が危うく大事故を起こすことになりかねなかったのです。

その後、突然夜中に目覚めて家の外を徘徊するということが起こるようになり、24時間誰かが見ていないと危険と考えた息子は結果的に老人ホームに母を預けることを決意しました。

結果、息子は自分の生活リズムを取り戻し、心身の負担がなくなったことで仕事や趣味に打ち込む時間の確保ができるようになりました。母も24時間対応してもらうことで少しずつ昼夜の生活リズムがつくようになっていきました。

認知症の症状に注意
・物忘れ(人も忘れる)
・勘違い(他人の物を自分の物と思い込む等)
・昼夜逆転
・長(あるいは短)時間睡眠
・食事量の増減(食べたのに食べてない、またはその逆)

ケース3:自宅介護が苦になり、事件に発展してしまった例

2006年に大きなニュースになった「介護殺人」内容は、80代の母を介護する息子が母を殺してしまったという事件です。このような事件が起こった理由は「母を預ける先がなく、仕事を辞めて自宅介護をしていて金銭的余裕がないのにも関わらず生活保護(生活支援)を受けることができなかった」ため、息子の精神的ストレスや生活への不安などから起こってしまった悲しい事件として話題になりました。

これに少し似た事件では70代と80代の老夫婦で、妻が夫を介護していて無理心中をしてしまった事件です。両親を自宅介護していていた娘が両親の願いを聞いて無理心中を手伝い、殺人罪に問われました。

これらの介護殺人は分かっているだけで1998年~2012年の14年間で550件が発生し、558人が亡くなっています。これらの事件に共通するのはほとんどが「自宅介護」であったということです。
毎年こんな事件が起きているんだね・・・。何とかならなかったのかな・・・。
このような事件の原因は、介護サービス支援などの認知度の低さにもあるし、お役所仕事でなあなあにしてしまっているのが悪いとも言われているの。もし、家族で介護が必要になった人がいた場合は、まず市区町村役場の介護課や保険課で相談することね。次に近くの介護施設でどのような支援やサービスを受けることができるかの確認をすると、先が見えやすいわ。


介護士が教える自宅介護のリアルな厳しさ


現役介護士である筆者が在宅ケアした経験や介護施設に入所している人の家族の声から『コレはきつい・・・。』と、いう点を紹介していきます。

元気な姿を知っているからこそ精神的に来る
健康で元気だった時代を知っているからこそ、介護が必要になってしまった姿を見てつらいと感じることがあります。最初の頃は「昔お世話になった恩返し」という気持ちもあるのですが、長く介護を続けていると少しずつ体も心も疲れてきてしまうのです。

認知症は24時間365日気が抜けない
認知症を発症すると、物忘れや記憶の行き違いが多くみられるのですが、ひどいときは家族の顔すら忘れます。なので「ドロボー!!」と怒鳴られて殴られたり、自宅なのに自宅じゃないと勘違いして外に出て迷子になります。場合によっては、事故を起こすなどの大事件に発展することがあります。

また、認知症の人に多く見られる症状の1つとして「夜寝ない」というものもあります。寝ない時間は家の中をうろうろしたり、無意味にコンロの火をつけたり、水を出しっぱなしにすることがあります。オムツを使用している場合は、オムツを脱いでしまって、家中を汚してしまうということも・・・。寝る時間もかなり短時間になったり、長時間になったりと一定しないので、介護する家族が寝る時間の確保ができずに参ってしまいます。

風呂・トイレ介助は介護する側の体の負担が大きい
半身まひや下半身が不自由になって介護が必要になると、一人でお風呂に入ったりトイレに行ったりはできなくなります。このとき、家族が服を脱がせたり、抱えてお風呂に入れる必要が出ます。しかし、人ひとりの全体重を支えながら服の脱着や移動を支えるのは、介護する側の体への負担がかなり大きくなります。

体が小さい人や力がない人には難しく、介護する側が腰などを痛めてしまうこともよくあります。自宅での介護は、お世話の延長ではなく、専門知識や移動介護のコツをしっかり身に着ける必要があります。

老人ホーム3つの役割 / 介護施設は何がおこなわれているか知っていますか?


ここまで、自宅介護の大変さをご紹介しました。ここからは、普段の生活の介護はもちろん、老人ホームで行われているリハビリやレクリエーションなどについてを紹介します。

食事・入浴・トイレ介助といった生活に必要なことの手助け
食事や入浴、排せつなどは施設によりやや時間は異なりますが、毎日決められた時間に行われています。もちろん、介護度によって流れや時間に差はありますが、本人の健康な生活を維持するために規則正しい時間に食事、入浴、トイレの介助・介護が行われます。

生活の行動すべてを介護スタッフが手伝うわけではなく『自力でできることは自力で行動してもらう』ことで一人での生活レベルを維持し、難しいと行動だけは手伝うなど、「介護される本人を中心とした介護」が中心です。

介護度によるリハビリやレクリエーションでの「身体的能力維持」
人間は老若男女かかわらず、動かなければ筋肉は衰えていきます。特に60代ごろからは身体能力が著しく低下しやすいので、最低限の生活行動の維持のために体を動かす必要があります。

老人ホームでは施設により毎日~週1回程度のレクリエーションが行われており、体操や簡単ななぞなぞ、季節のイベントなどを行うことで、その人の身体能力維持を促します。

施設によっては、リハビリスタッフも常駐しているので必要なリハビリを受けることができるサービスなどもあります。

自宅介護では難しい「外出」
自宅介護をしていると、なかなか介護が必要な家族を連れて外出するというのが難しくなり、介護される側は外出することが少なくなってしまいます。

そうすると、緩やかに身体機能が低下し、精神的にも滅入ってしまうことがあり、鬱のような症状や認知症の発症を招く恐れがあります。

それを防ぐためには、やはり外出して体を動かしたり、気分をリフレッシュするのが一番ですが、なかなか自宅介護を行っていると、そこまでの余裕がないことがほとんどです。主な理由は着替え、オムツの予備、食事用のエプロンなどの準備も必要になり、荷物も多くなることや、外でも介護される側の歩行や移動の介助・介護の必要があるので気が抜けないからです。

特に寝たきりの人や半身麻痺という状態で介護が必要な人は外に出ることがなく、脳への刺激も減るために認知症が進みやすいことが分かっています。施設によっては、リクライニング(寝たきり用の車いす)を利用して外へ定期的に外出するところもあるので、寝たきりでも意思疎通がはっきりしている人も、季節を感じたりお祭りなどのイベントに参加することができるような配慮がされている施設もあります。

注目! 介護だけじゃない独特な施設
その地域独特の取り組みを行っている老人ホームや介護施設、また、施設内に別の施設が入っている場合もあります。その一部例をご紹介します。
・施設内に床屋さんがあるので、利用時に散髪もできる
・温泉を施設内に引いているので、入浴は温泉でゆったり
・古民家をデイケアセンターにして、みんなで畑作業の後ワイワイお昼ご飯


老人ホーム利用のネック「入所費用」を助ける制度


「老人ホームやデイサービス、短期のステイ(1~2泊程度の老人ホーム利用)等を利用したくても、費用が掛かる」という声は、家族や介護サービスを利用したい本人からよく聞かれることです。まずは、介護サービスを利用するにあたって活用できる制度を確認し、どれくらいの支援を受けることができるのかを理解しておく必要があります。
※介護保険や介護サービスの補助という制度は市区町村や県によって金額や内容が異なるため、ここでは明言を避け、いくつかの制度の例を紹介します。

介護保険の利用には「要介護度認定」が必須

要介護度の認定を受けると、その介護度に応じて受けることができるサービスが決まってきます。判定後はケアプラン(計画書)を作成し、それに基づいて利用する施設やサービスを決定していきます。
認定を受けるまでのおおまかな流れ
1.住んでいる市区町村の「介護・保険課」窓口へ行き、申請を行います
2.調査員が自宅や施設を訪問し、介護を受ける人の状態を確認し、主治医(いなければ指定医)の診察を行い、意見書を作成します
3.調査、検査の結果を全国一律の判定法で審査(1次審査)し、1次の結果と主治医の意見書を元に要介護度の判定(2次審査)が行われます
4.およそ1カ月で認定・非認定の結果が出ます

要支援が受けられる介護の「予防」サービス
要介護度認定にて「要支援」の結果が出た場合に、将来介護を受ける前の「予防」として使うことができるサービスの一例です。
※地域によってあるものとないものがあります。
・訪問介護による一部支援(入浴やリハビリ支援)
・短期入所生活介護(ショートステイ)
・通所介護(デイサービス)
・小規模多機能型介護(29人以下の小規模老人ホームや通所介護)
・特定施設入居型生活介護(24時間介護付きマンションや有料老人ホームなど)
・福祉器具の貸し出し、補助金、購入(歩行器やスロープの貸出や設置費用の一部負担など)

要介護の人が受けられるサービス
要介護度1以上の認定を受けた人が受けることができるサービスです。施設によって認知症の受け入れの有無などで差があるので施設への事前確認が必須となります。
・老人ホーム(29人以上の大規模)
・夜間対応型訪問介護
・特別養護老人ホーム
※その他予防サービスと同じもの

自宅介護だけが選択肢ではない、まずは介護・福祉課への相談を!


自宅介護はお金はかかりませんが、介護する側の負担やされる側の負担が大きいことに違いはありません。お互いの生活・精神を維持するための選択肢として、老人ホームやデイサービスという介護サービスを受けることは悪いことではないので、在宅介護に固執せず家族にとって最適な介護方法を見つけましょう。

介護が必要になったらまず「福祉課」などの介護に関する情報が集まる場所への相談しましょう。そうすれば、お金の面で必要な費用や自分たちが受けることができるサービスについての選択肢を増やすことができます。

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