介護士が語る『親が認知症になったら自宅介護より老人ホームを探すべき理由』
[公開日]2016/11/08
「自分の親だからしっかり世話をしてあげたい。」介護士になる前の筆者だったら同じことを思い、自分で介護することを選んでいたと思います。しかし、介護士として老人ホームで働いてみて考えは変わりました。
家族だから、感情と感情がぶつかり合ったり、お互い我慢して無理してしまいます。
認知症とは、徐々に【記憶の欠如】や【物や人への理解力】が失われていく病気です。症状の進行速度や出方には個人差が大きく、その人の今までの生活スタイルが深く関わっていることが解っているだけで、いまだ詳しい原因などは解明されていません。
認知症の親を自宅で介護しようと検討している方には厳しいことを言うようですが、自宅介護は家族への精神的、肉体的負担が非常に大きく、おすすめしません。
介護施設のスタッフですら大変だと日々実感していることを、介護専門知識を持たず、対策ができていない自宅で行うのは、本当に厳しいという現実を知っているからです。
もし、自分の家族に認知症の症状が出たら・・・。この記事では、介護士である筆者が「自分の親が認知症になったときにどう対策をすればいいのか」について解説していきます。
認知症の症状は個人差があり、軽い症状~重い症状まで発症には差があるのも一つの特徴です。しかし、認知症全体に共通して言えることは「徐々に進行していく」ということです。
ここでは、認知症の症状の例を上げ、どのようになっていく可能性があるのかを解説します。
特に64歳以下の人が認知症になった場合「若年性認知症」と診断されるのですが、この診断が非常に難しく、本人や周りも気づいていなかったというケースがあります。厚生労働省の調査では2009年の時点で若年性認知症患者数は【4万人弱】患者の平均年齢は51歳で、男性の方が多く、その原因には以下の様なものが挙げられています。
・生活習慣病などで脳血管が縮んだり破壊されたことによるもの
・アルコールの多量摂取による脳萎縮が原因
・アルツハイマー型(こちらは女性に多い)
50代はつい無理をしたり、飲み過ぎや偏った食生活になりやすい時期とも言われています。自分の生活習慣を見直し、親にも注意をうながすことで、認知症予防・対策を取っていきましょう。
例1:生活行動(トイレやコンロの火の付け方)を忘れる。
トイレで用を足す、水を流す、手を洗う、コンロの火をつける、消す、料理をすると言った今までの生活で当たり前にできていた行動が徐々に、あるいはある日突然できなくなります。
特に、認知症初期~中期にかけて見られる症状で、一人暮らしの場合は火事などの事故や事件につながることがあります。
例2:人や場所の記憶を忘れる
家族などの毎日顔を合わせる近しい人やご近所の人、自宅や毎日通っていた場所などの記憶が徐々に、あるいはある日突然思い出せなくなります。
認知症中期~後期に見られる症状で、家族を別人と間違えたり、自宅の場所をわすれて徘徊するといったことが起こります。
例3:幻覚や妄想が症状に現れる
実在しないものに怯えたり、それをなくそうとして暴れてしまったり、物を取られたり、泥棒が家にいるといった妄想で、パニックに陥る場合があります。
認知症後期によくみられ、これによる110番への誤報やパニックから自傷行為、鬱などの発症につながる場合があるため、自宅での介護が非常に難しく、施設などに入所させるほうが本人の安全を確保できる率が高くなります。
例4:便をいじる「弄便」(ろうべん)行為がみられる
記憶などが著しくかけてしまったり、物忘れがひどくなった認知症の後期に見られがちな症状で、便を便と認識できずに起こってしまう行動です。便を手にとって、丸めてしまったり。最悪の場合口に入れてしまう場合があります。
オムツを使用していても自分で外してしまうことが多いため、一人では脱ぎにくい衣服を着せるのが一番の対策となります。
上記のような例は認知症の症状のほんの一部です。環境やその人の今までの生活が認知症の症状には非常に大きく関わるため、一概にこのような症状があるとは言いきれません。
ここでは大まかに認知症初期・中期・後期として、症状ごとに家庭でできる対策を解説します。
1日1回程度、例えば鍵をどこに置いたっけ?くらいなら問題はありませんが、1日のうちに何回も何かを忘れる。あるいは、食事を食べたあとなのにまだ食べてないと言い出すようなことが何度も起こるようになってきたら認知症の可能性が非常に高くなります。
認知症かどうかしっかり判断したほうが、その後の介護の仕方の方針を組み立てやすいので、病院の脳外科や内科などで検査を受け、認知症なのか、物忘れなのか、判定してもらいましょう。
認知症であると診断された場合、自宅でひとりでいさせるのは火災や事故、怪我の元になります。在宅介護するなら誰が常に見ていくのか、介護施設を利用するのかを考えていきましょう。
在宅での介護が難しいと判断した場合は、各地の市役所や区役所にある、介護課に相談し、介護度認定を受けてから実際に利用する介護サービスを決めていきます。(介護施設に入居するのか、デイサービスを利用するのか等)
例えば、誰かと会う約束をしていたのに、忘れていたときの反応。誰かに「だれかと会う約束してなかった?」と指摘されたときにこんな差があります。
・物忘れ・・・「あっ!ほんとだAさんと会う約束をしていたんだった!」
・認知症・・・「え?そんな約束してない。」
物忘れは自分が約束を忘れていたことを覚えています。しかし、認知症は約束したことを忘れています。認知症は「体験」を忘れる、といった方が分かりやすいかもしれません。
そうなると、暴力に訴えたり、認知症の本人が110番への誤報をしてしまったりと、自宅介護する家族への負担が初期に比べて倍以上に大きくなります。
若い時の旦那さんの写真や家族の写真をみせると、『ああこの人よ!この人はどこにいるの!!』と、必死に探していることが多く、認知症になると自身の最近の記憶ではなく、過去の記憶の中ばかりが呼び起こされることが多くあります。
特に、認知症を発症した本人にとって楽しかった頃や大変だった頃といった認知症を発症した人が一番印象に残っている時代・時期の記憶が残っていることが多く、その記憶の中でのことを繰り返し聴いてきたり、人を探したり、あるいは勘違いしてしまうこともあります。
対策としては、家庭で介護していく場合は話に耳を傾け、相槌を打ってあげる。話をそらして、何か別のことに集中させる。気晴らしに散歩に出るなどするのが一番です。
特に、話を聞いてあげ、相槌を打ってあげると安心する傾向が強くあります。
実際に介護施設で行っている対応としては、誰かを探しているなら、「今はお仕事に出ていらっしゃいますよ、お仕事が終わったらお迎えにいらっしゃるのでそれまでお茶でも飲んでお待ち下さいね。」と話しかける。
スタッフがその話に耳を傾け、「昔は(料理など)どうやっていらっしゃったんですか?」など、その時代の話に耳を傾けていくと、話し出して、徐々に落ち着きを取り戻す傾向があります。
他にも、認知症の人が車を運転し、人身事故を起こした事件や、高速道路を逆走した事件というのも、耳にすることが1年に数回は起こるようになりました。
このような事件が起きた場合、本人に責任能力がないと判断され、監督責任を負わされるのは同居する家族にあるとされます。
万が一、認知症の家族が人を轢いてしまったら?電車を止めるような大事故を発生させてしまったら・・・?賠償金を払ったり、といった金銭面の負担だけでなく、精神的な負担もかなりのものになります。
そうしないために、24時間365日の見守りを自宅ですることができるでしょうか?今の共働きが多い日本社会ではほぼ不可能といえます。共働きではない、専業主婦(主夫)がいる家であっても、見る側のストレスや負担は計り知れません。
後期の認知症に見られる、徘徊はもちろんですが、この頃になると自宅内で突然暴力を振るったり、物を壊したり、弄便が見られるようになり、一人では介護の手が回らなくなってしまいます。
特に身体に悪いところがなく、健康で動き回ることができる人は徘徊や暴力などを起こし、周囲の人への危険度も非常に高くなるので、在宅での介護よりも、施設を利用するなどしたほうが、本人だけではなく、その家族の安全や精神的な安定にもつながります。
どうしてそんなことするの?と、周囲は思ってしまうのですが、それくらいしないと本当に危険な場合が非常に多く存在します。実際に筆者が耳にしたケースは
・認知症の祖父が孫を殴って重症を負わせた
・家族を泥棒と思い込んで包丁を持ち出してきた
・夜中に家のコンロで火をつけて家族が全員火事で死にかけた
このようなことがあったら…おちおち寝ていられません。認知症本人には悪気がなく、幻覚や妄想が原因でこのようなことを引き起こす事が多いようですが、だからといって野放しにはできません。
家族も自分の安全を守るために部屋に監禁・軟禁することが多いのですが、それは「監禁罪」という罪になります。もちろん、介護施設でも部屋に施錠するなどは法律違反。しかし、あまりにひどい場合(他の利用者に怪我を負わせたり、物損事故が多い場合)家族の同意書や説明・相談の機会を設け、家族の同意を得た上で施錠などを行う施設も存在します。
上記は稀なケースですが、基本的に認知症の人は施設内では自由に動き回っている施設がほとんどです。
認知症の症状はその人によって進行度合いや、症状の出方に非常に差がでやすいものです。
自分の親が認知症になったとき、まず家族が戸惑うであろうことは『親が認知症になった事を受け入れる』というところで躓く家族が多くいます。
ちょっと前まで普通に生活していた家族が、(家族である)自分を認識できなくなったり、出来ていた事ができなくなるということに、戸惑いを覚え、つい冷たく当たってしまうこともよくある話です。
まず、認知症になった親を在宅介護するに当たって、どうしていけばいいのか。心構えやしてあげられる事について、知っておきましょう!
体を動かすことで、脳が刺激を受け、神経の伝達が活発になります。すると、認知症の進行を遅らせる(予防する)ことが出来ると、医学的に証明されています。
体機能に問題があり、半身麻痺などが見られるといった場合の介護は、在宅での介護がとても大変です。
家族がしっかり介護の方法について学習しておくのはもちろん、どこまで本人ができるのか、どれくらいの介護(介助)を必要とするのかによっては、訪問ヘルパーやデイサービス、ショートステイ(施設への短期入居)などの介護サービスを活用したほうがいい場合もあります。
自分たちの生活スタイルの中でできる限り在宅介護をしていくのか、部分的に介護サービスを利用するのか。あるいは施設に預けたほうがいいのかは、家族とよく話し合い、ケアマネージャーとも相談してしっかりと方針を決めておきましょう。
在宅介護を行っていても、暴力を奮ったり、怒鳴ったりしないために、時にはデイサービスを利用するなどして、ストレスを発散したり、リフレッシュする時間を作るようにしましょう。
認知症の家族が、すこし前まで出来ていたことができなくなったので、健常者の家族がこう思ってしまうのは当然といえば当然です。しかし、認知症の人は徐々に物事を忘れていってしまうという病気なのだということを絶対に忘れてはいけません。
食べ物を食べ物と認識できない、危ないものを危ないものと認識できない。だからこそ周りが守ってあげる、教えてあげる必要がある病気なのです。
しかし、自宅での認知症の人の介護は必ず限界が来ます。毎日、常に監視が必要だからこそ、介護する側が倒れることも多くある話です。そうならないために、先手を打って介護サービスを利用する。サービス利用のためにどれくらい行政の援助を受けられるのかを知っておくということをしておきましょう。
自分の親を自宅介護するにあたって、認知症を発症していたら、筆者のように育児をしながら、在宅で仕事をしがならの、ながら介護では絶対に見ていける自信はないからです。特に、3歳になる子供がいる家庭では子供にも危険が及ぶ可能性があります。
「認知症の家族が誤作動でコンロをつけてしまい、火災になった。」「子供と外へ出て迷子になり事故にあった。」といったことは、可能性がゼロではない話です。衛生的にも、食事やトイレの介護も症状の進行が進めばうまくいかなくなり、汚れから何かしらの感染につながる可能性も高まります。
それよりは、専門スタッフが24時間見守ってくれる施設へ入居させたほうが、本人の怪我や事故、ひいては家族の怪我や事故を防ぐことにもつながると考えているからです。
実際に介護施設を選ぶ際に、評判や口コミを事前に確認するのはとても大事です。しかし、その口コミを書いた人が見学したり、確認した時はちゃんとしていても、実はそんなに普段ちゃんとしていない施設があるということも頭に入れておきましょう。
施設の見学に行ったときはいい雰囲気でも、「実際入居したらぜんぜん違う!!」という話もよくあることです。情報だけでは絶対にわからない施設選び。介護スタッフ目線で介護施設を選ぶときのポイントを3つ紹介します!
ですが、利用者はそんなことしません。普段が楽しければ利用者も明るい顔になります。逆にそうでなければ施設内が暗い雰囲気になっているので、おそらくほとんどの人は気がつきます。
また、チャンスがあれば「ここはどうですか~?」と、利用者に聞いてみるのも一番です。スタッフが良くしてくれるなら、いい返事が返ってきます。そうでなければ、利用者(認知症の人は除く)は素直にはっきり言ってくれる人がほとんどです。
施設見学をしたときに真っ先に見得るポイントとしては、「利用者を見る、実際の声を聞く。」これが一番その施設を体言していることなので、施設選びのポイントとして介護士がイチオシします。
例えば、施設の見学に行った際に利用者の一人がずっと臭っていたら・・・?『普通は』気づきます。気づいたら必ず対応し、おむつ交換だったりトイレ誘導を行うのですが、ニオイが出るほど、分かるほど放って置かれているというのはスタッフが足りない、むしろ誰もその人を見ていないということ。
施設内で尿や便のニオイが気になったら、スタッフが足りていないか気配りができていない証拠です。何かしらの理由があったとしても、そんな施設に自分の親を入れようと考える家族はいないのではないでしょうか?
高齢者が多い施設だからこそ、1人が病気やウィルスに感染してしまうとほかの利用者にも一気に広まってしまいます。免疫力が低下している高齢者が多い施設だからこそ、職員の手はもちろん、服や靴に便や汚れがついたまま歩くなんて事はご法度になっています。
施設によってはスタッフが個人個人でアルコールスプレーを持ち歩いていたり、靴の裏を消毒するためのマットが常備されています。それをしっかり活用しているかというのは、スタッフの衛生管理がどれくらい行き届いているのかをチェックするポイントとなります。
この時、スタッフだけではなく、利用者の顔や手もチェックしてみると、普段どれだけ衛生対応ができているのかがわかります。
親を介護施設に入れようと考えたときに、施設選びはどうしたらいいのか。迷いますよね。
人気や口コミだけではわからない、そのホームの雰囲気や介護の仕方、対応の方法。そんなのがぱっと分かる方法はやはり一度直接自分の目で見て確かめることです。それ以外にも、お金がいくらかかってくるのかも家族としては気になりますよね?
ここでは、介護施設入居にかかるお金。施設選びのポイントについてを介護士目線で紹介します。
ここではいくらかかりますという明言を避け、介護施設の利用料金に何が含まれているのかを紹介します。
逆に個室の場合だと、安くて5万~6万程度が相場のようです。特に、介護付きマンションの場合は居住費が6万円以上~といった場合が多く、更に居住費に管理費などが加算される場合があります。
その人の嚥下や、栄養状態に合わせた食事を作ってもらえるので、家族としては安心ですよね。だいたいこの食費は月に4~5万円程度というのが、全国の相場となっています。
オムツのタイプや種類、使用した量によって金額差が大きいため、個人や施設ごとに金額は違ってきます。
介護サービス費用は要介護度が大きくなればなるほど、料金が高くなる傾向があります。
お金がないので、出来るだけ安く済ませたいが・・・。と言った相談は、介護施設を決める際のケアマネージャーと相談することで、適切な金額やサービス内容を決めていくことが出来ます。
その際に、利用できる割引サービスや介護保険の料金などの確認もしておけば、後々のプランが立てやすくなります。
認知症であっても、そうでなくても、介護施設を決めた際に起こる問題のひとつとして、「親の帰宅願望」があります。
実際に筆者が働いていた施設の利用者も、皆さんそれぞれ帰宅願望があるなかで日々を過ごしている、あるいは我慢できなくていつの間にか施設から抜け出して帰ってしまったという人もいました。
やはり、長年住み慣れた我が家にずっといたい、最後までそこで過ごしたいと思うのは当然のことで、誰もがそう考えています。施設に住むことになったとはいえ、本心では「家に帰りたい」と、泣いて過ごす利用者さんも何人もいらっしゃいます。
それでも、家族に迷惑をかけまいと我慢して、施設で過ごしている人が大半なのです。健康で若い家族は、学校や仕事で忙しいからこそ施設に頼むことで、「ほっ」とした。という声をよく聞きます。
ですが、1年に1日、2日程度は自宅に帰る(お盆や年末年始等)、あるいは家族みんなで出かけるといったことをしてあげる機会があったほうが、預けられている利用者は「家族」を感じられ、落ち着いて施設で過ごすことが出来ているように感じます。
逆に、これがない利用者によくみられたのが、勝手にタクシーを呼んで自宅に帰る。という事例です。特に、見た目に健康で認知症であることがわかりにくい利用者によくあることで、全国の施設や病院でも例があるケースです。
障害や認知症があっても、本人は「健康だ」と思っているので「何でこんなところにいないといけないんだ!」と、思い込んでしまうのです。さらに、家族があまり面会に来ない、連絡が取れないと言ったことが重なると、我慢が限界になり、自力で帰宅したり、施設へ帰るのを拒否してしまう事例につながるのです。
仕事や育児・家事で忙しい時でも、最低月に1度は家族で会う機会を作る。これがある利用者とない利用者は帰宅願望が随分かわってくると、介護士の筆者は体感しています。
認知症の親の介護を自宅でやるということは、非常に家族への精神的、肉体的負担が大きく、介護士としてはおすすめしません。介護施設のスタッフですら大変だとかんがえていることを、介護専門知識を持たず、対策ができていない自宅で行うのは、本当に厳しいという現実を知っているからです。
家族と、認知症の本人の安全を最優先で考えたときに行き着くのは、介護施設へ預けることでしょう。その介護施設を選ぶとき、預けられる人の目線で選んでみましょう。預けられた本人が、安心して、楽しく生活していけるのか。
自分が、安心してその施設に預けることができるのか。選ぶポイントをしっかり抑えて家族がその環境で幸せに暮らせるような施設選び、介護方法を見つけていきましょう!
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家族だから、感情と感情がぶつかり合ったり、お互い我慢して無理してしまいます。
認知症とは、徐々に【記憶の欠如】や【物や人への理解力】が失われていく病気です。症状の進行速度や出方には個人差が大きく、その人の今までの生活スタイルが深く関わっていることが解っているだけで、いまだ詳しい原因などは解明されていません。
認知症の親を自宅で介護しようと検討している方には厳しいことを言うようですが、自宅介護は家族への精神的、肉体的負担が非常に大きく、おすすめしません。
介護施設のスタッフですら大変だと日々実感していることを、介護専門知識を持たず、対策ができていない自宅で行うのは、本当に厳しいという現実を知っているからです。
もし、自分の家族に認知症の症状が出たら・・・。この記事では、介護士である筆者が「自分の親が認知症になったときにどう対策をすればいいのか」について解説していきます。
徐々に記憶障害や妄想、幻覚症状がひどくなる認知症の症状
認知症の症状は個人差があり、軽い症状~重い症状まで発症には差があるのも一つの特徴です。しかし、認知症全体に共通して言えることは「徐々に進行していく」ということです。
ここでは、認知症の症状の例を上げ、どのようになっていく可能性があるのかを解説します。
若くても認知症になる!?【若年性認知症】
『うちの親はまだ50代だから大丈夫~』と、思っていてはいけません。認知症は若くても発症することがわかっています。特に64歳以下の人が認知症になった場合「若年性認知症」と診断されるのですが、この診断が非常に難しく、本人や周りも気づいていなかったというケースがあります。厚生労働省の調査では2009年の時点で若年性認知症患者数は【4万人弱】患者の平均年齢は51歳で、男性の方が多く、その原因には以下の様なものが挙げられています。
・生活習慣病などで脳血管が縮んだり破壊されたことによるもの
・アルコールの多量摂取による脳萎縮が原因
・アルツハイマー型(こちらは女性に多い)
50代はつい無理をしたり、飲み過ぎや偏った食生活になりやすい時期とも言われています。自分の生活習慣を見直し、親にも注意をうながすことで、認知症予防・対策を取っていきましょう。
認知症になると何ができて、何ができなくなる?
認知症とはいえ、体は元気な状態です。健康で身体機能に障害がないと言った場合は普通の生活を送ることができます。しかし、注意するべきなのは記憶障害がおこったり、妄想や幻覚症状が発症することがあるということです。いくつかの例を元に見てみましょう。体が元気なら認知症の人でも介護ってそんなに必要なさそうだよね?
こんにちは!「アンチエイジングの神様」管理人の安藤美和子です。
とんでもない!実は認知症の人ほど介護が難しいことはないんだよ?体が元気だから色んな所に一人でいって迷子になったり、事故を起こしたりしてしまう。常に見守りが必要になる介護だから、動けない人の介護よりも大変なんだよ。
とんでもない!実は認知症の人ほど介護が難しいことはないんだよ?体が元気だから色んな所に一人でいって迷子になったり、事故を起こしたりしてしまう。常に見守りが必要になる介護だから、動けない人の介護よりも大変なんだよ。
あっ!そっか、認知症の人が運転して事故を起こしたとか、ニュースであるもんね!!そっか~、常に気をつけてあげないといけない介護なのか。大変そう…。
認知症の人が具体的にどんなことをやってしまうか、自宅介護でも要注意なポイントをチェックして。
例1:生活行動(トイレやコンロの火の付け方)を忘れる。
トイレで用を足す、水を流す、手を洗う、コンロの火をつける、消す、料理をすると言った今までの生活で当たり前にできていた行動が徐々に、あるいはある日突然できなくなります。
特に、認知症初期~中期にかけて見られる症状で、一人暮らしの場合は火事などの事故や事件につながることがあります。
例2:人や場所の記憶を忘れる
家族などの毎日顔を合わせる近しい人やご近所の人、自宅や毎日通っていた場所などの記憶が徐々に、あるいはある日突然思い出せなくなります。
認知症中期~後期に見られる症状で、家族を別人と間違えたり、自宅の場所をわすれて徘徊するといったことが起こります。
例3:幻覚や妄想が症状に現れる
実在しないものに怯えたり、それをなくそうとして暴れてしまったり、物を取られたり、泥棒が家にいるといった妄想で、パニックに陥る場合があります。
認知症後期によくみられ、これによる110番への誤報やパニックから自傷行為、鬱などの発症につながる場合があるため、自宅での介護が非常に難しく、施設などに入所させるほうが本人の安全を確保できる率が高くなります。
例4:便をいじる「弄便」(ろうべん)行為がみられる
記憶などが著しくかけてしまったり、物忘れがひどくなった認知症の後期に見られがちな症状で、便を便と認識できずに起こってしまう行動です。便を手にとって、丸めてしまったり。最悪の場合口に入れてしまう場合があります。
オムツを使用していても自分で外してしまうことが多いため、一人では脱ぎにくい衣服を着せるのが一番の対策となります。
まずは認知症検査を!認知症の自宅介護は常に24時間監視体制
上記のような例は認知症の症状のほんの一部です。環境やその人の今までの生活が認知症の症状には非常に大きく関わるため、一概にこのような症状があるとは言いきれません。
ここでは大まかに認知症初期・中期・後期として、症状ごとに家庭でできる対策を解説します。
認知症初期は判断が難しい 「物忘れや人忘れ」「同じ言動を繰り返す」が見られたら要注意
認知症とただの物忘れは違います。例えば、若い人でも一時的に何かを忘れてしまうということはありますよね?1日1回程度、例えば鍵をどこに置いたっけ?くらいなら問題はありませんが、1日のうちに何回も何かを忘れる。あるいは、食事を食べたあとなのにまだ食べてないと言い出すようなことが何度も起こるようになってきたら認知症の可能性が非常に高くなります。
認知症かどうかしっかり判断したほうが、その後の介護の仕方の方針を組み立てやすいので、病院の脳外科や内科などで検査を受け、認知症なのか、物忘れなのか、判定してもらいましょう。
認知症であると診断された場合、自宅でひとりでいさせるのは火災や事故、怪我の元になります。在宅介護するなら誰が常に見ていくのか、介護施設を利用するのかを考えていきましょう。
在宅での介護が難しいと判断した場合は、各地の市役所や区役所にある、介護課に相談し、介護度認定を受けてから実際に利用する介護サービスを決めていきます。(介護施設に入居するのか、デイサービスを利用するのか等)
認知症?物忘れ?2つの違いは【自覚の有無】
認知症と物忘れは混同されがちですが、はっきりとした違いのポイントがあります。それは「自分が忘れていることを自覚しているかいないか」です。例えば、誰かと会う約束をしていたのに、忘れていたときの反応。誰かに「だれかと会う約束してなかった?」と指摘されたときにこんな差があります。
・物忘れ・・・「あっ!ほんとだAさんと会う約束をしていたんだった!」
・認知症・・・「え?そんな約束してない。」
物忘れは自分が約束を忘れていたことを覚えています。しかし、認知症は約束したことを忘れています。認知症は「体験」を忘れる、といった方が分かりやすいかもしれません。
認知症中期 「妄想・幻覚」に注意! 自宅介護は厳しさを増す
認知症が進み、初期から中期の段階になると、物忘れや人忘れが強くなり、自宅なのに自宅ではない。家族(例えば夫や娘)なのにそうじゃないと言い出すことがあります。そうなると、暴力に訴えたり、認知症の本人が110番への誤報をしてしまったりと、自宅介護する家族への負担が初期に比べて倍以上に大きくなります。
介護士の経験談 『記憶は特に過去にさかのぼっている』事が多い!
介護士の経験上、そういうときの認知症の人の話を聞くと、記憶が過去にさかのぼっている事が多く感じました。若い時の旦那さんの写真や家族の写真をみせると、『ああこの人よ!この人はどこにいるの!!』と、必死に探していることが多く、認知症になると自身の最近の記憶ではなく、過去の記憶の中ばかりが呼び起こされることが多くあります。
特に、認知症を発症した本人にとって楽しかった頃や大変だった頃といった認知症を発症した人が一番印象に残っている時代・時期の記憶が残っていることが多く、その記憶の中でのことを繰り返し聴いてきたり、人を探したり、あるいは勘違いしてしまうこともあります。
対策としては、家庭で介護していく場合は話に耳を傾け、相槌を打ってあげる。話をそらして、何か別のことに集中させる。気晴らしに散歩に出るなどするのが一番です。
特に、話を聞いてあげ、相槌を打ってあげると安心する傾向が強くあります。
実際に介護施設で行っている対応としては、誰かを探しているなら、「今はお仕事に出ていらっしゃいますよ、お仕事が終わったらお迎えにいらっしゃるのでそれまでお茶でも飲んでお待ち下さいね。」と話しかける。
スタッフがその話に耳を傾け、「昔は(料理など)どうやっていらっしゃったんですか?」など、その時代の話に耳を傾けていくと、話し出して、徐々に落ち着きを取り戻す傾向があります。
認知症後期「徘徊が原因の事故」を起こさないためには絶対に一人にできない、自宅介護はほぼ不可能
2014年度の鉄道事故は758件、そのうちの27件は認知症の人が関連する事故だったという報告が厚生労働省に挙がっています。他にも、認知症の人が車を運転し、人身事故を起こした事件や、高速道路を逆走した事件というのも、耳にすることが1年に数回は起こるようになりました。
このような事件が起きた場合、本人に責任能力がないと判断され、監督責任を負わされるのは同居する家族にあるとされます。
万が一、認知症の家族が人を轢いてしまったら?電車を止めるような大事故を発生させてしまったら・・・?賠償金を払ったり、といった金銭面の負担だけでなく、精神的な負担もかなりのものになります。
そうしないために、24時間365日の見守りを自宅ですることができるでしょうか?今の共働きが多い日本社会ではほぼ不可能といえます。共働きではない、専業主婦(主夫)がいる家であっても、見る側のストレスや負担は計り知れません。
後期の認知症に見られる、徘徊はもちろんですが、この頃になると自宅内で突然暴力を振るったり、物を壊したり、弄便が見られるようになり、一人では介護の手が回らなくなってしまいます。
特に身体に悪いところがなく、健康で動き回ることができる人は徘徊や暴力などを起こし、周囲の人への危険度も非常に高くなるので、在宅での介護よりも、施設を利用するなどしたほうが、本人だけではなく、その家族の安全や精神的な安定にもつながります。
自宅でも「監禁・軟禁」は法律違反、介護施設ではどうなの?
認知症の人であまりにも徘徊癖がひどくて、同しようもない!といった場合に自宅介護で起こりがちなのが、一つの部屋に監禁・軟禁してしまうということ。どうしてそんなことするの?と、周囲は思ってしまうのですが、それくらいしないと本当に危険な場合が非常に多く存在します。実際に筆者が耳にしたケースは
・認知症の祖父が孫を殴って重症を負わせた
・家族を泥棒と思い込んで包丁を持ち出してきた
・夜中に家のコンロで火をつけて家族が全員火事で死にかけた
このようなことがあったら…おちおち寝ていられません。認知症本人には悪気がなく、幻覚や妄想が原因でこのようなことを引き起こす事が多いようですが、だからといって野放しにはできません。
家族も自分の安全を守るために部屋に監禁・軟禁することが多いのですが、それは「監禁罪」という罪になります。もちろん、介護施設でも部屋に施錠するなどは法律違反。しかし、あまりにひどい場合(他の利用者に怪我を負わせたり、物損事故が多い場合)家族の同意書や説明・相談の機会を設け、家族の同意を得た上で施錠などを行う施設も存在します。
上記は稀なケースですが、基本的に認知症の人は施設内では自由に動き回っている施設がほとんどです。
怒鳴ると認知症の症状が進行する!認知症の親を自宅で介護するときのポイント
認知症の症状はその人によって進行度合いや、症状の出方に非常に差がでやすいものです。
自分の親が認知症になったとき、まず家族が戸惑うであろうことは『親が認知症になった事を受け入れる』というところで躓く家族が多くいます。
ちょっと前まで普通に生活していた家族が、(家族である)自分を認識できなくなったり、出来ていた事ができなくなるということに、戸惑いを覚え、つい冷たく当たってしまうこともよくある話です。
まず、認知症になった親を在宅介護するに当たって、どうしていけばいいのか。心構えやしてあげられる事について、知っておきましょう!
認知症になった親の在宅介護(自宅介護)は具体的に何をしたらいいのか
体を動かして認知症の進行を防ぐ!
認知症を発症した時に、その人の身体機能が健康で、動いたりする分には問題ないと言った場合は、なるべく体は動かしてあげましょう。体を動かすことで、脳が刺激を受け、神経の伝達が活発になります。すると、認知症の進行を遅らせる(予防する)ことが出来ると、医学的に証明されています。
その他の健康対策
年齢とともに食事量が減少し、低栄養素が顕著になってきます。食事を基本にサプリメントでも足りない栄養素を補う対策もおすすめです。認知症と関係のあるオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)やイチョウ葉エキスはサプリメントから簡単にとれる栄養成分です。
怒鳴ったりするのはNG ときにはヘルパーや施設の力を借りて家族のリフレッシュタイムを作ろう!
逆に、認知症だから外に出さない、話しかけたり何かをさせたりしない、という風にしてしまうと、逆に認知しょうが悪化することもわかっています。特に、認知症の人が何かを失敗した時に周囲が怒鳴る、無視をするという行動をとると、進行が早くなったケースも多数報告されています。体機能に問題があり、半身麻痺などが見られるといった場合の介護は、在宅での介護がとても大変です。
家族がしっかり介護の方法について学習しておくのはもちろん、どこまで本人ができるのか、どれくらいの介護(介助)を必要とするのかによっては、訪問ヘルパーやデイサービス、ショートステイ(施設への短期入居)などの介護サービスを活用したほうがいい場合もあります。
自分たちの生活スタイルの中でできる限り在宅介護をしていくのか、部分的に介護サービスを利用するのか。あるいは施設に預けたほうがいいのかは、家族とよく話し合い、ケアマネージャーとも相談してしっかりと方針を決めておきましょう。
在宅介護を行っていても、暴力を奮ったり、怒鳴ったりしないために、時にはデイサービスを利用するなどして、ストレスを発散したり、リフレッシュする時間を作るようにしましょう。
もし、認知症が進行して、後になって「やっぱり、家では見られない!」ってなったらどうするの?
そんなときは、まず最初に担当になってくれたケアマネージャーに相談することだね!家族に認知症の症状が出たらまず検査、そして役所で介護課や介護保険課に要介護度認定をしてもらうこと!その後で、ケアマネージャーとやっと話せるからとにかく早く動くことが大事よ!
ケアマネージャーさんってすっごい頼れる存在だけど、認定もらうまでには1ヶ月はかかるんだよね…。早めに動こう!
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『認知症の人を在宅介護する』という現実は甘くない
認知症の人に対して、健常者が思いがちな事は『どうしてこれくらいのことが出来ないの!?』『何でよけいなことするの!?』と、いった苛立ちが非常に多くあります。そこから家族への暴力やストレスから介護している側が病気になってしまう場合もあります。認知症の家族が、すこし前まで出来ていたことができなくなったので、健常者の家族がこう思ってしまうのは当然といえば当然です。しかし、認知症の人は徐々に物事を忘れていってしまうという病気なのだということを絶対に忘れてはいけません。
食べ物を食べ物と認識できない、危ないものを危ないものと認識できない。だからこそ周りが守ってあげる、教えてあげる必要がある病気なのです。
しかし、自宅での認知症の人の介護は必ず限界が来ます。毎日、常に監視が必要だからこそ、介護する側が倒れることも多くある話です。そうならないために、先手を打って介護サービスを利用する。サービス利用のためにどれくらい行政の援助を受けられるのかを知っておくということをしておきましょう。
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介護士である自分の親が認知症になったら
筆者は介護士ですが、筆者の親が認知症で介護が必要になったら・・・真っ先に市役所区役所の介護課へ相談にいき、介護度認定を行ってもらいます。自分の親を自宅介護するにあたって、認知症を発症していたら、筆者のように育児をしながら、在宅で仕事をしがならの、ながら介護では絶対に見ていける自信はないからです。特に、3歳になる子供がいる家庭では子供にも危険が及ぶ可能性があります。
「認知症の家族が誤作動でコンロをつけてしまい、火災になった。」「子供と外へ出て迷子になり事故にあった。」といったことは、可能性がゼロではない話です。衛生的にも、食事やトイレの介護も症状の進行が進めばうまくいかなくなり、汚れから何かしらの感染につながる可能性も高まります。
それよりは、専門スタッフが24時間見守ってくれる施設へ入居させたほうが、本人の怪我や事故、ひいては家族の怪我や事故を防ぐことにもつながると考えているからです。
老人ホームで働いた介護士が教える良い・悪い介護施設の3つの見分け方
実際に介護施設を選ぶ際に、評判や口コミを事前に確認するのはとても大事です。しかし、その口コミを書いた人が見学したり、確認した時はちゃんとしていても、実はそんなに普段ちゃんとしていない施設があるということも頭に入れておきましょう。
施設の見学に行ったときはいい雰囲気でも、「実際入居したらぜんぜん違う!!」という話もよくあることです。情報だけでは絶対にわからない施設選び。介護スタッフ目線で介護施設を選ぶときのポイントを3つ紹介します!
先にいる入居者の表情や対応を見る
スタッフや介護施設の職員は、誰かが見学に来れば必ずいい顔をします。(おそらくどんな職場でも見学者がいるときは気を使いますよね?)ですが、利用者はそんなことしません。普段が楽しければ利用者も明るい顔になります。逆にそうでなければ施設内が暗い雰囲気になっているので、おそらくほとんどの人は気がつきます。
また、チャンスがあれば「ここはどうですか~?」と、利用者に聞いてみるのも一番です。スタッフが良くしてくれるなら、いい返事が返ってきます。そうでなければ、利用者(認知症の人は除く)は素直にはっきり言ってくれる人がほとんどです。
施設見学をしたときに真っ先に見得るポイントとしては、「利用者を見る、実際の声を聞く。」これが一番その施設を体言していることなので、施設選びのポイントとして介護士がイチオシします。
施設の「ニオイ」は対応の早さがわかるワンポイント
介護施設において、トイレ介護というのはオムツ交換だったり、トイレに誘導したりと実はひっきりなしに行う介護のひとつです。どうしても間に合わなくて利用者が漏らしてしまった、失敗してしまったというとき意外は、基本的には対応する必要があります。例えば、施設の見学に行った際に利用者の一人がずっと臭っていたら・・・?『普通は』気づきます。気づいたら必ず対応し、おむつ交換だったりトイレ誘導を行うのですが、ニオイが出るほど、分かるほど放って置かれているというのはスタッフが足りない、むしろ誰もその人を見ていないということ。
施設内で尿や便のニオイが気になったら、スタッフが足りていないか気配りができていない証拠です。何かしらの理由があったとしても、そんな施設に自分の親を入れようと考える家族はいないのではないでしょうか?
スタッフの爪、靴を見れば、衛生に気を使っているかの度合いが分かる
施設内では、食事介護やおむつ交換、入浴介護などが毎日(お風呂は場所により数日ごと)行われています。その中で最も注意すべきが『衛生面』です。高齢者が多い施設だからこそ、1人が病気やウィルスに感染してしまうとほかの利用者にも一気に広まってしまいます。免疫力が低下している高齢者が多い施設だからこそ、職員の手はもちろん、服や靴に便や汚れがついたまま歩くなんて事はご法度になっています。
施設によってはスタッフが個人個人でアルコールスプレーを持ち歩いていたり、靴の裏を消毒するためのマットが常備されています。それをしっかり活用しているかというのは、スタッフの衛生管理がどれくらい行き届いているのかをチェックするポイントとなります。
この時、スタッフだけではなく、利用者の顔や手もチェックしてみると、普段どれだけ衛生対応ができているのかがわかります。
老人ホームはすぐに見つかるものなのか?
老人ホームは場所によっては、空きが出るまで待つ必要があります。
人気の施設やそうでない施設では、やはり待機児童のように、順番待ちということもある話なのです。
老人ホームを選ぶ際に、介護課や保健課にいるケアマネージャーと相談してから、方針を決めていくのですが、そのときに人気の施設の空き具合、それ以外の施設の空き具合や状況を聞いた上で、判断していきましょう。
人気の施設やそうでない施設では、やはり待機児童のように、順番待ちということもある話なのです。
老人ホームを選ぶ際に、介護課や保健課にいるケアマネージャーと相談してから、方針を決めていくのですが、そのときに人気の施設の空き具合、それ以外の施設の空き具合や状況を聞いた上で、判断していきましょう。
親の介護施設の探し方・費用はいくらかかるの?
親を介護施設に入れようと考えたときに、施設選びはどうしたらいいのか。迷いますよね。
人気や口コミだけではわからない、そのホームの雰囲気や介護の仕方、対応の方法。そんなのがぱっと分かる方法はやはり一度直接自分の目で見て確かめることです。それ以外にも、お金がいくらかかってくるのかも家族としては気になりますよね?
ここでは、介護施設入居にかかるお金。施設選びのポイントについてを介護士目線で紹介します。
老人ホーム入居にかかる費用の内訳
全国にある介護施設や老人ホーム、あるいは介護老人保健施設は利用料がかかります。しかし、その施設の運営会社や施設の立地、部屋のタイプによってかなりの金額差が現れ、その差は大きくて10万も差が開いてしまうことがあります。ここではいくらかかりますという明言を避け、介護施設の利用料金に何が含まれているのかを紹介します。
基本の部屋代「居住費」
例えば、病院の相部屋のように1部屋で2~4人程度が生活するスタイルの部屋だと、リーズナブルでも1万円~3万円程度で収まる場合が多くあります。(地域や施設による)逆に個室の場合だと、安くて5万~6万程度が相場のようです。特に、介護付きマンションの場合は居住費が6万円以上~といった場合が多く、更に居住費に管理費などが加算される場合があります。
毎月の「食費」
老人ホームでは施設内で調理され、その人の嚥下状態(食べ物や飲み物の飲み込みの良し悪しの状態)に合わせた食事が用意されます。普通の固形の食事~すりおろしたペースト状の食事など、形態は様々です。その人の嚥下や、栄養状態に合わせた食事を作ってもらえるので、家族としては安心ですよね。だいたいこの食費は月に4~5万円程度というのが、全国の相場となっています。
オムツや医療器具などの費用
認知症や下半身不随、あるいは何らかの理由でオムツを使用している、あるいは酸素ボンベや特別な医療器具が必要な介護の場合に、それらの料金がかかります。オムツのタイプや種類、使用した量によって金額差が大きいため、個人や施設ごとに金額は違ってきます。
介護サービス費用
お風呂やトイレ介助、食事介護といった基本の介護やその他の介護サービス(レクリエーションやリハビリ)にかかる料金です。これは要介護度によって差があり、受けるサービスによっても大きく差が出てきます。介護サービス費用は要介護度が大きくなればなるほど、料金が高くなる傾向があります。
お金がないので、出来るだけ安く済ませたいが・・・。と言った相談は、介護施設を決める際のケアマネージャーと相談することで、適切な金額やサービス内容を決めていくことが出来ます。
その際に、利用できる割引サービスや介護保険の料金などの確認もしておけば、後々のプランが立てやすくなります。
帰宅願望はストレスの蓄積によって変わる!入れっぱなしではなく月1の面会を
認知症であっても、そうでなくても、介護施設を決めた際に起こる問題のひとつとして、「親の帰宅願望」があります。
実際に筆者が働いていた施設の利用者も、皆さんそれぞれ帰宅願望があるなかで日々を過ごしている、あるいは我慢できなくていつの間にか施設から抜け出して帰ってしまったという人もいました。
やはり、長年住み慣れた我が家にずっといたい、最後までそこで過ごしたいと思うのは当然のことで、誰もがそう考えています。施設に住むことになったとはいえ、本心では「家に帰りたい」と、泣いて過ごす利用者さんも何人もいらっしゃいます。
それでも、家族に迷惑をかけまいと我慢して、施設で過ごしている人が大半なのです。健康で若い家族は、学校や仕事で忙しいからこそ施設に頼むことで、「ほっ」とした。という声をよく聞きます。
ですが、1年に1日、2日程度は自宅に帰る(お盆や年末年始等)、あるいは家族みんなで出かけるといったことをしてあげる機会があったほうが、預けられている利用者は「家族」を感じられ、落ち着いて施設で過ごすことが出来ているように感じます。
逆に、これがない利用者によくみられたのが、勝手にタクシーを呼んで自宅に帰る。という事例です。特に、見た目に健康で認知症であることがわかりにくい利用者によくあることで、全国の施設や病院でも例があるケースです。
障害や認知症があっても、本人は「健康だ」と思っているので「何でこんなところにいないといけないんだ!」と、思い込んでしまうのです。さらに、家族があまり面会に来ない、連絡が取れないと言ったことが重なると、我慢が限界になり、自力で帰宅したり、施設へ帰るのを拒否してしまう事例につながるのです。
仕事や育児・家事で忙しい時でも、最低月に1度は家族で会う機会を作る。これがある利用者とない利用者は帰宅願望が随分かわってくると、介護士の筆者は体感しています。
まとめ 認知症の親を老人ホームにいれるのは最低ではない!
認知症の親の介護を自宅でやるということは、非常に家族への精神的、肉体的負担が大きく、介護士としてはおすすめしません。介護施設のスタッフですら大変だとかんがえていることを、介護専門知識を持たず、対策ができていない自宅で行うのは、本当に厳しいという現実を知っているからです。
家族と、認知症の本人の安全を最優先で考えたときに行き着くのは、介護施設へ預けることでしょう。その介護施設を選ぶとき、預けられる人の目線で選んでみましょう。預けられた本人が、安心して、楽しく生活していけるのか。
自分が、安心してその施設に預けることができるのか。選ぶポイントをしっかり抑えて家族がその環境で幸せに暮らせるような施設選び、介護方法を見つけていきましょう!
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